いつかまた
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マルコさんのことが好きなんだ、と。
認めてしまったら心は楽になったけど。
新たな問題が発生している。
主に私の中でだけ。
「じゃあ、おやすみなさいマルコさん」
「ああ、おやすみ」
私のぼろっぼろの布団の隣に、
簡易布団を敷いて。
マルコさんが寝る。
さすがにいつまでも座布団じゃ、と私が無理やり買った簡易布団で。
最初にマルコさんが来た夜は、
寝顔可愛いのは人間共通なのかなあと考えつつ爆睡したことを思い出す。
電気を消して横になって数分。
・・・・・・寝れないよ。
いくら私でも好きな人の隣で寝るのは緊張するらしい。
でもだからと言って、じゃあ別々に寝ましょうと言ったところで他に寝るとこなんて玄関か台所くらいしかないのが事実で。
マルコさんはそれでいいとか言いそうだけど。
・・・好きな人にそんなとこで寝て欲しくない。
複雑な乙女心。
まさか自分がこんな乙女になるとは思ってもみなかった。
しかもこの年齢になって。
・・・・でも、こうしていられる時間もあとどれだけなのかわからないし。
この寝顔も、じっくり見ておこう。
・・・・改めて思うけど、おっさんだよね。
しかも海賊なんだよね。
結構すごい海賊。
でもって恋人や好きな女性は居ないと。
・・・でもきっと、マルコさん素敵な人だからマルコさんのことを好きな女性は居るんだろうな。
もとの世界に戻ったらその人とくっつくんだろうか。
・・・・・・駄目だ。
余計なことが頭をぐるぐる回って絶対眠れないルートに入ってる。
「・・・・アコ」
「ひゃい!?」
突然のマルコさんの呼びかけに驚いた。
マルコさんはそっと目を開けると、
機嫌悪そうに呟く。
「眠れねェんだがよい」
「・・・・・すみません」
さすがマルコさん。
視線とか殺気とかそういうのがわかるらしい。
「寝れねェのかいアコ?」
「みたいですー」
えへへーと笑ったらマルコさんが起き上がって、
「やるかい?」
「へ?」
にや、と笑った。
・・・・やるって、何を?
首をかしげた私にマルコさんが手をくいっとやったので。
「やりましょう!」
私も喜んで起き上がった。
「かんぱーい!」
「乾杯」
カチン、とグラスを合わせる。
つまみは例によって柿ピーオンリーだけど。
「眠れない夜は酒盛りに限りますね」
「限るよい」
決めた。
これを私の失恋の宴にしよう。
好きだって気付いた瞬間から望みはないってわかってるんだから。
そんで少しでも眠れるように、
落ち着けるようにしよう。
でないと仕事に支障が出る。
「んー夜中飲む酒ってのも美味しいですねえ」
「だろい?」
ぐび、と美味しそうにお酒を飲むマルコさんは何処か色っぽい。
「・・・・マルコさんは、不安になったことないですか?」
「不安?何がだい」
「帰れないかも、とか」
お酒の勢いに任せて聞いてみた。
いつもは怖くて聞けなかったこと。
でもマルコさんは即答で、
「ないねい」
・・・・だそうで。
マルコさんの答えは結構いつも予想を撥ね退ける。
「・・・ないんですか?」
「今まで何とかしてきたんだい、これからだって何とかなるだろい」
前向きだなあ・・・。
「それにアコには悪いがこの生活も悪くねェからよい」
・・・・・そんなこと、言われたら。
諦められないじゃないか。
「・・・・・マルコさんのバカー」
「・・・・おい」
お酒も入ってるせいか、
目頭が熱くなってきた。
もう、隠せない。
「そんなこと言われたら・・・帰れるといいですね、って・・・言えないじゃないですか」
ぼろぼろこぼれた涙が頬を伝ったけど、
嘘泣きが得意だとマルコさんは知ってるから、
きっとこれもそうだと思うだろう。
そう、思ってくれた方がいい。
「・・・・泣くなよい」
・・・・って、
「・・・・マルコさん?」
「何だよい」
「嘘泣きだって思わないんですか」
「それが嘘泣きなら褒めてやるよい」
そしてまた、私の頭をぐしゃぐしゃっとする。
「・・・・寝る前に髪梳かしたのに」
「朝またやりゃいいだろい」
文句は言うものの、嬉しくて仕方ない。
