鏡花水月、のように
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好きな人が居ます。
おっさんで、
パイナップルで、
料理が上手で片付けが早くて。
優しくて。
・・・・空が飛べて、
海賊。
そんな私の好きな人とはもう会えない。
遠距離恋愛どころじゃない。
・・・・・もうそろそろ新しい恋愛、考えるべきなのかな。
思う度に携帯の待ち受けを見て、
無理だな。
と思い知らされる。
この人ほど、好きになれる人なんてきっといない。
無理に自分を取り繕って誰かと付き合うとか時間の無駄だし。
・・・・何より、
『馬鹿だねい』
なんて呆れ顔で言われそうだ。
まあそれはともかく、
「つっ・・・・・・・・・・・・・かれた」
・・・・・社員半端ない。
責任も半端ない。
先輩が厳しく言ってた理由がわかった気もする。
疲れた。
癒しが欲しい。
・・・・・というか。
「・・・・会いたいなぁ」
マルコさん。
今頃何処にいるのかな。
海の上かな。
戦ってたりして。
家族と呼ぶ仲間と楽しく過ごしてるんだろうか。
「マルコ、さーん」
呼んでみるけど何も反応はない。
当たり前だ。
・・・・携帯通じないのかなぁ、グランドラインて。
マルコさん。
彼はグランドラインと呼ばれる不思議な海の海賊さんで、
私とは全然違う世界に住んでる人だから。
一時は何故か私の家に来てしまい、一緒に暮らしてたけど。
もう1度会いたい。
強く願いながら私は鏡を見た。
うちにあるものにしては高価な、全身が映る鏡。
・・・・・たまーに、
ホントに極たまになんだけど、
マルコさんのことを想いながらこの鏡を見てると、マルコさんの姿が映る時がある。
それはぼんやりだったり、
割とはっきりだったり。
思いの強さは同じはずなんだけど。
でも鏡に声をかけても、何の反応もない。
映るマルコさんは、
こちらを見てたり、何かしてたり。
・・・・そんなことされちゃあ未練はたまるばかりだよい。
あーあ、本物に会いたい。
・・・・明日の仕事の準備、しないとな。
「アコちゃんが社員になってくれて俺嬉しいよ」
「・・・・はあ、どうも」
この人誰だっけ。
えーと確か、今まで違う部署に居たけど1週間くらい前にこっちに異動になったイクトさんとかいう人だ。
先輩から、
『彼人気あるのよ、狙いなさい』
とか言われた。
確かに優しいしいつも笑顔で、いい人なんだろうとは思うけど。
・・・・髭、ないしな。
髪形も普通だし。
筋肉もない。
金髪でもなければ語尾によいもついてないし。
海賊でもない。
「アコちゃん海好き?」
「海・・・・・・ですか」
「そうそう、今度一緒にドライブ行かない?」
海・・・・・かぁ。
「チューハイと柿ピーで乾杯、ですかねえ」
「やだなぁ、勿論海の見えるレストランで食事の予定だよ」
「海に行ったら・・・・海賊居ますかね?」
「アコちゃん海賊会いたいの?面白いな」
海賊に会いたい訳じゃない。
海賊であるマルコさんに会いたいだけだ。
「で、行くでしょ?いつ空いてる?」
「あ、でも皆の予定も聞かないと」
「・・・・・皆?」
「後で声かけてみますね!」
「・・・・ちなみにアコちゃん、ラインのID教えて?」
「私ラインやってないですー」
あとで先輩に皆に声かけてもらうようにお願いしよう。
なんて呑気に考えつつ仕事に戻ったら、
帰る前に先輩が怒ったように近づいてきた。
「ちょっとアコ!!」
「また何かやりました私!?」
「こっちが聞きたいわよ何したのあんた!!」
「えええええ!?」
私も聞きたいんですけど何したの私!
「イクトさん怒らせたでしょ!?」
「・・・・・・・・え」
「アコを降格させるって怒ってるのよあの人!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・マジすか」
マジで何した私。
「ねえもしかして海に、って・・・・あんただけ誘ったつもりなんじゃないの?」
「げえええええ!?」
「ラインのIDも聞かれた?」
「私やってないですもん!!」
「・・・・遠回しにフられたと思ってるに1票」
何とか掛け合ってみるわ、と先輩にお願いして帰宅。
・・・・・・・・・・・最悪だ。
何かこう、もっと自由に生きたい。
というか私のことをもう少しわかってくれる人の側に居たい。
・・・・まあマルコさんなんだけど。
こんな時帰ったらマルコさんがおかえりって言ってくれて美味しいご飯作って待っててくれて。
・・・・そしたらきっと明日だって仕事頑張れるのになぁ。
鏡をじっと見つめた。
ぼんやりと映ったのは自分の姿じゃなく、
マルコさんの姿。
ああ今日は見れた。
「・・・・ねえマルコさん、そっちはそんなに楽しいですか?」
もう2度とうちには来てくれませんか?
