いつかまた
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「3連休!です!」
「ケリつけるよい」
「はい!」
私の『大好き』発言は完璧スルーされ。
やって来た3連休。
出来ればこれで解決したい。
「じゃあ計画通りに!」
「・・・了解だよい」
私とマルコさんが考えた計画。
「じゃあ、行きましょう・・・か」
家を出て、そっと腕を組んだ。
さすがの私の緊張する。
「・・・・旦那様とか呼んだ方がいいですか?」
「・・・知るか」
ぷい、と顔を背けてしまったマルコさんに苦笑する。
私とマルコさんが考えた計画は、
名付けて『とても怖い旦那様が私には居るのよ作戦』です。
マルコさんとラブラブデート(仮)をしてる時に現れる奴にマルコさんが一喝。
俺の嫁に手を出したらただじゃおかねェよいって言ってもらって、
こんな怖い旦那が居るなら諦めるしかないじゃないかー作戦。
勿論この3日間で奴が現れればの話。
今日で現れて成功すれば、偽装夫婦も今日で終わる。
・・・・・でも出来れば、3日連休最後の日まで、来なければいいなと思ってる。
そしたら3日間でも、夫婦としていられる。
・・・・なんて不謹慎なのはわかってるんだけど。
「とりあえずショッピングモールでもふらつきますかね」
「人が多いとまずいんじゃないのかい」
「・・・・でもほら、デートですから」
マルコさんの言うことも正論なんだけど。
でもやっぱりデート気分を味わってみたい。
「そんなもんかい」
「・・・・食品売り場の試食とかしてるかもしれないですし」
「とにかく出てきたら懲らしめりゃいいんだろい?」
「よろしくお願いします!」
マルコさんとデート。
出かけるのは何回かしたけど、
・・・・腕組んで歩くのは初めてで。
「歩きづらくないですか、マルコさん」
「・・・・・歩きづらくはねェが」
心配になって聞いてみると、
複雑な表情のマルコさん。
「・・・・何か問題が?」
マルコさんは遠い目で前を見据えたまま、
「・・・・・・当たってんだよい」
「へ?」
「結構あるんだねい・・・胸」
「おぉう・・・・!!お恥ずかしいです・・・・!!」
そうだね・・・!!
腕組むと当たるよね!!
「やめとくかい?」
「え・・・」
「別に手繋ぐぐらいでもいいだろい?」
・・・・ぎゅ、と絡めた腕に力を込めた。
「このままで・・・大丈夫です。その、マルコさんが嫌でなければ」
もっと、くっつきたい。マルコさんと。
変態的な意味じゃなくて。
「・・・これくらいでどうにかなったりしねェよい」
「・・・さすがマルコさん」
安心したような複雑なような。
でもよく見たら顔が赤い気がして、
嬉しかった。
1日目はそんな風に何事もなく終わった。
無事に2日目。
「今日は海にでも行ってみます?」
「任せるよい」
ってことで、前にも1度来たことのある海へ。
・・・・前に来た時は、マルコさんと出会ったばっかりで。
仕事サボってきて、先輩に見つかって。
マルコさんに怒られたんだよね。
懐かしいなぁ・・・。
「あー・・・眠くなりますねえ」
「・・・・平和ぼけしそうだよい」
「私落ちましょうか?海に」
「助けに行けねェからやめろ」
「はーい」
何気ない会話に隠れてる、優しさ。
心もぽかぽか。
「お弁当作って持って来れば良かったですねー」
爽やかな風に吹かれて海を眺めてお弁当っていうのも良いよねえ。
と思ってたらマルコさんが、
「いや・・・早々に避難した方が良さそうだよい」
「避難?」
妙なことを言い出した。
「近いうち雨が降りそうだからねい」
その言葉に空を見上げる。
・・・・雨、降りそう?
空、青いけど。
「・・・・・海賊の勘ですか?」
「そんなとこだい」
「じゃあどっか・・・・・・・あ?」
屋内に避難しますか、と言おうとして頭にぽつん、と冷たい物が当たった。
「・・・・走れるかい?」
「・・・・はい」
ざーっと激しい音がして、
「ぎゃー!!」
思わず悲鳴をあげた。
「走れ!」
「はいぃ!!」
咄嗟に繋がれた手に引っ張られて、走った。
とりあえず駅まで走って、
「・・・・・・・ま、る・・・・」
「・・・アコ?」
「・・・ひぃ・・・・」
「・・・・・おい」
「・・・・こん、な長く・・・走ったの、ひさし、ぶりで・・・・はぁ」
息切れて倒れそう。
「しっかりしろよい・・・」
マルコさんが呆れ顔で私の身体を支えてくれた。
「す・・・すみませ・・・」
はあ、情けないと見上げたらマルコさんとばっちり視線がかち合って。
途端マルコさんの目がすっと細まった。
「え・・・」
まるで抱きしめれた形になった私の顔に近づいてくるマルコさんの真剣な顔。
え、ちょっと待ってこれ、
・・・・キス、されそう。
焦りながらもどうしようも出来なくて、
近づく唇に心臓が飛び出そうになった時。
「アコ見っけ」
その声にぱっと離れた身体。
「なーなーヨリ戻そうとは言わねーからさぁ」
・・・・今1番会いたくなかった奴。
まあでも、これで予定通りマルコさんが、
「あ」
ずい、と私の前に出たマルコさんが、奴の胸倉を掴んだ。
「今後俺の女に一切近づかねェと誓え」
「ふ・・・2人は・・・付き合って、」
「あ、旦那様ですぅ」
「おまっ、結婚したのかよ!」
「おい。誰の女に向かってお前呼ばわりしてんだいてめェ」
「一緒に住んでますぅ」
マルコさんがものすごい顔で睨み付け、
私が笑顔でフォローする。
私とマルコさんの顔を交互に見比べて、
奴は声を震わせて、
「ちっ誓います!一生近づきません!!」
「ならとっとと行け」
「はいぃぃ!!」
マルコさんが手を離したら物凄い勢いで逃げて行った。
さすがマルコさん・・・!!
すっごい迫力でした。
「・・・計画通りですね」
「呆気なかったよい」
でもきっとこれで解決。
「有難う御座いました・・・・」
「・・・帰るかい」
「・・・・・・はい」
少し濡れちゃったけど、全力疾走のおかげでびしょ濡れは避けられた。
でも何だか、少し気まずい2日目になった。
大雨の3日目。
解決したし、雨降ってるし。
・・・・することのない休日。
「雨ですねー・・・・」
「陸なら嵐が来てもすることはねェだろい」
「・・・・ですね。ハイ、紅茶どうぞ」
「・・・ありがとよい」
・・・・私基本的に何も話さない時間も好きなんだけど。
何だろう、この気まずい沈黙。
ずずっと紅茶をすする音だけが響く。
窓辺にあぐらかいて座るマルコさんと、
その隣に座って雑誌を見る私。
・・・・気まずさに思い当たるとしたら、
昨日奴に会う前にあった、こと。
「マルコさん」
「何だい」
「・・・・・・・・・・キス、しましょうか」
静かな空間に響いた私の言葉にマルコさんが、
口をつけていたカップを乱暴に床に置いた。
「・・・割れてません?」
貴重なティーカップ。
「・・・・本気で言ってんのかい、アコ」
「・・・・・です」
本気か、というように睨まれた。
ただ、見つめ返した。
あっという間に顔が近づいて、
マルコさんの厚い唇が、
重なった。
私はただずっと、マルコさんの青い瞳を見ていた。
+ラブラブ 終+