さっきから、ずっと。
「・・・そうですね。マルコさんにこうしてもらえるのもあと何回あるか、わかんないし」
「あんまり考え過ぎんなよい」
「・・・・考え過ぎですか?」
「俺がモビーに戻れたとして、またここに来ないとは限らねェだろい」
憮然としたマルコさんの言葉に、
私はぽかん。
「・・・・・え、と」
「1回こうして来たんだ、また来ることがあってもおかしくねェ」
・・・・・・そんなこと考えもしなかった。
元の世界に戻っちゃったら、
もう2度と会えない。
そう思ってた。
「それにアコがモビーに来ることもあるかもしれねェよい?」
くくっ、と笑うマルコさんにこみあげてくる欲。
もう今夜はお酒のせいにして言ってしまおうか。
好きだ、と言えない代わりに。
「・・・・マルコさん、お願いがあるんです」
「珍しいねい」
「もう2度と言わないから、1回だけで・・・いいですから」
「聞かせろよい」
「・・・・・・・・・・抱きしめて、下さい」
マルコさんは一瞬だけ目を開いた。
そんなマルコさんを見つめて、
「むしろ私が抱き着くんでも可です」
そう言ったら、また可笑しそうに笑った。
「バカだねい」
マルコさんは立ち上がって、
私の腕を引っ張る。
引っ張られて立ち上がった私は、
すぐにマルコさんの、
腕の中。
「おっさんの匂いがします」
甘い空気とか、
ムードとか。
ぶち壊しだけどそんなのどうでも良かった。
ただ、嬉しいと。
このおっさんの香りと、
あったかいぬくもりを忘れないと伝えたい。
「おっさんだからねい」
「・・・・もいっこ、いいですか」
「この際だ、言っちまえ」
「もしマルコさんが自分の世界に戻っても、私のこと忘れないで下さい」
「・・・・バカだよい、ほんとに」
「こんなバカな女が居たってこと。料理が下手で不器用な、やつが居たってこと」
・・・・・忘れないで欲しい。
マルコさんのことが大好きな、
こんな女が居たことを。
「忘れられる訳ねェだろい」
「・・・・ほんとですか?」
「忘れられねェよい、アコみたいな女」
「約束できます?」
「してやるよい」
そっと、小指同士が絡んだ。
約束の、証。
夜中の約束は、
私の中で忘れられない約束。
+約束を 終+
認めてしまったら心は楽になったけど。
新たな問題が発生している。
主に私の中でだけ。
「じゃあ、おやすみなさいマルコさん」
「ああ、おやすみ」
私のぼろっぼろの布団の隣に、
簡易布団を敷いて。
マルコさんが寝る。
さすがにいつまでも座布団じゃ、と私が無理やり買った簡易布団で。
最初にマルコさんが来た夜は、
寝顔可愛いのは人間共通なのかなあと考えつつ爆睡したことを思い出す。
電気を消して横になって数分。
・・・・・・寝れないよ。
いくら私でも好きな人の隣で寝るのは緊張するらしい。
でもだからと言って、じゃあ別々に寝ましょうと言ったところで他に寝るとこなんて玄関か台所くらいしかないのが事実で。
マルコさんはそれでいいとか言いそうだけど。
・・・好きな人にそんなとこで寝て欲しくない。
複雑な乙女心。
まさか自分がこんな乙女になるとは思ってもみなかった。
しかもこの年齢になって。
・・・・でも、こうしていられる時間もあとどれだけなのかわからないし。
この寝顔も、じっくり見ておこう。
・・・・改めて思うけど、おっさんだよね。
しかも海賊なんだよね。
結構すごい海賊。
でもって恋人や好きな女性は居ないと。
・・・でもきっと、マルコさん素敵な人だからマルコさんのことを好きな女性は居るんだろうな。
もとの世界に戻ったらその人とくっつくんだろうか。
・・・・・・駄目だ。
余計なことが頭をぐるぐる回って絶対眠れないルートに入ってる。
「・・・・アコ」
「ひゃい!?」
突然のマルコさんの呼びかけに驚いた。
マルコさんはそっと目を開けると、
機嫌悪そうに呟く。
「眠れねェんだがよい」
「・・・・・すみません」
さすがマルコさん。
視線とか殺気とかそういうのがわかるらしい。
「寝れねェのかいアコ?」
「みたいですー」
えへへーと笑ったらマルコさんが起き上がって、
「やるかい?」
「へ?」
にや、と笑った。
・・・・やるって、何を?
