いつかまた
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最近今までに増してアコが変だった。
が、ようやく理由がわかった。
写真が欲しいと言ったり、
やたらと視線が合ったり、
・・・抱きしめて欲しいとか、忘れないで欲しいとか。
つまり俺が居なくなったら、と考えているのだろう。
戻れりゃいいとは思う。
それで寂しいかと聞かれたら、
寂しい、よりは心配だろうねい。
今まで1人でやって来たんだ、
俺が居なくなっても問題ねェはずだ。
んなことはわかってる。
・・・・それでも、心配だと思っちまうよい。
「ただいまですぅ・・・・」
ぐったりした様子で帰ってきたアコに、
「・・・また何かやらかしたのかい?」
苦笑して声をかけてみるも、
「・・・・いえ」
短く返事をするだけで、
俺の方を見ようともしねェ。
・・・・何かある、とは思うものの。
無理に聞くこともねェだろう。
そう思っていた。
が。
「・・・・お風呂、入ってきます」
「・・・飯はいらねェのかい?」
「・・・・・あ。あとで、いただきます」
明らかに様子がおかしい。
いつもなら飯と聞けば元気を出すアコが。
飯も食わないで風呂、とはねい。
肉を焼く準備をして、
アコが風呂から出るのを待った。
「・・・ご飯、今日少な目でいいです」
「・・・・・具合悪いのかい」
何があっても飯だけはちゃんと食ってた、アコが。
珍しいにも程がある。
こりゃ只事じゃねェよい。
「・・・・・・・いえ、そういう訳では」
「何があったんだい?」
「・・・何も、ないですよ、ハイ」
・・・・・ハイ。
誤魔化す時によく使うアコの癖。
「・・・そうかい」
その証拠に、何もないと言っておきながら、
「マルコさん私居ない時は何があってもドア開けないで下さいね、絶対ですよ」
そう強く念を押す。
「それがその顔に関係あるんだねい?」
「・・・・・・う」
今にも泣きそうな、顔。
ほっときゃいいと思う気持ちと裏腹に口は出る。
面倒は御免だと思うが、
・・・・・・ほっとける訳ねェよい。
「海賊でも来るのかい?」
「・・・・・・みたいなもんです」
ぽつりと小さい声でアコは呟く。
「みたいなもん?」
「・・・・っとにかく、お願いします!」
「・・・・わかったよい」
必死なアコにそれ以上は聞けなかった。
この家に誰も入れなきゃいいだけなら話は早い。
この世界の海賊だろうが強盗だろうが1歩たりとも踏み入れさせはしねェよい。
「・・・お願いします!」
「必要なら見送りと迎えくらい行くよい?」
「あ・・・・・・だい、じょぶ、です」
・・・・大丈夫じゃねェ顔だよい。
「いいのかい?」
「・・・・はい」
ったく素直じゃねェ奴だい。
真っ青な顔して、
何かに怯えるような目してるくせに。
馬鹿だねい、ホントに。
「じゃあ行ってきます・・・」
「ああ、気を付けろよい」
次の日もアコは見送りの申し出を断った。
「ホントに、鍵かけて下さいね・・・チェーンもしておいてください、何なら」
「もし無理やり入って来ようとする奴が居たら生かしておいた方がいいんだねい?」
「・・・・・はい、お願いします」
「了解」
「ほんとにほんとに、大丈夫ですかマルコさん・・・!」
「俺の心配より自分の心配をしろよい」
「だっだいじょぶですよー私は!」
「・・・・何かあったらいつでも呼べよい。飛んで行く」
「有難う、御座います・・・じゃあ行ってきますね」
「・・・・よい」
ドアが閉まったのを見届けて、
鍵を持った。
鍵をかけて、
気配を消してアコの後ろ姿を見る。
固い表情で俯いたまま歩いてる姿は、とてもじゃないが大丈夫には見えねェ。
人にぶつかったりしないか、
転んだりしないだろうな、と心配になってきた。
・・・・素直に大丈夫じゃないと言ってくれりゃこんな面倒なことにはならなかったんだがねい。
それでも何とか会社まで着くのを見届けて、
ほっとした。
帰りは連絡しろ、と言ってあるから連絡が来たら飛びゃいい。
・・・・俺が居るうちは、
アコに手は出させねェよい。
『今から出ますー』
と連絡があったのは、夜8時頃。
連絡があってすぐに出て、
夜道を歩くアコを見つけた。
何かに怯えているように、きょろきょろして。
・・・・怖いなら怖いって言えばいいのに何故言わねェんだ。
呆れながらも見守っていれば、
1人の男がアコに近づいたのが見えた。
すると明らかにアコの様子がおかしくなった。
・・・・あいつが、アコを怖がらせてる張本人で間違いねェな。
近くに降りると、逃げようとするアコと、服を引っ張って逃がさないようにしている男。
「何してんだいアコ」
「・・・ま、るこさん?」
ぐい、とこっち側に引っ張ってやるとアコは面白い程に呆然とした顔。
