鏡花水月、のように
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何だか冷静に、
ああこういうことかぁと思ったのが最初。
それから状況を理解して、
泣きそうになった。
・・・・・・・・・・初めての経験です。
誘拐なんて。
島に着いた、というので喜び勇んで船を降りた。
勿論マルコさんと一緒に。
そこで私は景色に夢中になって、
気が付いたら見知らぬ男性3人程に囲まれて、
薄暗い部屋に連れて来られた。
外から漏れ聞こえて来た声は、
『不死鳥は来るのか?』
・・・・・ふしちょう、ってマルコさんのことだよね。
『ふん、人質が居れば不死鳥も我々に逆らうまい』
『不死鳥が居なくなれば白ひげ海賊団もたいしたことねえさ』
そんなことないと思うよ!
確かにマルコさん強いけど、お父様だって強いしエース君だって相当強いらしいから。
・・・・・って。
口に出せないのが悔しいとこだけど。
なるほど私を人質にしてマルコさんを倒そうってことね。
・・・・・マルコさんは優しいから。
私を人質にされたら絶対手出せない。
そしたらきっと私の目の前でマルコさんが傷つく訳で。
・・・・・・・・・そんなの、絶対嫌。
せめて脱人質しないと!!
・・・・しないと、いけないのに。
目の前に男3人(しかもいかつい)。
私、女1人。
・・・・・無力だ。泣きそう。
いやいや、ここで諦めちゃ駄目だ。
私だって海賊に向いてると言われた女!
ここで諦めたら女が廃る!!
目指せ脱人質!!
ドアは1つ。
でも部屋の中には窓がある。
ものすごーく上に、だけど。
・・・・物音立てたらバレる。
でも物音立てずにあの窓によじ登ることはほぼ不可能。
しかも足をかけられるような所もない。
・・・・・それでも、逃げられる可能性があるならあそこしかない。
幸い手足は縛られてない。
口元にガムテープが貼られてたけどそんなの簡単に剥がれた。
動けるし声も出せる。
・・・・・頑張って飛べば窓に手はかけられるかも。
大きさ的にも上手くいけば抜けられる。
よし。
思い切り膝を曲げて。
跳ぶ!!
手を伸ばす、けど。
窓に手がかかる前に足が地に落ちた。
・・・・・惜しかった。
でも感覚は掴んだし、もう1回。
とはいかせてもらえない。
「何やってんだァ姉ちゃん」
・・・・ですよね。バレましたよね。
ヤバい。
私このままここで死ぬの?
・・・・・やだ、せっかくマルコさんに会えたのに。
こんなとこ、で。
「お腹がすいたんです!!!」
「・・・・はぁ?」
「涎でテープがとれました!餓死寸前です!!」
「・・・・仕方ねェな、何か食わせてやる」
「てっテーブルとイスもお願いします!私お嬢様なんでテーブルとイス必要なんですぅ!」
こうなりゃもう自棄よ!
と叫んだところ。
「ほらよ」
・・・・・・意外にもアッサリ用意された、
テーブルとイス。
そしてカレーライス。
「・・・・いっただきまーす」
私が食べてるところには興味ないのか、男3人は門番に戻った。
・・・・・・・テーブルとイスを重ねれば窓には余裕で届く。
とその前に一応腹ごしらえの意味でもカレーを一口。
・・・・・・あんま美味しくはなかった。
・・・・・・さて。
腹ごしらえを終えてゆっくりとテーブルにイスを重ねた。
・・・・・ゆっくりと体重をかけながら乗って行く。
うん、大丈夫。
窓をからりと開けて絶望した。
・・・・意外と高い。
ここからなんてとてもじゃないけど飛び降りることなんて。
でもだからってずっとここに居たら人質は必至。
とりあえず出ないと、と上の屋根に飛び乗った。
「うぁ・・・・っとぉ」
びゅうう、と風が吹き抜けていく。
・・・・・高い上に寒いときたよ。
しかもさっきより更に高いから降りられない。
・・・・・・・・・・でも戻る訳にはいかないもんね。
・・・・・マルコさぁぁん。
マルコさんの作ったカレーが恋しい。
・・・・マルコさんのぬくもりが、恋しい。
あまりにも暇なので思い切って飛び降りようかと下を見る。
