鏡花水月、のように
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「この間みたいなことになるかもしれねェんだよい」
「なりませんよずっとマルコさんの隣に居るから」
「信用はしてねェよい」
「・・・・・いやん」
まあ前歴あるんですけどね。
でもそれでも、
「・・・それでも連れて行ってくれるんですね」
「連れて行かねェと面倒になると脅されたからねい」
「や、脅したっていうか」
「脅しだろい」
「・・・・ですかね」
まあそういうことにしておいてあげましょう。
一緒に連れて行ってくれることが嬉しいから。
「まぁ元々オヤジの許可はあったからねい」
「それでも、嬉しいです」
「にしてもえらくかかるじゃねェかい、準備」
「だってもう明日ですよ」
「荷物は少ない方がいいと忠告しておくよい」
「・・・マジですか。じゃあこれとこれやめてーこれもやめます」
マルコさんがそう言うのなら仕方ない。
さくさく不要なものを荷物からはずしてると、
くつくつと笑い声。
隣を見れば、
「素直だねい」
とマルコさんが楽しそうに笑ってる。
・・・・可愛いじゃなか。
「私はいつも素直ですよ!」
「そういうことにしてやるよい」
・・・・そう言うマルコさんは、
「マルコさん、準備は?」
準備なんか何もしてなさそう。
なのに、
「することなんかねェよい」
・・・アッサリ。
さすがだわ。
・・・・・何か今更不安になってきた。
「・・・アコ?」
黙り込んだ私を心配してくれたのか、
マルコさんが私の顔を覗き込んだ。
「・・・・・・ほんとは、マルコさん1人の方が、やりやすい・・・ですよね」
仕事、だもんね。
・・・私なんかいたって足手まといにしかならない。
「当然だろい?」
「う」
ちくりと胸が痛んだ、どころじゃないよ。
大打撃だよ!!
わかってはいたけど・・・!!
実際認められると、口にされるとかなり痛い。
「・・・・まあ、アコが居たら楽しいとは思うよい」
・・・・そんな傷心の心に、
入り込んだマルコさんの優しい笑み。
「・・・・・・ぅ」
「・・・・おい、アコ」
「泣いてませんよ・・・・っ」
「・・・確かに泣いちゃいねェが今にも泣きそうじゃねェかよい」
「ずるいですツンデレ・・・!!」
「デレてねェよい」
「いいえ立派なデレでした!・・・っ何か最近涙腺ゆるくて・・・っ」
「歳だねい」
「女性に何てこと言うんですか!!・・・・事実ですけれどもっ!!」
「ガキのお守りをするつもりはねェんだよい」
「・・・・・っ、勿論です!!」
出来れば隣に立ちたい。
無理なことはわかっていても。
足手まといだとしても。
今はまだ、無理でも。
・・・・いつか。
1年後、2年後も。
マルコさんの側で、隣に立っていたい。
とりえあずシャンプーもリンスも一応はずしておこう。
重いし。
化粧品もいらない。
「・・・・いいのかい?」
「へ?」
「女にとっちゃ重要なもんだろい、それ」
「・・・・最悪石鹸があれば!化粧もスッピン見られてる私としてはそんなに重要でもないですし」
行くのは未踏の島なので、
宿があるかもわからない。
あればシャンプーとかはあるんだろうけど。
・・・それでも、本当に大事なものだけを詰めるなら。
化粧品に至っては、
そもそもマルコさんとの出会いからしてスッピンどころか割とお風呂上り状態だったから。
そりゃ可愛い私で隣に居たい気持ちはあるけど、
デートじゃないことくらい承知してるつもりだし。
「アコのそういうところ・・・好きだよい」
「えっ」
い、今好きって言った!?
「・・・手が止まってるよい」
「い、今のもう1回お願いします!」
「手が止まってるって言ってんだい」
「その前!」
「いいから早くしろよい」
「はーい」
・・・お仕事だし、楽しみなんて言ったらいけないんだろうけど。
それでも俄然やる気湧いて来たし、
勇気出たし。
覚悟も。
・・・・・やっぱり、楽しみだなぁ。
「口元がにやけてるよい」
「そりゃあもう、俄然張り切ってるだけですとも!」
「張り切るようなことでもねェよい」
「・・・オヤジの役に立つんだーってもっと張り切ってるものかと」
あれ、意外。
「オヤジの為だけじゃねェ、何より未踏の島だ、何があるかわからないからねい」
「・・・真剣、ってことですね」
「当たり前だろい?下見に行って大丈夫でした、いざ行ってみたら危険が隠れてました、じゃ話しにならねェんだよい」
「確かに・・・」
責任重大。
「他には誰がするんですか?下見の仕事」
「俺とエースだけだよい」
「え、2人だけ?」
「俺は飛べる、エースにはストライカーがあるからねい」
「あーなるほど。・・・・マルコさんもエース君もいつも1人で?」
「誰かを連れて行く必要あるかい?」
「1人で危険・・・」
とか。
呟いたらマルコさんがにやりと笑みを浮かべた。
「危険?誰が、だい?」
・・・・わーお。
すごい自信。
でも確かに1番隊の隊長と2番隊の隊長だもんね。
「真剣・・・ですけど」
「・・・けど?」
「今回せっかく2人で行くんですもん。冒険にワクワクしたっていいですよね」
「・・・・海賊だからねい」
「ね!」
「ま、とりあえずは」
「とりあえずは?」
マルコさんが酒瓶を差し出した。
「前日祝いだ、飲むかい」
「飲みましょう!!」
明日からの真剣なお仕事に備えて、
2人で乾杯。
+前の日に 終+