それならそれでいい。
・・・・・・・それなら、
私を連れて行っては、くれませんか。
そちら側に。
「・・・・・マルコさんマルコさん」
私頑張るから。
料理も掃除も洗濯も。
苦手だけど。
貴方の側に居る為ならきっと何だって頑張るから。
だからもう1度、
「会いたい・・・・・っ」
ぼろぼろと涙が零れたら、
にょっと鏡からごっつい腕が出て来た。
「は!?」
さすがにこれは驚いた。
そしてその腕は私の腕を掴み、凄い力で引っ張った。
・・・・・この腕を、
この感覚を。
私は知ってる。
だから私は、
引っ張られるがまま。
+引っ張って 終+
おっさんで、
パイナップルで、
料理が上手で片付けが早くて。
優しくて。
・・・・空が飛べて、
海賊。
そんな私の好きな人とはもう会えない。
遠距離恋愛どころじゃない。
・・・・・もうそろそろ新しい恋愛、考えるべきなのかな。
思う度に携帯の待ち受けを見て、
無理だな。
と思い知らされる。
この人ほど、好きになれる人なんてきっといない。
無理に自分を取り繕って誰かと付き合うとか時間の無駄だし。
・・・・何より、
『馬鹿だねい』
なんて呆れ顔で言われそうだ。
まあそれはともかく、
「つっ・・・・・・・・・・・・・かれた」
・・・・・社員半端ない。
責任も半端ない。
先輩が厳しく言ってた理由がわかった気もする。
疲れた。
癒しが欲しい。
・・・・・というか。
「・・・・会いたいなぁ」
マルコさん。
今頃何処にいるのかな。
海の上かな。
戦ってたりして。
家族と呼ぶ仲間と楽しく過ごしてるんだろうか。
「マルコ、さーん」
呼んでみるけど何も反応はない。
当たり前だ。
・・・・携帯通じないのかなぁ、グランドラインて。
マルコさん。
彼はグランドラインと呼ばれる不思議な海の海賊さんで、
私とは全然違う世界に住んでる人だから。
一時は何故か私の家に来てしまい、一緒に暮らしてたけど。
もう1度会いたい。
強く願いながら私は鏡を見た。
うちにあるものにしては高価な、全身が映る鏡。
・・・・・たまーに、
ホントに極たまになんだけど、
マルコさんのことを想いながらこの鏡を見てると、マルコさんの姿が映る時がある。
それはぼんやりだったり、
割とはっきりだったり。
思いの強さは同じはずなんだけど。
でも鏡に声をかけても、何の反応もない。
映るマルコさんは、
こちらを見てたり、何かしてたり。
・・・・そんなことされちゃあ未練はたまるばかりだよい。
あーあ、本物に会いたい。
・・・・明日の仕事の準備、しないとな。
「アコちゃんが社員になってくれて俺嬉しいよ」
「・・・・はあ、どうも」
この人誰だっけ。
えーと確か、今まで違う部署に居たけど1週間くらい前にこっちに異動になったイクトさんとかいう人だ。
先輩から、
『彼人気あるのよ、狙いなさい』
とか言われた。
確かに優しいしいつも笑顔で、いい人なんだろうとは思うけど。
・・・・髭、ないしな。
髪形も普通だし。
筋肉もない。
金髪でもなければ語尾によいもついてないし。
海賊でもない。
「アコちゃん海好き?」
「海・・・・・・ですか」
「そうそう、今度一緒にドライブ行かない?」
海・・・・・かぁ。
「チューハイと柿ピーで乾杯、ですかねえ」
「やだなぁ、勿論海の見えるレストランで食事の予定だよ」
「海に行ったら・・・・海賊居ますかね?」
「アコちゃん海賊会いたいの?面白いな」
海賊に会いたい訳じゃない。
海賊であるマルコさんに会いたいだけだ。
「で、行くでしょ?いつ空いてる?」
「あ、でも皆の予定も聞かないと」
「・・・・・皆?」
「後で声かけてみますね!」
「・・・・ちなみにアコちゃん、ラインのID教えて?」
「私ラインやってないですー」
あとで先輩に皆に声かけてもらうようにお願いしよう。
なんて呑気に考えつつ仕事に戻ったら、
帰る前に先輩が怒ったように近づいてきた。
「ちょっとアコ!!」
「また何かやりました私!?」
「こっちが聞きたいわよ何したのあんた!!」
「えええええ!?」
私も聞きたいんですけど何したの私!
「イクトさん怒らせたでしょ!?」
「・・・・・・・・え」
「アコを降格させるって怒ってるのよあの人!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・マジすか」
マジで何した私。
「ねえもしかして海に、って・・・・あんただけ誘ったつもりなんじゃないの?」
「げえええええ!?」
「ラインのIDも聞かれた?」
「私やってないですもん!!」
「・・・・遠回しにフられたと思ってるに1票」
何とか掛け合ってみるわ、と先輩にお願いして帰宅。
・・・・・・・・・・・最悪だ。
何かこう、もっと自由に生きたい。
というか私のことをもう少しわかってくれる人の側に居たい。
・・・・まあマルコさんなんだけど。
こんな時帰ったらマルコさんがおかえりって言ってくれて美味しいご飯作って待っててくれて。
・・・・そしたらきっと明日だって仕事頑張れるのになぁ。
鏡をじっと見つめた。
ぼんやりと映ったのは自分の姿じゃなく、
マルコさんの姿。
ああ今日は見れた。
「・・・・ねえマルコさん、そっちはそんなに楽しいですか?」
もう2度とうちには来てくれませんか?
それならそれでいい。
・・・・・・・それなら、
私を連れて行っては、くれませんか。
そちら側に。
「・・・・・マルコさんマルコさん」
私頑張るから。
料理も掃除も洗濯も。
苦手だけど。
貴方の側に居る為ならきっと何だって頑張るから。
だからもう1度、
「会いたい・・・・・っ」
ぼろぼろと涙が零れたら、
にょっと鏡からごっつい腕が出て来た。
「は!?」
さすがにこれは驚いた。
そしてその腕は私の腕を掴み、凄い力で引っ張った。
・・・・・この腕を、
この感覚を。
私は知ってる。
だから私は、
引っ張られるがまま。
+引っ張って 終+