・・・・無理だわ。さすがの私でも大怪我必至。
下手したら死んじゃ、
「ぁ」
下を覗いてたので、その勢いでくらりと目眩。
当然そのまま落下。
あまりに突然のことで、出て来た言葉は、
「マルコさん・・・・っ」
愛しい人。
ごめんなさい、馬鹿なままで。
最悪の状況を覚悟した。
そんな私の身体は地面に叩きつけ・・・・・られなかった。
「・・・・・・え」
「死ぬ気かよい!!」
「・・・・・・・・・・まっ」
ふわりと柔らかい羽根が私を抱き留めてくれた。
優しく地上に降り立った、神々しい鳥。
不死鳥。
「マルコしゃぁぁぁん!!!!」
「馬鹿なことしてんじゃねェよい!!」
「うわぁぁんご無事でぇえ!!!」
人間の姿に戻ったマルコさんに思いっきり抱き着いた。
「ったく目を離したすきに居なくなったと思ったら人質で、人質かと思って来たら居ねェじゃねぇかよい」
「あの人たち!!」
顔を上げれば呆れ顔のマルコさん。
「もう居ねェよい」
「・・・・・・え?」
「人質も居ないのにやらねェ必要があるかい?」
「わっ私せめて人質にはならないように逃げて来たんですけど・・・っ!!」
「・・・・それでここかい」
「下を覗いてたらうっかり」
「馬鹿だろい・・・・」
はあああ、とそれはそれは深いため息。
「で・・・・っでも」
「アコが人質だろうが、あんなのにやられる程落ちちゃいねェよい」
「・・・・・すみません」
余計なことしたんだ私。
マルコさんを見くびって。
・・・・・信じて、あげられなかった。
「・・・・とはいえ、居ない方がやりやすかったけどよい」
俯いた私の髪をくしゃくしゃにしたマルコさんは、笑ってた。
「・・・・目を離して、ごめんなさい」
「そりゃこっちの台詞だい。・・・悪かった」
「私っ今度からは安全に逃げるようにします!」
「その前に捕まらないように、だろい?」
「・・・・じゃあずっとマルコさんに捕まってます」
「・・・・馬鹿だねい、アコは」
その時のマルコさんは、
呆れてるようにも見えたんだけど。
私には何だか嬉しそうにも見えたりして。
+ 脱! 終+
ああこういうことかぁと思ったのが最初。
それから状況を理解して、
泣きそうになった。
・・・・・・・・・・初めての経験です。
誘拐なんて。
島に着いた、というので喜び勇んで船を降りた。
勿論マルコさんと一緒に。
そこで私は景色に夢中になって、
気が付いたら見知らぬ男性3人程に囲まれて、
薄暗い部屋に連れて来られた。
外から漏れ聞こえて来た声は、
『不死鳥は来るのか?』
・・・・・ふしちょう、ってマルコさんのことだよね。
『ふん、人質が居れば不死鳥も我々に逆らうまい』
『不死鳥が居なくなれば白ひげ海賊団もたいしたことねえさ』
そんなことないと思うよ!
確かにマルコさん強いけど、お父様だって強いしエース君だって相当強いらしいから。
・・・・・って。
口に出せないのが悔しいとこだけど。
なるほど私を人質にしてマルコさんを倒そうってことね。
・・・・・マルコさんは優しいから。
私を人質にされたら絶対手出せない。
そしたらきっと私の目の前でマルコさんが傷つく訳で。
・・・・・・・・・そんなの、絶対嫌。
せめて脱人質しないと!!
・・・・しないと、いけないのに。
目の前に男3人(しかもいかつい)。
私、女1人。
・・・・・無力だ。泣きそう。
いやいや、ここで諦めちゃ駄目だ。
私だって海賊に向いてると言われた女!
ここで諦めたら女が廃る!!
目指せ脱人質!!
ドアは1つ。
でも部屋の中には窓がある。
ものすごーく上に、だけど。
・・・・物音立てたらバレる。
でも物音立てずにあの窓によじ登ることはほぼ不可能。
しかも足をかけられるような所もない。
・・・・・それでも、逃げられる可能性があるならあそこしかない。
幸い手足は縛られてない。
口元にガムテープが貼られてたけどそんなの簡単に剥がれた。
動けるし声も出せる。
・・・・・頑張って飛べば窓に手はかけられるかも。
大きさ的にも上手くいけば抜けられる。
よし。
思い切り膝を曲げて。
跳ぶ!!
