いつかまた
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再会したのは、
仕事の帰り。
疲れたけど、それでもマルコさんが待ってくれているはず、と信じて帰る道。
「アコ?」
「え?」
名前を呼ばれて振り返ったら、
男が居て。
私はその顔を見て、
・・・・・それから自分の靴を見た。
今日結構高いヒール履いてきたんだよね。
これじゃ・・・走れない。
「なぁ、アコだろ?久しぶり、これも何かの縁だ」
んな訳あるか。
無視してても、構わず私の前に顔を出して、
男は言う。
「昔の恋人につれねー態度とんなって。久しぶりだし・・・少しくらい、いいだろ?」
・・・私の、元恋人。
だから何、と言わなくてもわかる。
「1円たりとも貸さないから」
「何だよ、望み通り別れてやっただろ?」
「警察に通報されなかっただけでも有難いと思え」
「変わんねーなぁ」
早く、家に帰りたい。
・・・・マルコさんに会いたい。
そう思って足を進めるのに、道は真っ暗で。
「米粒1つ、油1滴にまで気を配る根性あんたにある?」
ある訳ない。
マルコさんは海賊だからか、
船の上で暮らしていたからか。
水や食料の大切さを知ってくれてる。
だからこそ家事を任せていられる。
「厳しーなオイ。細かいこと気にしてると白髪増えるよー?」
「あー浦島太郎の気分が味わえるね」
「すぐ返すって、絶対」
駄目だ、もう。らちが明かない。
「・・・あ、おまわりさーん!!」
何もないところに思いっきり手を振って見せたら、
「やべっ」
慌てて逃げて行った。
マルコさんには心配かけたくなくて、
迷惑かけたくなくて。
理由を言わずにとにかく家に誰も居ないようにお願いした。
家にまで来そうな勢いだったし。
本当は私も怖いけど、
ものすごく怖いけど。
マルコさんが無事なら、それでいい。
そう、思ってたのに。
『今から出ますー』
送り迎えをしてくれるって言うマルコさんを断ったので、せめて電話だけはしておかないと。
と思って電話して。
会社を出て、歩きながらきょろきょろ。
・・・いつ何処に隠れてるか、
見られてるかわかんないし。
・・・・あんな奴に渡すお金なんか、ない。
私とマルコさんの生活費で精一杯だ。
あーもう!何でこの道こんな暗いの!?
街灯つけてよね電気代払えないけど!
ドキドキしながら歩いてたら、
案の定。
「こんな遅くまで働いて大変だよなー。その分稼いでんだろ?」
・・・・来たよ。
「そうだね、頑張ってるの私だね、その私が言う。あんたに金は1円もあげない」
「いい加減にしろよ」
そう言って袖を掴まれて引っ張られた。
お前がいい加減にしろ、というのをぐっと堪えた。
・・・どんなに口で言ったって力じゃ男に敵わない。
悔しい、私はどうしたら。
泣きそうになった私は、また引っ張られた。
今度は・・・反対側に。
え、何!?
