いつかまた
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今回の宿は奮発して、
ちょっといいところにしてみた。
「・・・・まあ、素敵」
とっても広い部屋。
「広すぎて落ち着かねェよい」
あ、マルコさんが私の気持ち代弁してくれた。
「まったくもってその通りなんですが・・・こんな機会滅多にないので隅々まで楽しみましょう!」
「何を楽しむんだよい」
「そっと指で触ってみると・・・・あら綺麗」
埃でもついてるんじゃないかと思ったのに。
「何処の姑だい」
「えへ」
「・・・・んなことより、アコ」
「はいー?」
窓を開けて景色を見ながら背伸び。
んー気持ちいい。
「金かけ過ぎだろい」
「・・・・マルコさんてほんと」
「・・・・何だよい」
ロマンの欠片もないよね!
仮にもこれから旅先の旅館で、
2人で1つの部屋で過ごすのに!
・・・・予算の都合で2部屋はとれなかった。
でも、家ではいつも1つ屋根の下だし?
あまつさえ隣で寝てるし?
問題ないだろうとは思った。
でも心が開放的になる旅先ですよ。
もうちょっとこう、ロマンチックな雰囲気とかになるんじゃないかしら、と思ってたのに。
まさかのここまできてのお金の心配とか。
「・・・・現実的、っていうか。マルコさんらしいっていうか」
「俺が居なかったら使わずに済んだ金だろい」
「・・・・・ぶふっ」
「・・・・おい」
「ぶふははっ!あはははっ、あーごめんなさい。心配してくれてるのに」
まさかそんなことを思ってくれてるとは。
もしかしてずっと、考えてたのかな。
「ここまで来んのだって飛びゃすぐだったはずだ」
あくまで真面目な顔のマルコさんが可愛く見える。
「飛んで来たら味気ないじゃないですか」
「・・・・でも、よい」
「マルコさんの世界でだって、目的の場所に飛んで行くより船で仲間と行った方が楽しいでしょう?」
「・・・・・時と場合による」
・・・・素直じゃないな。
「私はマルコさんとゆっくり電車で旅がしたかったんです、こうして」
だから私のワガママなんですよ。
そう言ってはみたけど、
「にしてもこんな広い部屋である必要はねェよい」
・・・・まだ納得しないよ。
「だってうち狭いし、せっかくの旅行なら広い部屋がいいかなあと思って。ほら、景色も素敵ですよー」
「俺が居なかったらこんな部屋にしなかったんじゃねェのかい」
「しましたよ」
「・・・・・しぶといねい」
マルコさんもね!
「ていうかマルコさんさっきっから俺が居なかったらーとか言ってますけど、逆の発想ないんですか?」
「逆?」
「マルコさんが居たから今の私が笑ってられるんだって考えてみて下さい」
さあこれでどうだ、と思いきや。
「・・・・考えられねェんだよい」
「・・・・マルコさんそんなネガティブでしたっけ」
驚いた。
マルコさんがこんな人だったなんて。
「あっはっはっはっは!!」
「・・・・どうした」
「や、信じられないんなら信じさせようと思いまして」
「・・・阿呆面であることは知ってたよい」
ひどい人だよ本当に。
こんな言葉ですら、嬉しくさせるんだから。
「私派遣とはいえでずっと働いてますし服とかも必要最低限しか買ってなかったんで貯金もありますし」
趣味にはそこそこお金かけてたけど。
「それにマルコさんとの出会いなんていくらお金かけても買えないモンですよ。・・・出会えて、どんなに嬉しかったか」
お金をかければマルコさんにいつでも会えるなら、私きっと必死になって働く。
でも出来ないから。
「だからマルコさんとの時間は大事にしたいし、後悔したくないです」
「・・・・アコは変わってるよい」
ふ、と笑んだマルコさんの表情が柔らかくてほっとした。
「それは褒め言葉です。有難う御座います。それよりそろそろご飯行きませんか?」
「ああ、腹減ったよい」
えーと、お食事は雲海の間・・・だったよね。
2人でてくてくと歩いていくと、
「あーいい匂い」
お肉を焼く匂い。
無事に雲海の間にたどり着いて、名前を言うと、
「お待ちしておりました。お席にご案内致します」
案内されたのは海が見える窓辺の席。
って言ってももう暗いんだけど。
