いつかまた
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仕事の中で最大の楽しみ。
お昼ご飯。
今日はラーメンにしようかなぁ。
イタリアンとかもいいな。
あぁ、洋食も捨てがたい。
あーでも日本蕎麦も。
マルコさんがお弁当を作ってくれるって申し出てくれたけど、
さすがにそこまではお願い出来ないので。
お昼はいつも外食。
それが仕事の日の唯一の楽しみである。
あ、ラーメン屋混んでる。
近くにあるのは・・・うん、お蕎麦にしよ。
この季節野菜の天ぷら蕎麦めっちゃ美味しそう。
ウキウキでお蕎麦屋さんに入ろうとしたら、見えるはずのないものが見えて思わず立ち止まった。
「・・・・・・う、そ」
見間違える訳がない、あの髪形。
派手な金髪。
パイナップル頭、
やる気がないような、それでいて鋭い視線。
厚ぼったい唇。
・・・・マルコさん、が。
歩いてる。
それも1人じゃない。
隣に女の人が、居る。
女の人は親し気にマルコさんの隣に立ち、
話しかけてる様子がわかる。
私はそれ以上見ていられなくて、
そのままお蕎麦屋さんに入った。
・・・季節の野菜天ぷらの蕎麦にするはずだったけど、
何だかそんな気が失せたのできつね蕎麦にした。
「お待たせしましたーきつね蕎麦ですー」
「どうも・・・」
ずるずると蕎麦をすすりながら、考える。
・・・・ここで落ち込んだら負けだ。
きっとマルコさんは何か急用の買い物があって、
そしたら道を聞かれただけなんだ。
漫画とか小説でよくあることだし。
・・・・もし、そうでなくても。
マルコさんだって1人の成人男性だ。
それでなくったって海賊だし。
女の人と遊んでたって仕方ないかもしれない。
私は・・・・好きだって言ったって、
マルコさんからの返事ももらってないんだし、
何も言えない訳で。
・・・・・・・・・・今更だけど、
悪い人だなあマルコさんて。
海賊、だもんなぁ。
「・・・・あちっ」
油揚げを口にしたら思いのほか熱くて、
火傷しそうになった。
「ただいまですー」
バレないようになるべく元気な声で、と思ったんだけど。
「何かあったみたいだねい」
・・・・すぐバレた。
ここで本当は何でもないですよーと言いたいとこだけど、
今までの経験から無駄な抵抗と学習している。
「・・・今日、マルコさん見まして」
「ああ、あの辺に居たのかい」
「お昼ご飯食べようと思って・・・たまたま、ハイ」
「何食ったんだい今日は」
「・・・蕎麦を」
「和の国の麺だねい」
「・・・・そう、です」
「・・・・アコ?」
あの人は、誰ですか。
そう聞きたいのに、色んな思いが錯綜して口が開かない。
重い、とか。
・・・思われたくないし言われたくない。
「今度、食べに行きましょうか・・・蕎麦」
「何隠してんだい、アコ」
じろりと睨まれて、心臓が抉られたように感じた。
「・・・今日食べられなかったんですよ、季節の野菜天ぷら蕎麦」
「何で食べられなかったんだよい」
あ。
あー・・・・墓穴。
「・・・あ、と。その、売り切れで」
「昼飯の時間に?」
「いやぁびっくりですよね!・・・ハイ」
ああ駄目だ、何かもうぐだぐだ。
「アコ」
強い声で、私の名前を呼ぶ。
「・・・・油揚げ、で火傷、した、ので」
その声が、顔が怖くてまた誤魔化した。
でも嘘はついてない。
「いい加減にしろよい、アコ」
ずきっと胸が痛んだ。
・・・・や、そんな軽いもんじゃない。
頭ぐるぐるして、
視界もぐるぐるして、
・・・・倒れそう、だ。
アコ、と私を呼ぶ声が聞こえた。
「アコ!!」
「・・・・・・・・・お?」
見慣れない天井が見えた。
・・・・何処、ここ。
そう思った瞬間マルコさんの顔がどあっぷになった。
「ぎゃあ!?」
「アコ、おめェ、」
「あああああごめんなさい!よくわかんないけどすみませんでした!」
何だかその顔が怒ったようだったので、
よくわかんないけど謝ったところ、
「勘弁しろよい・・・・・」
今度は泣きそうな、そんな顔に見えた。
そして、
「いやあ、ご無事で良かった」
・・・人の好さそうな見知らぬ青年。
「・・・・あの」
困惑する私を理解したのか、
青年はマルコさんを見て苦笑した。
「こちらの方が物凄い勢いで医者を呼べ!とおっしゃるので・・・」
「あ・・・・」
ここまで来てようやく状況を理解した。
・・・ここ、病院だ。
情けない。今までわからなかった。
「私・・・意識失った、んですね?」
「覚えてねェのかい」
「や、記憶あります」
「携帯で119番して良かった、とにかくお兄さんが怖い顔で医者、としか言わなかったので・・・」
