鏡花水月、のように
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「じゃあ見えてたんですか私!」
「見えてたよい」
「・・・・・・・・っ」
衝撃。
私の部屋の鏡にマルコさんが見えてた時、
マルコさんにも私が見えてたらしい。
・・・・・・・何てこと!
「・・・・何だよい」
「じゃあ、じゃあマルコさん私のあんな姿やこーんな姿も・・・!!」
「どんなだよい。・・・・変なのは見てねェ」
「着替えとかも!?」
「ねェよい!!」
恥ずかしい!!
だって私思いっきり泣いたりとか変顔してみたりしてたのに!!
「・・・・・・・・波と鏡、か」
「・・・・繋がりはねェな」
マルコさんは私の言いたいことを理解してくれたようで、
真面目な顔でぽつりと呟いた。
・・・・マルコさんがうちから帰った時は波。
私がこちらに来たのは鏡。
マルコさんの言う通り共通点はない。
マルコさんがうちに来た時は突然だったんだっけ。
「鏡が繋がるってロマンチックですよね!」
「・・・・・お前ェはホントによい」
躊躇なく投げかけられた呆れの視線。
マルコさんは思いっきり深いため息を吐いて、
私の頭をこつん。
「ちったァ真面目に考えろよい」
「考えてもわからないので放棄しました」
「・・・・・・放棄すんな」
「ていうかマルコさんの部屋綺麗ですよねーさすがです」
「おい」
「1人部屋ですか!?」
「・・・・一応ねい」
「わー難しそうな本。絶対読みたくない」
「・・・・アコ、あんま動くと」
マルコさんが何か言いかけた瞬間、
がくんと船が大きく揺れた。
「うわ!?」
「っだから・・・・・・・!!」
突然の揺れに対応出来なかった私の身体はそのまま地面、
の前に。
「・・・・・ぽす。って感じですね」
ちょうどいい具合にマルコさんの腕の中に収まった。
「ここは船の上・・・海の真っ只中だい、うろちょろすんな」
「えへへー有難う御座います」
確かにマルコさんの腕の中。
いつも助けてくれた、いつものマルコさん。
「・・・・・反省してねェだろい」
「してますよ。マルコさんの側でだけうろちょろします!」
「・・・・・・・ならいい」
ふざけんなよいって怒られるかと思ったのに。
・・・・・いいんだ。
そういうところ。
「・・・・・・好きです」
再会して初めての告白。
だったのに、
「知ってるよい」
・・・・・・鮮やかな答え。
「あ。ここ海賊船なんですよね探検してきていいですか!?」
「駄目だよい!」
「・・・・・マルコさんも一緒に」
「何で勝手知ったる船内の探検しなきゃいけねェんだよい」
「私の為に」
「・・・・・海賊船に居るのは誰だと思ってんだよい」
「海賊ですよね。マルコさんも海賊だし」
「わかってんならここで大人しくしてろい」
「わかってるんで控えめに探検してきまーす!」
ワクワクドキドキの海賊船探検!
と思ったのに、
「駄目だって言ってんだろい」
腕の力が強くなって、
ぎゅう。
・・・・・完全に閉じ込められた。
いやこれはこれで嬉しいんだけど。
でも少し複雑なのは、
「恥ずかしいですか?」
「・・・・何がだよい」
「・・・・私がマルコさんの隣に居たら、恥ずかしい、ですか」
・・・・・マルコさんにとって私は恥なのかなって思ったら。
悲しくなった。
「恥ずかしいんじゃねェ」
「・・・・じゃあ、」
「少し目ェ離したら迷子になるからだよい」
「・・・・・・・・・・・は?」
・・・・迷子?
「モビーの広さを舐めんな。1人で歩きゃこの部屋には戻って来れねェよい」
「・・・・・じゃあ手繋いで下さい」
「ばっ・・・・・・・・馬鹿言ってんじゃねェよい」
「私を閉じ込めておく気ですか?・・・ずっと、ここに」
この腕の中に。
・・・・マルコさんは何も言わず私を睨みつけて。
私も何も言わないでマルコさんを見つめ返す。
・・・・自然と顔が近づいて、
目を閉じた。
瞬間。
「マルコーさっきのことで航海士が・・・・・・・・・・・あ」
ドアが開いて知らない男の人が入って来て、
私たちを見て無言でドアを閉めた。
「・・・・・・・・・・マルコさん」
「絶対ここから出るんじゃねェよい!!」
マルコさんは顔を真っ赤にして、
部屋を出て行った。
・・・・・・この船ってそんなに広いの?
でもせっかく海賊船に来れたのにこのままじっとしてるなんて。
・・・・出ちゃおうかなーと考えてたら部屋の外で声が聞こえて、思わずドアを開けた。
「あ」
マルコさんがまた居て、さっきドアを開けた人と何か言い争ってる。
「アコてめェ・・・・出るなって言っただろうがよい!」
「きゃーごめんなさいでも見てみたいじゃないですかー!!」
「何々アコちゃんていうの?俺サッチよろしくなー」
さっきは一瞬でよく見えなかったけど、
この人よく見たらリーゼント!変なヒゲ!
「あ、どうも。マルコさんがいつもお世話になってますー」
「探検したいなら俺付き合うよ?暇だし」
「サッチ!黙ってろい!」
「だーってマルコは航海士んとこに行かなきゃだろ?」
「お気持ちは嬉しいんですがマルコさんの側でないと私うろちょろ出来ないんです」
「アコも黙ってろよい!そもそも部屋から出るなって言っただろうが!」
「ぶーぶー」
「そーだそーだ、ぶーぶー」
サッチさんと言う人と一緒にぶーぶー言ってたらマルコさんにがっと腕を掴まれた。
「アコ」
「・・・・・はい」
・・・・・・怒らせちゃったかな。
調子乗り過ぎた?
「行くよい」
「え?」
「え、アコちゃん航海士んとこ連れてくのマルコ」
「案内はその後だよい。いいねい?」
「・・・・っはい!!」
優しい優しい、
いつものマルコさんだ。
+いつもの 終+