「何だよ、関係ねーやつはどっか行けよ」
・・・・これが海賊だってんなら情けない世界だよい。
「アコ、こいつは何だい」
「・・・・・えと」
「ちくしょ・・・っ」
困惑するアコを一瞥して、男は逃げて行った。
・・・・ますます海賊らしくねェ奴だよい。
「・・・・あ、有難う・・・御座います」
「・・・質問に答えてねェよいアコ」
じろ、と軽く睨めばぎゅ、と腕を掴んできた。
「昔、付き合ってた人・・・です」
「・・・・で、そいつが何の用だい」
イラッとした、今。
それを悟られないよう話を続ける。
「昨日偶然会って・・・お金、貸してくれって」
「・・・・情けねェ男だねい」
「付き合ってる時からそうでした・・・」
「どうやって別れたんだい?」
あんな男じゃ簡単にはいかなかっただろう。
と思いきや、
「刺殺されたくなかったら別れてって言ったんです」
「アコの方がよっぽど海賊だよい・・・」
宴好きといい、海が好きなことといい、
・・・こいつは海賊に向いてる。
モビーにアコが居たらどんなにいいだろうか、と一瞬思ってしまった。
「海賊・・・・なれますか、私」
おや、と思った。
「なりてェのかい?」
以前は怖いから無理、とか言ってたが。
「マルコさんの隣でなら・・・いいかなあって思いました」
その言葉にさっきまでの苛立ちが消えていく。
「迷惑かける度に反省文だよい?」
「は!?海賊なのに反省文とかあるんですか!?」
「当たり前だろい?」
「・・・・わーお」
「ふざけたこと言ってねェで、何で最初から言わなかったんだよい」
こつん、と頭を小突いてやったら、
「・・・頑張ろうと思って」
小さく、泣きそうな声が返ってきた。
「1人でかい?」
「だって、マルコさんに頼ってばっかりじゃ・・・駄目だと思ったんです」
・・・・確かに、いつかは俺は居なくなるだろう。
だから、というのはわかる。
「でも今は居るだろい?」
「そう・・・ですけど」
「俺が居るうちは頼ればいい」
「・・・・・・・・いいんですか?」
「いいって言ってるだろい」
「・・・・じゃあ、このままでもいいですか?」
掴まれた腕。
込み上げるむず痒さは放置。
「何ならこのまま飛ぶかい?」
「や、いいです怖いデス。このまま・・・歩いて帰りましょう」
「アコは海賊には向いてねェよい」
「さっき向いてるみたいなこと言ってくれませんでしたっけ!?」
こんなに心配で、
こんなに愛しい女は初めてだ。
+心配だ 終+
が、ようやく理由がわかった。
写真が欲しいと言ったり、
やたらと視線が合ったり、
・・・抱きしめて欲しいとか、忘れないで欲しいとか。
つまり俺が居なくなったら、と考えているのだろう。
戻れりゃいいとは思う。
それで寂しいかと聞かれたら、
寂しい、よりは心配だろうねい。
今まで1人でやって来たんだ、
俺が居なくなっても問題ねェはずだ。
んなことはわかってる。
・・・・それでも、心配だと思っちまうよい。
「ただいまですぅ・・・・」
ぐったりした様子で帰ってきたアコに、
「・・・また何かやらかしたのかい?」
苦笑して声をかけてみるも、
「・・・・いえ」
短く返事をするだけで、
俺の方を見ようともしねェ。
・・・・何かある、とは思うものの。
無理に聞くこともねェだろう。
そう思っていた。
が。
「・・・・お風呂、入ってきます」
「・・・飯はいらねェのかい?」
「・・・・・あ。あとで、いただきます」
明らかに様子がおかしい。
いつもなら飯と聞けば元気を出すアコが。
飯も食わないで風呂、とはねい。
肉を焼く準備をして、
アコが風呂から出るのを待った。
「・・・ご飯、今日少な目でいいです」
「・・・・・具合悪いのかい」
何があっても飯だけはちゃんと食ってた、アコが。
珍しいにも程がある。
こりゃ只事じゃねェよい。
「・・・・・・・いえ、そういう訳では」
「何があったんだい?」
「・・・何も、ないですよ、ハイ」
・・・・・ハイ。
誤魔化す時によく使うアコの癖。
「・・・そうかい」
その証拠に、何もないと言っておきながら、
「マルコさん私居ない時は何があってもドア開けないで下さいね、絶対ですよ」
そう強く念を押す。
「それがその顔に関係あるんだねい?」
「・・・・・・う」
今にも泣きそうな、顔。
ほっときゃいいと思う気持ちと裏腹に口は出る。
面倒は御免だと思うが、
・・・・・・ほっとける訳ねェよい。
「海賊でも来るのかい?」
「・・・・・・みたいなもんです」
ぽつりと小さい声でアコは呟く。
「みたいなもん?」
「・・・・っとにかく、お願いします!」
「・・・・わかったよい」
必死なアコにそれ以上は聞けなかった。
この家に誰も入れなきゃいいだけなら話は早い。
この世界の海賊だろうが強盗だろうが1歩たりとも踏み入れさせはしねェよい。
