いつかまた
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「じゃかじゃんっ!!」
「へェ、美味そうに出来たじゃねェかよい」
「そうなんですよーちょっと焦げちゃいましたけど」
休日の夜。
私が作った夜ご飯。
豆腐ステーキ。
と、
大根と鶏肉の炒め煮。
我ながら上手く出来たと思う。
「気にならねェよい。こんだけ出来りゃ上等だ」
「うぇっへっへー有難う御座いますー!」
言いながら私もぱくり。
うん、美味しい。
「上達したねい、アコ」
「マルコさんの修行のおかげですよー。料理の基本教えてもらったので」
「やる気があったから教えただけだよい」
マルコさんが来てから、
私は色々変わった。
中でも料理はかなり。
マルコさんが来るまでは料理なんかしなかった。
そもそも買い物すらまともにしなかった。
冷凍食品をセール日にまとめ買い、
閉店間際の半額弁当を買い漁り、
それすら面倒な時はお菓子でいっか。
・・・・を繰り返してた。
気まぐれに料理しても、
お肉焼くだけ。
刺身、買ってきたのを出すだけ。
・・・・という体たらく。
野菜を買っても腐らすだけで。
・・・料理も、こんなに上手く出来なかった。
自分がこんな風に普通に料理が出来るようになるなんて考えもしなかったし、
しようとも思ってなかった。
・・・でもマルコさんが居てくれるから。
マルコさんに美味しい、って言って欲しかったから。
だからやっぱり、
「マルコさんのおかげ、です」
だと思います。
休日だって、そう。
今はマルコさんと買い物行ったりしてるけど、
前は必要なものがない限り家でぐだぐだしてるだけだった。
・・・・必要なものあっても買い忘れてたり。
そういえばマルコさんの来た日シャンプー買い忘れてたんだよねえ、と思い出す。
「・・・・・礼を言われるようなことはしてねェよい」
あ、照れてる。
・・・言わないけど。
そういえば独り言もなくなった。
昔はよく1人でぶつぶつ言ってた。
「あ、洗濯物有難う御座いました」
・・・洗濯物も、変わった。
マルコさん見かけによらずぴしっとしてるからたたみ方が綺麗で。
私もそれを真似するようになった。
今までは適当にぱぱーっとたたむだけだったけど。
「いつものことだろい?」
「はい。いつも有難う御座いますー」
こうして会話出来ることが幸せだと感じれる瞬間がある。
・・・たまに困ることもあるけど。
食後のデザートに、と買っておいたシュークリーム。
ガチャ、と冷蔵庫を開くも。
・・・・・・・ない。
「あれ」
・・・・・・・・・何回見ても、ない。
「・・・・マルコさん」
もしかしてもしかしなくても、
ここに住んでる人は私以外はマルコさんしか居ない訳で。
「あ?」
「ここにあった甘いの食べました?」
「食ったよい」
・・・・やっぱりね。
「・・・了解です」
「まずかったかい?」
「いいえー大丈夫ですよー」
・・・たまにはこんなこともある。
でもうちにある物は何でも食べていいですよ、と言っているのは私なので悪いのは私だ。
・・・普段家のことやってもらってるし、
私が仕事してる間家に居るマルコさんはさぞかし窮屈だろうから。
ちょっと悲しいけど仕方ない。
「・・・・・あれ、マルコさん綿棒知りません?」
「さっき使ったよい」
「・・・・何処ですか?」
「・・・・あの辺だろい」
何処ですか。
動かしたならもとに戻しておいて欲しいなあ。
・・・・っていうのも一緒に住んでると出てくる悩み。
でもこんなのたいしたことじゃないもんね!
他の同棲してる友人や、
結婚してる友人の愚痴を聞けば!
・・・・・まあ私はマルコさんと恋人ではないし、
働いてるの私だけなんだけども。
それでも・・・マルコさんが主夫だとしても、
素敵な旦那様だと思う。
しみじみ考えていたら、
携帯に着信が。
「もしもしー」
『ちょっとアコ』
・・・・先輩からのお電話。
嫌な予感しかしません。
「・・・何でしょう」
『今日までに出しておいてって言っておいた資料は』
「・・・・・・・・・・・・・あは」
『あはじゃないでしょ!?』
「申し訳ありません!!」
『明日覚えてなさいよ』
「お手柔らかにお願い致しますぅぅ!!」
ぷっつん、と通話が途切れた。
・・・・・かなり怒ってらっしゃる。
「・・・・はぁ」
「怒られたのかい?」
「恐らく明日も怒られます」
たぶん今日よりもっと。
「取り返しのつかないことじゃねェんだろい?」
「そう・・・・なんですけど、迷惑かけちゃいました」
「謝って済むことならたいしたことねェよい」
「・・・・有難う御座います」
・・・・こうして、
仕事のミスをした時に励ましてくれる存在が居ること。
あったかくて嬉しくて。
・・・幸せ。
今までは1人で落ち込んだまま朝を迎えてたからなぁ。
誰かが側に居てくれるってこんなに嬉しいものだとは思わなかった。
「じゃあおやすみなさーい」
「よい」
電気を消して、布団に横になって数十分。
・・・・・眠れないよ。
明日のことを思うとやっぱり不安。
どんな事態になってるのかなあ、
先輩の顔怖いかなあ、
「アコ」
「・・・・・はい?」
不意にマルコさんの声が頭に響いて、
はっとなった。
「腹が減った」
「・・・・・・・・・・え、っと?」
「ラーメンが残ってたろい?」
「食べましょう!!」
ラーメン、という単語を聞いた瞬間にお腹がすいてきた。
さっきまでの悩みなんかすっ飛んで、
2人でインスタントラーメンを作って食べた。
「美味しいですねえ」
「夜中に食ってりゃ太るけどよい」
「・・・・・美味しいですよう」
くくっ、と笑うマルコさんの幸せそうな顔。
・・・・・うん。
やっぱり私はマルコさんといて幸せだ。
+変わったこと 終+