鏡花水月、のように
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「・・・・暗いですね」
「怖いかい?」
「足元が見えづらいです」
皆に見送られて、
マルコさん(鳥)の背中に長時間乗ってやって来た未踏の島。
今のとこ人の姿はない。
・・・・というか。
まだ昼間のはずなのに、空は真っ暗。
あ、しまった。
怖いですぅって言ってくっつけば良かった。
「転ぶなよい」
「あ」
不意にとられた手にときめいた。
ラッキー・・・・なんて言ってる場合じゃない。
これは任務なんだから。
「・・・・何だい」
「・・・・怖くはないですけど。離さないで下さいね」
「ったり前だろい?離したらすぐどっか行くだろうが」
「いやさすがにこう暗いと無理です・・・」
「・・・・スリラーバークに似てる、か」
ぽつりとマルコさんが言った。
「スリラー?」
「王下七武海の1人が所有する世界最大の海賊船だよい」
「船・・・なんですか?」
「元は西の海にあった島だったみてェだが、改造されて海に浮かぶ巨大な海賊船になったんだよい」
「・・・・・・すごいッスね」
淡々と告げられる説明にただ驚くばかり。
「影を奪いゾンビを操るんだったねい、確か」
「・・・・・・ここがそう、だと?」
「聞いたことある特徴に似てると思っただけだよい。・・・墓場があったねい」
「・・・・墓場があるってことは誰かが建てたってことですよね」
歩いていくうちに墓場を見つけた。
確かにこれはゾンビが出てきてもおかしくない雰囲気だ。
「冷静だねい、アコ」
「そりゃあまあマルコさんがいてくれますから」
「俺1人じゃ守れないかもしれないよい?」
「そう思ってたらついてきませんよ。まあそうなったらなったで私だけ置いて逃げて頂ければ」
って本気で口にしたのに、
ごつんと頭を殴られた。
「・・・マルコさん痛い」
「手加減はしてるよい。・・・んなこと出来る訳ねェだろうがよい」
「・・・・・じゃあ一緒に逃げて下さいね」
「・・・逃げねェよい。必ず守る」
ぎゅ、と握られた手にこめられた力が嬉しい。
「はい。信じてます」
薄暗さに慣れて来た目がマルコさんの視線とぶつかって。
見つめ合った。
その時、
ガサ。と音がした。
「・・・・いい雰囲気だったのに」
「・・・・頼もしいねいアコは」
「そうですか?」
「墓場だよい?ナース達なら近寄らねェだろうよい」
不思議そうなマルコさんに、
「だって墓場ですよ。成仏されてるじゃないですか」
「・・・・されてねェのがいるかもしれねェだろい?」
「まあ得体のしれなさはありますが幽霊でもマルコさんには勝てなさそう」
「褒め言葉として受け取っておくよい。ゾンビも受け入れんのかい?」
「幽霊もゾンビも見たことないのでちょっと興味が・・・・どう攻撃するのかなぁとか」
勿論1人じゃこんな余裕なかった。
隣にマルコさんが居てくれるからこそ、だ。
「普通にボコボコにされるかネガティブにされるんじゃなかったかねい」
「・・・・・ネガティブって」
「そんな幽霊を操る女が居ると聞いたことがあるよい」
「・・・・ネガティブなマルコさん可愛いかも」
「おい」
マルコさんのツッコミを受けたところで、
警戒して辺りを見回す。
「まあ私は元がネガティブなのでそんなに影響は受けないと思いますよ!」
「・・・胸張って言うことじゃねェだろい」
マルコさんが苦笑した。
とそこに、
「ふふふっ」
女の子の声。
「マルコさん今・・・・っ」
「上だねい」
マルコさんの言葉にばっと上を見上げれば、
木の上に座る可愛らしい女の子。
「この島へようこそ、お2人さん?」
・・・見た目16、7くらいだろうか。
黒髪ロングストレート美少女。
「・・・・この島の人間かい?」
「うん、そうだよ」
「宿はあるか聞きてェ」
「この道をまーっすぐ行ったところ」
「・・・・助かったよい」
「・・・・マルコさん」
「行くよい、アコ」
とにかくにこにこと笑ってる女の子に、
「あなたは誰?」
と聞いてみた。
「私は魔女」
「アコ」
「・・・・さよなら魔女さん」
「うん、またね」
マルコさんに強く引かれて、また歩き出した。
真っ直ぐに。
「・・・・・・マルコさん」
「あの女・・・・油断出来ねェよい」
「墓場に魔女・・・黒猫が居たらそれっぽいですね」
なーんちゃって、と笑ったら。
ニャァァン。
黒猫が目の前を横切った。
「・・・・完璧みたいだよい、アコ」
「・・・・ってことは」
目の前に見えた建物は当然。
「・・・・清潔感の欠片もねェ建物だねい」
「すっごい感想ですねマルコさん・・・これどう見てもお化け屋敷・・・」
「受付がゾンビじゃないことを祈っとけよい」
埃、蜘蛛の巣。からまる蔦。
ホラーハウスの見本の如き建物に、
私たちは入った。
ゾンビって何か弱点なかったっけ。
・・・・ま、いっか。
+ワクワクの 終+