それでもお互い目線は海。
海は暗くても、こんなにも惹かれるものなんだなぁ。
案内されたテーブルに次々並べられていく料理。
和牛ステーキにお刺身にお鍋。
それらはどれも、
「美味しい・・・美味し過ぎる」
絶品。
「・・・・懐かしい味だよい」
マルコさんも美味しそうに食べてる。良かった。
「あ、マルコさんこれあげます」
「・・・好き嫌いは関心しねェよいアコ」
「・・・・食べますハイ」
ちょっと甘えてみたけど見事にぴしゃり。
こういうとこもマルコさんらしい。
「好き嫌い言ってっと海賊にはなれねェよい」
「・・・・・・・・努力します」
ククッ、と笑うマルコさんは・・・どう思ってるんだろう。
もし、私がマルコさんの世界に行けたら。
・・・私に海賊になって欲しいんだろうか。
聞けないことはたくさんある。
・・・・・それでも、
「仕方ねェからこれだけ食ってやるよい」
「やった!有難う御座います!」
・・・・今、幸せ。
ちゃぽん、と足をお湯に入れた。
ちょっと熱いけどなかなかいい湯加減だ。
身体全部を浸けたら力が抜けた。
「ふぁ・・・・・」
気持ちいい。
美味しいご飯食べて、
たっぷりの熱いお湯で(しかも足が伸ばせる)温泉で。
最高。
・・・・マルコさんを帰す為に、っていうのもあるけど。
今回のことは本当は、
マルコさんと旅行がしたかっただけでもある。
勿論帰れるにこしたことはないけど。
今頃マルコさんも温泉楽しんでるかな。
日頃の家事の疲れとか癒されてるといいな。
そんなことを考えながらサッパリして、
部屋に戻ったら、
マルコさんはすでに戻って来てた。
「あれ、早かったですね」
「そんなに長いこと入ってられねェよい」
そんなもんかな。
「あ、もしかして・・・海、見てました?」
「・・・・そんなとこだい」
本当に好きなんだなあ、海。
妬けちゃうくらい。
「・・・・・私、昔波にさらわれたことがあるんですよ」
「・・・よく無事だったねい」
「本当そう思います。冷たくて綺麗な海をぼーっと見てたらざぱーんって」
小さい私は見事に掻っ攫われた。
「気が付いたら真っ青な顔の両親が居て。それから特に厳しくなった気がしますねえ」
誰かが、助けてくれたような気もする。
でも誰も居なかったような気もする。
「それで海が怖くなったかい」
「全然。記憶がなかったので。ただ海の中から見た空が綺麗だったなあ、としか」
「アコらしいよい」
「マルコさんも波にさらわれちゃったりして」
「そんなヘマしねェよい」
ただ思ったことを口にしただけなのに、
胸がざわついた。
「んなことより髪濡れてるよい、しっかり乾かさねェと風邪ひくだろうが」
「あ、」
話題を変えようと思った瞬間マルコさんが私の濡れたままの髪に気づいて、
話しがそっちに向かったのでほっとした。
・・・・何で、だろう。
ものすごく嫌な感じだった。
それはほんの一瞬で、肩にかけてたタオルをマルコさんが取って、髪を拭いてくれてて。
嫌な感じは消えた。
「・・・・・ねむくなりました」
「飯食ってあったまって寝るのかよい。ガキか」
だって何と言われようと安心するんだもの。
マルコさんが側に居るこの空間が。
当たり前じゃないのに、当たり前のようになってるこのぬくもりが。
・・・・・いつか、
失ってしまうこの存在が。
「・・・・・・・・・・・・・・・嘘だろい」
マルコさんに身体を預けて、そのまま意識を失った私には聞こえなかった、
マルコさんの言葉。
今はまだ、夢の中で。
+今は 終+
ちょっといいところにしてみた。
「・・・・まあ、素敵」
とっても広い部屋。
「広すぎて落ち着かねェよい」
あ、マルコさんが私の気持ち代弁してくれた。
「まったくもってその通りなんですが・・・こんな機会滅多にないので隅々まで楽しみましょう!」
「何を楽しむんだよい」
「そっと指で触ってみると・・・・あら綺麗」
埃でもついてるんじゃないかと思ったのに。
「何処の姑だい」
「えへ」
「・・・・んなことより、アコ」
「はいー?」
窓を開けて景色を見ながら背伸び。
んー気持ちいい。
「金かけ過ぎだろい」
「・・・・マルコさんてほんと」
「・・・・何だよい」
ロマンの欠片もないよね!