「・・・ご迷惑おかけしました」
「医者を呼んできます、どうぞお大事に」
「有難う御座いました・・・」
バツの悪そうな顔のマルコさんと青年を見送った。
「マルコさん有難う御座いました・・・・」
「急に倒れるんじゃねェよい」
「いやー私も急に意識失うとは思わなかったです・・・すみません」
「具合悪かったなら何で早く言わなかった」
「や、具合悪かった訳じゃないんですが」
あの時いきなり悪くなったんです。
そこまで言ったところでお医者さんが来た。
「過労と心因性発熱ってとこでしょう。落ち着いたら帰宅して大丈夫ですよ」
とのこと。
でも明日は仕事を休むように、と。
入院するならしてもいいと言われたけど、
そんなお金もなかったし元気になったので帰ることにした。
帰り際お医者さんに、
『良い旦那様をお持ちですね』と言われた。
・・・・・嬉し恥ずかし。
「家に帰ったら覚えておけよい」
「・・・何のことで御座いましょう」
「隠してること全部言えよい」
「・・・・いやん」
「誤魔化すんじゃねェよい」
・・・迷惑、かけちゃったし。
『こちらの方が物凄い勢いで医者を呼べ!とおっしゃるので・・・』
『良い旦那様をお持ちですね』
・・・・・・・・・この言葉に、
湧いてくる罪悪感。
「・・・今日、マルコさん見たんです私」
「・・・聞いたよい」
「その時・・・その、女の人と一緒に居たので・・・お知り合いかなあ、と」
勇気を出して言ってみた。
そしたらマルコさんはけろりと、
「ああ、道に迷ったんで聞いてただけだよい」
・・・・まさかのマルコさんが迷子だった。
「どこか行こうとしてたんですか?」
「アコの会社だよい。部屋に書類があったんで必要かと思って持っていこうとしたんだが」
「え、そんなのありましたっけ」
「見たら提出期限が来週だったからそのまま帰って来ちまったよい」
「・・・・・・・・・・わーお」
・・・・たった、
たったこれだけのこと。
聞いてみれば何てことないのに。
どっと全身の力が抜けた。
「・・・・何で早く聞かなかったんだよい」
まさか隠してたことってそれだけか、と言わんばかりにマルコさんが言う。
ハイ全くその通りで御座います。
「・・・野暮、かなあと」
「・・・・阿呆くせェ」
「・・・・はい、阿呆です」
恋する阿呆で御座います。
+恋する乙女、ならぬ 終+
お昼ご飯。
今日はラーメンにしようかなぁ。
イタリアンとかもいいな。
あぁ、洋食も捨てがたい。
あーでも日本蕎麦も。
マルコさんがお弁当を作ってくれるって申し出てくれたけど、
さすがにそこまではお願い出来ないので。
お昼はいつも外食。
それが仕事の日の唯一の楽しみである。
あ、ラーメン屋混んでる。
近くにあるのは・・・うん、お蕎麦にしよ。
この季節野菜の天ぷら蕎麦めっちゃ美味しそう。
ウキウキでお蕎麦屋さんに入ろうとしたら、見えるはずのないものが見えて思わず立ち止まった。
「・・・・・・う、そ」
見間違える訳がない、あの髪形。
派手な金髪。
パイナップル頭、
やる気がないような、それでいて鋭い視線。
厚ぼったい唇。
・・・・マルコさん、が。
歩いてる。
それも1人じゃない。
隣に女の人が、居る。
女の人は親し気にマルコさんの隣に立ち、
話しかけてる様子がわかる。
私はそれ以上見ていられなくて、
そのままお蕎麦屋さんに入った。
・・・季節の野菜天ぷらの蕎麦にするはずだったけど、
何だかそんな気が失せたのできつね蕎麦にした。
「お待たせしましたーきつね蕎麦ですー」
「どうも・・・」
ずるずると蕎麦をすすりながら、考える。
・・・・ここで落ち込んだら負けだ。
きっとマルコさんは何か急用の買い物があって、
そしたら道を聞かれただけなんだ。
漫画とか小説でよくあることだし。
・・・・もし、そうでなくても。
マルコさんだって1人の成人男性だ。
それでなくったって海賊だし。
女の人と遊んでたって仕方ないかもしれない。
私は・・・・好きだって言ったって、
マルコさんからの返事ももらってないんだし、
何も言えない訳で。
・・・・・・・・・・今更だけど、
悪い人だなあマルコさんて。
海賊、だもんなぁ。
「・・・・あちっ」
油揚げを口にしたら思いのほか熱くて、
火傷しそうになった。
「ただいまですー」
バレないようになるべく元気な声で、と思ったんだけど。
「何かあったみたいだねい」
・・・・すぐバレた。
ここで本当は何でもないですよーと言いたいとこだけど、
今までの経験から無駄な抵抗と学習している。
「・・・今日、マルコさん見まして」