「何してんだいアコ」
「・・・ま、るこさん?」
呆然と、名前を呟くしかなかった。
当然かのように居る、マルコさん。
「何だよ、関係ねーやつはどっか行けよ」
「アコ、こいつは何だい」
「・・・・・えと」
咄嗟のことで何て答えていいかわからなくて戸惑ううちに、
「ちくしょ・・・っ」
・・・・マルコさんに怯えた様子で逃げて行った。
・・・・良かっ、た。
「・・・・あ、有難う・・・御座います」
「・・・質問に答えてねェよいアコ」
じろ、と軽く睨まれて、思わずぎゅ、とマルコさんの腕を掴んだ。
・・・・どうか、嫌わないで欲しい。
「昔、付き合ってた人・・・です」
「・・・・で、そいつが何の用だい」
「昨日偶然会って・・・お金、貸してくれって」
「・・・・情けねェ男だねい」
「付き合ってる時からそうでした・・・」
「どうやって別れたんだい?」
「刺殺されたくなかったら別れてって言ったんです」
冗談だろ?って言ったから、
冗談だと思う?って言い返したら怯えて了承してくれた。
・・・・楽することが大好きで、
強がりで、弱虫で。
怖がり。
「アコの方がよっぽど海賊だよい・・・」
呆れたような、でも何処か嬉しそうな笑みを浮かべてマルコさんが言うので少し想像してみた。
マルコさんの隣に、海賊として立っていられたら。
「海賊・・・・なれますか、私」
「なりてェのかい?」
「マルコさんの隣でなら・・・いいかなあって思いました」
簡単に言うな、って怒られるかなと思ったけど。
「迷惑かける度に反省文だよい?」
「は!?海賊なのに反省文とかあるんですか!?」
現実的なことを言われて驚いた。
「当たり前だろい?」
「・・・・わーお」
・・・やっぱ嫌かも海賊。
「ふざけたこと言ってねェで、何で最初から言わなかったんだよい」
こつん、と頭を小突かれて、
完全に身体の力だ抜けた。
ほっとしたら泣きそうになった。
「・・・頑張ろうと思って」
「1人でかい?」
「だって、マルコさんに頼ってばっかりじゃ・・・駄目だと思ったんです」
いつか、居なくなる人だから。
マルコさんが安心してあちらの世界に戻れるように。
「でも今は居るだろい?」
「そう・・・ですけど」
「俺が居るうちは頼ればいい」
「・・・・・・・・いいんですか?」
「いいって言ってるだろい」
「・・・・じゃあ、このままでもいいですか?」
腕を掴んだまま、見上げたら。
「何ならこのまま飛ぶかい?」
優しく笑ってくれた。
・・・・飛ぶのも興味あるけど、きっとあっという間だから。
「や、いいです怖いデス。このまま・・・歩いて帰りましょう」
「アコは海賊には向いてねェよい」
「さっき向いてるみたいなこと言ってくれませんでしたっけ!?」
2人で、ゆっくり。
「付き合う前はあんな奴じゃなかったんですよ」
「男を見る目がねェよい」
「・・・・すみません」
私がそこそこ稼いでると知って会社を辞めた馬鹿男。
「あれで諦めるタイプじゃねェだろい」
「・・・・でしょうねー」
ああ、まったく面倒なことになってしまった。
自業自得、なんだけど。
「でもやっぱり私、1人で解決します。自分で蒔いた種だし」
自分1人で何とかせねば!と意気込んだら、
ごつんと頭を小突かれた。
痛くはないけどちょっと痛い。
「・・・・マルコさん痛いですー」
「馬鹿だろい。何の為に俺が居ると思ってんだよい」
「・・・だってー」
「だってじゃねェよい。・・・怖いんだろうが」
「・・・・・・・怖い、ですよ」
いつまで続くのか、
何をされるかわからない恐怖はある。
「なら、殺しゃしねェから俺に任せとけよい」
「・・・ぼこぼこにするのも駄目ですよ一応」
法律的に。
「・・・面倒くせェ」
「・・・・すみません」
自由を愛する海賊のマルコさんにとって、
法律は面倒だと思う。
わかってる。でも、言いたい。
「面倒だと思うんですけど・・・・助けて下さい、マルコさん」