仮にもこれから旅先の旅館で、
2人で1つの部屋で過ごすのに!
・・・・予算の都合で2部屋はとれなかった。
でも、家ではいつも1つ屋根の下だし?
あまつさえ隣で寝てるし?
問題ないだろうとは思った。
でも心が開放的になる旅先ですよ。
もうちょっとこう、ロマンチックな雰囲気とかになるんじゃないかしら、と思ってたのに。
まさかのここまできてのお金の心配とか。
「・・・・現実的、っていうか。マルコさんらしいっていうか」
「俺が居なかったら使わずに済んだ金だろい」
「・・・・・ぶふっ」
「・・・・おい」
「ぶふははっ!あはははっ、あーごめんなさい。心配してくれてるのに」
まさかそんなことを思ってくれてるとは。
もしかしてずっと、考えてたのかな。
「ここまで来んのだって飛びゃすぐだったはずだ」
あくまで真面目な顔のマルコさんが可愛く見える。
「飛んで来たら味気ないじゃないですか」
「・・・・でも、よい」
「マルコさんの世界でだって、目的の場所に飛んで行くより船で仲間と行った方が楽しいでしょう?」
「・・・・・時と場合による」
・・・・素直じゃないな。
「私はマルコさんとゆっくり電車で旅がしたかったんです、こうして」
だから私のワガママなんですよ。
そう言ってはみたけど、
「にしてもこんな広い部屋である必要はねェよい」
・・・・まだ納得しないよ。
「だってうち狭いし、せっかくの旅行なら広い部屋がいいかなあと思って。ほら、景色も素敵ですよー」
「俺が居なかったらこんな部屋にしなかったんじゃねェのかい」
「しましたよ」
「・・・・・しぶといねい」
マルコさんもね!
「ていうかマルコさんさっきっから俺が居なかったらーとか言ってますけど、逆の発想ないんですか?」
「逆?」
「マルコさんが居たから今の私が笑ってられるんだって考えてみて下さい」
さあこれでどうだ、と思いきや。
「・・・・考えられねェんだよい」
「・・・・マルコさんそんなネガティブでしたっけ」
驚いた。
マルコさんがこんな人だったなんて。
「あっはっはっはっは!!」
「・・・・どうした」
「や、信じられないんなら信じさせようと思いまして」
「・・・阿呆面であることは知ってたよい」
ひどい人だよ本当に。
こんな言葉ですら、嬉しくさせるんだから。
「私派遣とはいえでずっと働いてますし服とかも必要最低限しか買ってなかったんで貯金もありますし」
趣味にはそこそこお金かけてたけど。
「それにマルコさんとの出会いなんていくらお金かけても買えないモンですよ。・・・出会えて、どんなに嬉しかったか」
お金をかければマルコさんにいつでも会えるなら、私きっと必死になって働く。
でも出来ないから。
「だからマルコさんとの時間は大事にしたいし、後悔したくないです」
「・・・・アコは変わってるよい」
ふ、と笑んだマルコさんの表情が柔らかくてほっとした。
「それは褒め言葉です。有難う御座います。それよりそろそろご飯行きませんか?」
「ああ、腹減ったよい」
えーと、お食事は雲海の間・・・だったよね。
2人でてくてくと歩いていくと、
「あーいい匂い」
お肉を焼く匂い。
無事に雲海の間にたどり着いて、名前を言うと、
「お待ちしておりました。お席にご案内致します」
案内されたのは海が見える窓辺の席。
って言ってももう暗いんだけど。
それでもお互い目線は海。
海は暗くても、こんなにも惹かれるものなんだなぁ。