「ああ、あの辺に居たのかい」
「お昼ご飯食べようと思って・・・たまたま、ハイ」
「何食ったんだい今日は」
「・・・蕎麦を」
「和の国の麺だねい」
「・・・・そう、です」
「・・・・アコ?」
あの人は、誰ですか。
そう聞きたいのに、色んな思いが錯綜して口が開かない。
重い、とか。
・・・思われたくないし言われたくない。
「今度、食べに行きましょうか・・・蕎麦」
「何隠してんだい、アコ」
じろりと睨まれて、心臓が抉られたように感じた。
「・・・今日食べられなかったんですよ、季節の野菜天ぷら蕎麦」
「何で食べられなかったんだよい」
あ。
あー・・・・墓穴。
「・・・あ、と。その、売り切れで」
「昼飯の時間に?」
「いやぁびっくりですよね!・・・ハイ」
ああ駄目だ、何かもうぐだぐだ。
「アコ」
強い声で、私の名前を呼ぶ。
「・・・・油揚げ、で火傷、した、ので」
その声が、顔が怖くてまた誤魔化した。
でも嘘はついてない。
「いい加減にしろよい、アコ」
ずきっと胸が痛んだ。
・・・・や、そんな軽いもんじゃない。
頭ぐるぐるして、
視界もぐるぐるして、
・・・・倒れそう、だ。
アコ、と私を呼ぶ声が聞こえた。
「アコ!!」
「・・・・・・・・・お?」
見慣れない天井が見えた。
・・・・何処、ここ。
そう思った瞬間マルコさんの顔がどあっぷになった。
「ぎゃあ!?」
「アコ、おめェ、」
「あああああごめんなさい!よくわかんないけどすみませんでした!」
何だかその顔が怒ったようだったので、
よくわかんないけど謝ったところ、
「勘弁しろよい・・・・・」
今度は泣きそうな、そんな顔に見えた。
そして、
「いやあ、ご無事で良かった」
・・・人の好さそうな見知らぬ青年。
「・・・・あの」
困惑する私を理解したのか、
青年はマルコさんを見て苦笑した。
「こちらの方が物凄い勢いで医者を呼べ!とおっしゃるので・・・」
「あ・・・・」
ここまで来てようやく状況を理解した。
・・・ここ、病院だ。
情けない。今までわからなかった。
「私・・・意識失った、んですね?」
「覚えてねェのかい」
「や、記憶あります」
「携帯で119番して良かった、とにかくお兄さんが怖い顔で医者、としか言わなかったので・・・」
「・・・ご迷惑おかけしました」
「医者を呼んできます、どうぞお大事に」
「有難う御座いました・・・」
バツの悪そうな顔のマルコさんと青年を見送った。
「マルコさん有難う御座いました・・・・」
「急に倒れるんじゃねェよい」
「いやー私も急に意識失うとは思わなかったです・・・すみません」
「具合悪かったなら何で早く言わなかった」
「や、具合悪かった訳じゃないんですが」
あの時いきなり悪くなったんです。
そこまで言ったところでお医者さんが来た。
「過労と心因性発熱ってとこでしょう。落ち着いたら帰宅して大丈夫ですよ」
とのこと。
でも明日は仕事を休むように、と。
入院するならしてもいいと言われたけど、
そんなお金もなかったし元気になったので帰ることにした。
帰り際お医者さんに、
『良い旦那様をお持ちですね』と言われた。
・・・・・嬉し恥ずかし。
「家に帰ったら覚えておけよい」
「・・・何のことで御座いましょう」
「隠してること全部言えよい」
「・・・・いやん」
「誤魔化すんじゃねェよい」
・・・迷惑、かけちゃったし。
『こちらの方が物凄い勢いで医者を呼べ!とおっしゃるので・・・』
『良い旦那様をお持ちですね』
・・・・・・・・・この言葉に、
湧いてくる罪悪感。
「・・・今日、マルコさん見たんです私」
「・・・聞いたよい」
「その時・・・その、女の人と一緒に居たので・・・お知り合いかなあ、と」
勇気を出して言ってみた。
そしたらマルコさんはけろりと、
「ああ、道に迷ったんで聞いてただけだよい」
・・・・まさかのマルコさんが迷子だった。
「どこか行こうとしてたんですか?」
「アコの会社だよい。部屋に書類があったんで必要かと思って持っていこうとしたんだが」
「え、そんなのありましたっけ」
「見たら提出期限が来週だったからそのまま帰って来ちまったよい」
「・・・・・・・・・・わーお」
・・・・たった、
たったこれだけのこと。
聞いてみれば何てことないのに。
どっと全身の力が抜けた。
「・・・・何で早く聞かなかったんだよい」
まさか隠してたことってそれだけか、と言わんばかりにマルコさんが言う。
ハイ全くその通りで御座います。
「・・・野暮、かなあと」
「・・・・阿呆くせェ」
「・・・・はい、阿呆です」
恋する阿呆で御座います。
+恋する乙女、ならぬ 終+