「・・・・助けるに決まってんだろい」
「有難う御座います・・・っ」
「最初からそう素直なら楽だったのによい」
やれやれみたいにマルコさんが言うので、
ちょっとムカ。
「だってマルコさん心配じゃないですか!私のせいで何かあったらって思ったら」
「海賊の俺に何の心配するんだい」
「や、でも万が一ってことも」
「怪我してもすぐ治るのにかい?」
「・・・・・それでも、です。大好き・・・ですから」
傷ついてほしくない。
そう思ったらぽろっと口に出てた、『大好き』。
あ、言っちゃった。
慌てて口を押えるけど、出た言葉は戻らない。
・・・・マルコさんの反応は。
「反省しろよい」
・・・あくまで冷たい。
「・・・・すみませんでした」
恋する乙女攻撃はマルコさんには効かないらしい。
それでも、
「戦いは海賊の本業だからねい」
そう言って笑って、
いつものように髪の毛をぐしゃぐしゃにするマルコさんが、
カッコ良くて。
大好きで。
やっぱり私は、
「・・・・大好き、です。マルコさん」
そう言わずにはおられないのです。
+大好きです 終+
仕事の帰り。
疲れたけど、それでもマルコさんが待ってくれているはず、と信じて帰る道。
「アコ?」
「え?」
名前を呼ばれて振り返ったら、
男が居て。
私はその顔を見て、
・・・・・それから自分の靴を見た。
今日結構高いヒール履いてきたんだよね。
これじゃ・・・走れない。
「なぁ、アコだろ?久しぶり、これも何かの縁だ」
んな訳あるか。
無視してても、構わず私の前に顔を出して、
男は言う。
「昔の恋人につれねー態度とんなって。久しぶりだし・・・少しくらい、いいだろ?」
・・・私の、元恋人。
だから何、と言わなくてもわかる。
「1円たりとも貸さないから」
「何だよ、望み通り別れてやっただろ?」
「警察に通報されなかっただけでも有難いと思え」
「変わんねーなぁ」
早く、家に帰りたい。
・・・・マルコさんに会いたい。
そう思って足を進めるのに、道は真っ暗で。
「米粒1つ、油1滴にまで気を配る根性あんたにある?」
ある訳ない。
マルコさんは海賊だからか、
船の上で暮らしていたからか。
水や食料の大切さを知ってくれてる。
だからこそ家事を任せていられる。
「厳しーなオイ。細かいこと気にしてると白髪増えるよー?」
「あー浦島太郎の気分が味わえるね」
「すぐ返すって、絶対」
駄目だ、もう。らちが明かない。
「・・・あ、おまわりさーん!!」
何もないところに思いっきり手を振って見せたら、
「やべっ」
慌てて逃げて行った。
マルコさんには心配かけたくなくて、
迷惑かけたくなくて。
理由を言わずにとにかく家に誰も居ないようにお願いした。
家にまで来そうな勢いだったし。
本当は私も怖いけど、
ものすごく怖いけど。
マルコさんが無事なら、それでいい。
そう、思ってたのに。
『今から出ますー』
送り迎えをしてくれるって言うマルコさんを断ったので、せめて電話だけはしておかないと。
と思って電話して。
会社を出て、歩きながらきょろきょろ。
・・・いつ何処に隠れてるか、
見られてるかわかんないし。
・・・・あんな奴に渡すお金なんか、ない。
私とマルコさんの生活費で精一杯だ。
あーもう!何でこの道こんな暗いの!?
街灯つけてよね電気代払えないけど!
ドキドキしながら歩いてたら、
案の定。
「こんな遅くまで働いて大変だよなー。その分稼いでんだろ?」
・・・・来たよ。
「そうだね、頑張ってるの私だね、その私が言う。あんたに金は1円もあげない」
「いい加減にしろよ」
そう言って袖を掴まれて引っ張られた。
お前がいい加減にしろ、というのをぐっと堪えた。
・・・どんなに口で言ったって力じゃ男に敵わない。
悔しい、私はどうしたら。
泣きそうになった私は、また引っ張られた。
今度は・・・反対側に。
え、何!?