案内されたテーブルに次々並べられていく料理。
和牛ステーキにお刺身にお鍋。
それらはどれも、
「美味しい・・・美味し過ぎる」
絶品。
「・・・・懐かしい味だよい」
マルコさんも美味しそうに食べてる。良かった。
「あ、マルコさんこれあげます」
「・・・好き嫌いは関心しねェよいアコ」
「・・・・食べますハイ」
ちょっと甘えてみたけど見事にぴしゃり。
こういうとこもマルコさんらしい。
「好き嫌い言ってっと海賊にはなれねェよい」
「・・・・・・・・努力します」
ククッ、と笑うマルコさんは・・・どう思ってるんだろう。
もし、私がマルコさんの世界に行けたら。
・・・私に海賊になって欲しいんだろうか。
聞けないことはたくさんある。
・・・・・それでも、
「仕方ねェからこれだけ食ってやるよい」
「やった!有難う御座います!」
・・・・今、幸せ。
ちゃぽん、と足をお湯に入れた。
ちょっと熱いけどなかなかいい湯加減だ。
身体全部を浸けたら力が抜けた。
「ふぁ・・・・・」
気持ちいい。
美味しいご飯食べて、
たっぷりの熱いお湯で(しかも足が伸ばせる)温泉で。
最高。
・・・・マルコさんを帰す為に、っていうのもあるけど。
今回のことは本当は、
マルコさんと旅行がしたかっただけでもある。
勿論帰れるにこしたことはないけど。
今頃マルコさんも温泉楽しんでるかな。
日頃の家事の疲れとか癒されてるといいな。
そんなことを考えながらサッパリして、
部屋に戻ったら、
マルコさんはすでに戻って来てた。
「あれ、早かったですね」
「そんなに長いこと入ってられねェよい」
そんなもんかな。
「あ、もしかして・・・海、見てました?」
「・・・・そんなとこだい」
本当に好きなんだなあ、海。
妬けちゃうくらい。
「・・・・・私、昔波にさらわれたことがあるんですよ」
「・・・よく無事だったねい」
「本当そう思います。冷たくて綺麗な海をぼーっと見てたらざぱーんって」
小さい私は見事に掻っ攫われた。
「気が付いたら真っ青な顔の両親が居て。それから特に厳しくなった気がしますねえ」
誰かが、助けてくれたような気もする。
でも誰も居なかったような気もする。
「それで海が怖くなったかい」
「全然。記憶がなかったので。ただ海の中から見た空が綺麗だったなあ、としか」
「アコらしいよい」
「マルコさんも波にさらわれちゃったりして」
「そんなヘマしねェよい」
ただ思ったことを口にしただけなのに、
胸がざわついた。
「んなことより髪濡れてるよい、しっかり乾かさねェと風邪ひくだろうが」
「あ、」
話題を変えようと思った瞬間マルコさんが私の濡れたままの髪に気づいて、
話しがそっちに向かったのでほっとした。
・・・・何で、だろう。
ものすごく嫌な感じだった。
それはほんの一瞬で、肩にかけてたタオルをマルコさんが取って、髪を拭いてくれてて。
嫌な感じは消えた。
「・・・・・ねむくなりました」
「飯食ってあったまって寝るのかよい。ガキか」
だって何と言われようと安心するんだもの。
マルコさんが側に居るこの空間が。
当たり前じゃないのに、当たり前のようになってるこのぬくもりが。
・・・・・いつか、
失ってしまうこの存在が。
「・・・・・・・・・・・・・・・嘘だろい」
マルコさんに身体を預けて、そのまま意識を失った私には聞こえなかった、
マルコさんの言葉。
今はまだ、夢の中で。
+今は 終+