鏡花水月、のように
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「良かったですね受け付けは普通で」
「・・・・あれを普通って言うんなら何も言わねェよい」
少し呆れ顔のマルコさん。
「顔から血のことですか?怪我したけど治療する時間がなかったんですよきっと」
「・・・・そういうことにしておくよい」
鍵をもらって、
部屋に入れば部屋は普通に綺麗だし。
「あ、マルコさんやりました!シャンプーリンス発見です!」
アメニティもきちんと揃ってるし!!
「そりゃ良かったねい」
「2人きりですねマルコさんっ」
「別に珍しいことじゃねェだろい?」
・・・・・いやまあそうなんですけど。
「見知らぬ土地での2人きりですよ!ときめきましょうよ!」
「任務だって忘れてるんなら思い出させてやるよい?」
「・・・・・どうやって?」
「今すぐ外に放り出す」
「・・・・・いやん」
さすがにそれは怖い。
「まだ油断するには早いよい」
・・・・・真剣な顔の忠告に思わず生唾をごくりと飲み込んだ。
確かに尋常じゃないこの島。
一見普通に見えるこの部屋だって何があるか。
「・・・・・マルコさん」
「何だい」
「一緒にお風呂入りましょう」
そう言った途端、額に鈍い痛み。
「・・・・ぃったぁぁぁい」
どうやらマルコさんにデコピンをされた模様。
「簡単に言うない」
「・・・・簡単じゃないですよ。怖いのも、あるけど」
「・・・けど?」
「・・・・何よりマルコさんのこと好きじゃなかったら言いません、し」
ためらいがちに答えれば、
はぁ、とマルコさんが呆れたようなため息を吐いた。
・・・・呆れられたかな、さすがに。
落ち込んだ私の頭にぽんと乗せられた手。
「・・・・馬鹿だねい」
そう言い放った顔は何処か嬉しそうに見えて。
「・・・・・・マルコさんがいれば何処だって怖くないんです」
マルコさんが居てくれればそれだけで。
強くいられる。
幸せでいられる。
お腹すいてたって、
疲れてたって。
喧嘩してたって。
・・・・マルコさんが、私の側に居てくれるだけで。
「ってあれですよ!?別に私1人じゃ何も出来ないとか何処にも行けないとかじゃなくてですねっ」
何だか言ってて1人じゃなにも出来ない人だと告白してる気になって慌てて弁明した。
「なら1人で入れるねい?」
「・・・・入れます」
「の前に腹減ったよい」
「私もです・・・ルームサービスとかないんですか?」
「あるよい」
あるの!?
驚いて見ればマルコさんが手にしたファイルに、
確かに軽い食事とドリンクのメニューが書かれている。
「・・・・じゃあカレーで」
一応船から少しの食料は持ってきてるけど、
調査の意味でも食べないと。
結局マルコさんもカレーにすると、
部屋に備えつけの電伝虫で注文。
数分後、
「いひひっ、お待たせしました・・・」
・・・まあ笑顔がないよりいいかな。
そんな気味の悪い笑顔を浮かべたボーイさんが持ってきてくれたカレー。
「・・・・目玉ついてますよラッキーですねマルコさん」
「醤油でいいかい」
「あ、はい」
・・・・目玉お◯じならぬ目玉のみ。
なんだけど、まあ卵で作ってあることに変わりはないので美味しく頂く。
「頂きます。・・・・普通に美味しいんですけど」
「悪くねェ」
「・・・・・何かテーマパークみたいだなって思いました」
「面白いこと言うねい」
マルコさんが意味ありげに笑った後、
ごぉんごぉん!!と大きい音が部屋に響いた。
「えっ足音がうるさい的なクレームですかね!?」
「ドアじゃねェ、部屋全体だよい・・・」
「寝るまでに静かになってくれればいいんですが・・・」
奇妙な音はずっと鳴っている。
「余裕だねい、アコ」
「いやほんとはお風呂も静かに入りたいですよ出来れば」
「今夜は寝れねェかもしれねェよい」
「・・・・きゃ、マルコさんたら」
そう言う意味じゃないのは知っていながらちょっと恥じらいを見せてみた。
案の定、
「こういうところは夜に何か起こるのが鉄則だろい?」
「・・・・ですよねー」
何でかマルコさん楽しそうだし。
ああでも本当に、
「うるさぁぁぁい!!!!!」
あまりにうるさすぎて思わず叫んでしまった。
でもその途端。
「・・・・・アコが居れば安泰だねい」
ククッ、とマルコさんが笑った。
・・・・叫んだらぴたりと音が止んだからだ。
「・・・・お役に立てて何よりですが」
ちらりとマルコさんを見た。
マルコさんはとっくに食べ終えていて。
何やら今にも出掛けそうな雰囲気。
「情報収集に行くよい。これだけで今日1日追われるかってんだい」
「お供します!」
「いいのかい?部屋に居た方が安全かもしれねェよい?」
「マルコさんの側を離れないと誓ったので!」
「上等だい、行くよい」
大きい背中を追いかけたら、
鍛えられた腕が出されて。
「・・・・・・・何処までも!」
何処までも、お供します!
ここからが本格的な任務です!!
+怖いけど 終+