手を伸ばす、けど。
窓に手がかかる前に足が地に落ちた。
・・・・・惜しかった。
でも感覚は掴んだし、もう1回。
とはいかせてもらえない。
「何やってんだァ姉ちゃん」
・・・・ですよね。バレましたよね。
ヤバい。
私このままここで死ぬの?
・・・・・やだ、せっかくマルコさんに会えたのに。
こんなとこ、で。
「お腹がすいたんです!!!」
「・・・・はぁ?」
「涎でテープがとれました!餓死寸前です!!」
「・・・・仕方ねェな、何か食わせてやる」
「てっテーブルとイスもお願いします!私お嬢様なんでテーブルとイス必要なんですぅ!」
こうなりゃもう自棄よ!
と叫んだところ。
「ほらよ」
・・・・・・意外にもアッサリ用意された、
テーブルとイス。
そしてカレーライス。
「・・・・いっただきまーす」
私が食べてるところには興味ないのか、男3人は門番に戻った。
・・・・・・・テーブルとイスを重ねれば窓には余裕で届く。
とその前に一応腹ごしらえの意味でもカレーを一口。
・・・・・・あんま美味しくはなかった。
・・・・・・さて。
腹ごしらえを終えてゆっくりとテーブルにイスを重ねた。
・・・・・ゆっくりと体重をかけながら乗って行く。
うん、大丈夫。
窓をからりと開けて絶望した。
・・・・意外と高い。
ここからなんてとてもじゃないけど飛び降りることなんて。
でもだからってずっとここに居たら人質は必至。
とりあえず出ないと、と上の屋根に飛び乗った。
「うぁ・・・・っとぉ」
びゅうう、と風が吹き抜けていく。
・・・・・高い上に寒いときたよ。
しかもさっきより更に高いから降りられない。
・・・・・・・・・・でも戻る訳にはいかないもんね。
・・・・・マルコさぁぁん。
マルコさんの作ったカレーが恋しい。
・・・・マルコさんのぬくもりが、恋しい。
あまりにも暇なので思い切って飛び降りようかと下を見る。
・・・・無理だわ。さすがの私でも大怪我必至。
下手したら死んじゃ、
「ぁ」
下を覗いてたので、その勢いでくらりと目眩。
当然そのまま落下。
あまりに突然のことで、出て来た言葉は、
「マルコさん・・・・っ」
愛しい人。
ごめんなさい、馬鹿なままで。
最悪の状況を覚悟した。
そんな私の身体は地面に叩きつけ・・・・・られなかった。
「・・・・・・え」
「死ぬ気かよい!!」
「・・・・・・・・・・まっ」
ふわりと柔らかい羽根が私を抱き留めてくれた。
優しく地上に降り立った、神々しい鳥。
不死鳥。
「マルコしゃぁぁぁん!!!!」
「馬鹿なことしてんじゃねェよい!!」
「うわぁぁんご無事でぇえ!!!」
人間の姿に戻ったマルコさんに思いっきり抱き着いた。
「ったく目を離したすきに居なくなったと思ったら人質で、人質かと思って来たら居ねェじゃねぇかよい」
「あの人たち!!」
顔を上げれば呆れ顔のマルコさん。
「もう居ねェよい」
「・・・・・・え?」
「人質も居ないのにやらねェ必要があるかい?」
「わっ私せめて人質にはならないように逃げて来たんですけど・・・っ!!」
「・・・・それでここかい」
「下を覗いてたらうっかり」
「馬鹿だろい・・・・」
はあああ、とそれはそれは深いため息。
「で・・・・っでも」
「アコが人質だろうが、あんなのにやられる程落ちちゃいねェよい」
「・・・・・すみません」
余計なことしたんだ私。
マルコさんを見くびって。
・・・・・信じて、あげられなかった。
「・・・・とはいえ、居ない方がやりやすかったけどよい」
俯いた私の髪をくしゃくしゃにしたマルコさんは、笑ってた。
「・・・・目を離して、ごめんなさい」
「そりゃこっちの台詞だい。・・・悪かった」
「私っ今度からは安全に逃げるようにします!」
「その前に捕まらないように、だろい?」
「・・・・じゃあずっとマルコさんに捕まってます」
「・・・・馬鹿だねい、アコは」
その時のマルコさんは、
呆れてるようにも見えたんだけど。
私には何だか嬉しそうにも見えたりして。
+ 脱! 終+