「・・・お願いします!」
「必要なら見送りと迎えくらい行くよい?」
「あ・・・・・・だい、じょぶ、です」
・・・・大丈夫じゃねェ顔だよい。
「いいのかい?」
「・・・・はい」
ったく素直じゃねェ奴だい。
真っ青な顔して、
何かに怯えるような目してるくせに。
馬鹿だねい、ホントに。
「じゃあ行ってきます・・・」
「ああ、気を付けろよい」
次の日もアコは見送りの申し出を断った。
「ホントに、鍵かけて下さいね・・・チェーンもしておいてください、何なら」
「もし無理やり入って来ようとする奴が居たら生かしておいた方がいいんだねい?」
「・・・・・はい、お願いします」
「了解」
「ほんとにほんとに、大丈夫ですかマルコさん・・・!」
「俺の心配より自分の心配をしろよい」
「だっだいじょぶですよー私は!」
「・・・・何かあったらいつでも呼べよい。飛んで行く」
「有難う、御座います・・・じゃあ行ってきますね」
「・・・・よい」
ドアが閉まったのを見届けて、
鍵を持った。
鍵をかけて、
気配を消してアコの後ろ姿を見る。
固い表情で俯いたまま歩いてる姿は、とてもじゃないが大丈夫には見えねェ。
人にぶつかったりしないか、
転んだりしないだろうな、と心配になってきた。
・・・・素直に大丈夫じゃないと言ってくれりゃこんな面倒なことにはならなかったんだがねい。
それでも何とか会社まで着くのを見届けて、
ほっとした。
帰りは連絡しろ、と言ってあるから連絡が来たら飛びゃいい。
・・・・俺が居るうちは、
アコに手は出させねェよい。
『今から出ますー』
と連絡があったのは、夜8時頃。
連絡があってすぐに出て、
夜道を歩くアコを見つけた。
何かに怯えているように、きょろきょろして。
・・・・怖いなら怖いって言えばいいのに何故言わねェんだ。
呆れながらも見守っていれば、
1人の男がアコに近づいたのが見えた。
すると明らかにアコの様子がおかしくなった。
・・・・あいつが、アコを怖がらせてる張本人で間違いねェな。
近くに降りると、逃げようとするアコと、服を引っ張って逃がさないようにしている男。
「何してんだいアコ」
「・・・ま、るこさん?」
ぐい、とこっち側に引っ張ってやるとアコは面白い程に呆然とした顔。
「何だよ、関係ねーやつはどっか行けよ」
・・・・これが海賊だってんなら情けない世界だよい。
「アコ、こいつは何だい」
「・・・・・えと」
「ちくしょ・・・っ」
困惑するアコを一瞥して、男は逃げて行った。
・・・・ますます海賊らしくねェ奴だよい。
「・・・・あ、有難う・・・御座います」
「・・・質問に答えてねェよいアコ」
じろ、と軽く睨めばぎゅ、と腕を掴んできた。
「昔、付き合ってた人・・・です」
「・・・・で、そいつが何の用だい」
イラッとした、今。
それを悟られないよう話を続ける。
「昨日偶然会って・・・お金、貸してくれって」
「・・・・情けねェ男だねい」
「付き合ってる時からそうでした・・・」
「どうやって別れたんだい?」
あんな男じゃ簡単にはいかなかっただろう。
と思いきや、
「刺殺されたくなかったら別れてって言ったんです」
「アコの方がよっぽど海賊だよい・・・」
宴好きといい、海が好きなことといい、
・・・こいつは海賊に向いてる。
モビーにアコが居たらどんなにいいだろうか、と一瞬思ってしまった。
「海賊・・・・なれますか、私」
おや、と思った。
「なりてェのかい?」
以前は怖いから無理、とか言ってたが。
「マルコさんの隣でなら・・・いいかなあって思いました」
その言葉にさっきまでの苛立ちが消えていく。
「迷惑かける度に反省文だよい?」
「は!?海賊なのに反省文とかあるんですか!?」
「当たり前だろい?」
「・・・・わーお」
「ふざけたこと言ってねェで、何で最初から言わなかったんだよい」
こつん、と頭を小突いてやったら、
「・・・頑張ろうと思って」
小さく、泣きそうな声が返ってきた。
「1人でかい?」
「だって、マルコさんに頼ってばっかりじゃ・・・駄目だと思ったんです」
・・・・確かに、いつかは俺は居なくなるだろう。
だから、というのはわかる。
「でも今は居るだろい?」
「そう・・・ですけど」
「俺が居るうちは頼ればいい」
「・・・・・・・・いいんですか?」
「いいって言ってるだろい」
「・・・・じゃあ、このままでもいいですか?」
掴まれた腕。
込み上げるむず痒さは放置。
「何ならこのまま飛ぶかい?」
「や、いいです怖いデス。このまま・・・歩いて帰りましょう」
「アコは海賊には向いてねェよい」
「さっき向いてるみたいなこと言ってくれませんでしたっけ!?」
こんなに心配で、
こんなに愛しい女は初めてだ。
+心配だ 終+