「何してんだいアコ」
「・・・ま、るこさん?」
呆然と、名前を呟くしかなかった。
当然かのように居る、マルコさん。
「何だよ、関係ねーやつはどっか行けよ」
「アコ、こいつは何だい」
「・・・・・えと」
咄嗟のことで何て答えていいかわからなくて戸惑ううちに、
「ちくしょ・・・っ」
・・・・マルコさんに怯えた様子で逃げて行った。
・・・・良かっ、た。
「・・・・あ、有難う・・・御座います」
「・・・質問に答えてねェよいアコ」
じろ、と軽く睨まれて、思わずぎゅ、とマルコさんの腕を掴んだ。
・・・・どうか、嫌わないで欲しい。
「昔、付き合ってた人・・・です」
「・・・・で、そいつが何の用だい」
「昨日偶然会って・・・お金、貸してくれって」
「・・・・情けねェ男だねい」
「付き合ってる時からそうでした・・・」
「どうやって別れたんだい?」
「刺殺されたくなかったら別れてって言ったんです」
冗談だろ?って言ったから、
冗談だと思う?って言い返したら怯えて了承してくれた。
・・・・楽することが大好きで、
強がりで、弱虫で。
怖がり。
「アコの方がよっぽど海賊だよい・・・」
呆れたような、でも何処か嬉しそうな笑みを浮かべてマルコさんが言うので少し想像してみた。
マルコさんの隣に、海賊として立っていられたら。
「海賊・・・・なれますか、私」
「なりてェのかい?」
「マルコさんの隣でなら・・・いいかなあって思いました」
簡単に言うな、って怒られるかなと思ったけど。
「迷惑かける度に反省文だよい?」
「は!?海賊なのに反省文とかあるんですか!?」
現実的なことを言われて驚いた。
「当たり前だろい?」
「・・・・わーお」
・・・やっぱ嫌かも海賊。
「ふざけたこと言ってねェで、何で最初から言わなかったんだよい」
こつん、と頭を小突かれて、
完全に身体の力だ抜けた。
ほっとしたら泣きそうになった。
「・・・頑張ろうと思って」
「1人でかい?」
「だって、マルコさんに頼ってばっかりじゃ・・・駄目だと思ったんです」
いつか、居なくなる人だから。
マルコさんが安心してあちらの世界に戻れるように。
「でも今は居るだろい?」
「そう・・・ですけど」
「俺が居るうちは頼ればいい」
「・・・・・・・・いいんですか?」
「いいって言ってるだろい」
「・・・・じゃあ、このままでもいいですか?」
腕を掴んだまま、見上げたら。
「何ならこのまま飛ぶかい?」
優しく笑ってくれた。
・・・・飛ぶのも興味あるけど、きっとあっという間だから。
「や、いいです怖いデス。このまま・・・歩いて帰りましょう」
「アコは海賊には向いてねェよい」
「さっき向いてるみたいなこと言ってくれませんでしたっけ!?」
2人で、ゆっくり。
「付き合う前はあんな奴じゃなかったんですよ」
「男を見る目がねェよい」
「・・・・すみません」
私がそこそこ稼いでると知って会社を辞めた馬鹿男。
「あれで諦めるタイプじゃねェだろい」
「・・・・でしょうねー」
ああ、まったく面倒なことになってしまった。
自業自得、なんだけど。
「でもやっぱり私、1人で解決します。自分で蒔いた種だし」
自分1人で何とかせねば!と意気込んだら、
ごつんと頭を小突かれた。
痛くはないけどちょっと痛い。
「・・・・マルコさん痛いですー」
「馬鹿だろい。何の為に俺が居ると思ってんだよい」
「・・・だってー」
「だってじゃねェよい。・・・怖いんだろうが」
「・・・・・・・怖い、ですよ」
いつまで続くのか、
何をされるかわからない恐怖はある。
「なら、殺しゃしねェから俺に任せとけよい」
「・・・ぼこぼこにするのも駄目ですよ一応」
法律的に。
「・・・面倒くせェ」
「・・・・すみません」
自由を愛する海賊のマルコさんにとって、
法律は面倒だと思う。
わかってる。でも、言いたい。
「面倒だと思うんですけど・・・・助けて下さい、マルコさん」
「・・・・助けるに決まってんだろい」
「有難う御座います・・・っ」
「最初からそう素直なら楽だったのによい」
やれやれみたいにマルコさんが言うので、
ちょっとムカ。
「だってマルコさん心配じゃないですか!私のせいで何かあったらって思ったら」
「海賊の俺に何の心配するんだい」
「や、でも万が一ってことも」
「怪我してもすぐ治るのにかい?」
「・・・・・それでも、です。大好き・・・ですから」
傷ついてほしくない。
そう思ったらぽろっと口に出てた、『大好き』。
あ、言っちゃった。
慌てて口を押えるけど、出た言葉は戻らない。
・・・・マルコさんの反応は。
「反省しろよい」
・・・あくまで冷たい。
「・・・・すみませんでした」
恋する乙女攻撃はマルコさんには効かないらしい。
それでも、
「戦いは海賊の本業だからねい」
そう言って笑って、
いつものように髪の毛をぐしゃぐしゃにするマルコさんが、
カッコ良くて。
大好きで。
やっぱり私は、
「・・・・大好き、です。マルコさん」
そう言わずにはおられないのです。
+大好きです 終+