首をかしげた私にマルコさんが手をくいっとやったので。
「やりましょう!」
私も喜んで起き上がった。
「かんぱーい!」
「乾杯」
カチン、とグラスを合わせる。
つまみは例によって柿ピーオンリーだけど。
「眠れない夜は酒盛りに限りますね」
「限るよい」
決めた。
これを私の失恋の宴にしよう。
好きだって気付いた瞬間から望みはないってわかってるんだから。
そんで少しでも眠れるように、
落ち着けるようにしよう。
でないと仕事に支障が出る。
「んー夜中飲む酒ってのも美味しいですねえ」
「だろい?」
ぐび、と美味しそうにお酒を飲むマルコさんは何処か色っぽい。
「・・・・マルコさんは、不安になったことないですか?」
「不安?何がだい」
「帰れないかも、とか」
お酒の勢いに任せて聞いてみた。
いつもは怖くて聞けなかったこと。
でもマルコさんは即答で、
「ないねい」
・・・・だそうで。
マルコさんの答えは結構いつも予想を撥ね退ける。
「・・・ないんですか?」
「今まで何とかしてきたんだい、これからだって何とかなるだろい」
前向きだなあ・・・。
「それにアコには悪いがこの生活も悪くねェからよい」
・・・・・そんなこと、言われたら。
諦められないじゃないか。
「・・・・・マルコさんのバカー」
「・・・・おい」
お酒も入ってるせいか、
目頭が熱くなってきた。
もう、隠せない。
「そんなこと言われたら・・・帰れるといいですね、って・・・言えないじゃないですか」
ぼろぼろこぼれた涙が頬を伝ったけど、
嘘泣きが得意だとマルコさんは知ってるから、
きっとこれもそうだと思うだろう。
そう、思ってくれた方がいい。
「・・・・泣くなよい」
・・・・って、
「・・・・マルコさん?」
「何だよい」
「嘘泣きだって思わないんですか」
「それが嘘泣きなら褒めてやるよい」
そしてまた、私の頭をぐしゃぐしゃっとする。
「・・・・寝る前に髪梳かしたのに」
「朝またやりゃいいだろい」
文句は言うものの、嬉しくて仕方ない。
さっきから、ずっと。
「・・・そうですね。マルコさんにこうしてもらえるのもあと何回あるか、わかんないし」
「あんまり考え過ぎんなよい」
「・・・・考え過ぎですか?」
「俺がモビーに戻れたとして、またここに来ないとは限らねェだろい」
憮然としたマルコさんの言葉に、
私はぽかん。
「・・・・・え、と」
「1回こうして来たんだ、また来ることがあってもおかしくねェ」
・・・・・・そんなこと考えもしなかった。
元の世界に戻っちゃったら、
もう2度と会えない。
そう思ってた。
「それにアコがモビーに来ることもあるかもしれねェよい?」
くくっ、と笑うマルコさんにこみあげてくる欲。
もう今夜はお酒のせいにして言ってしまおうか。
好きだ、と言えない代わりに。
「・・・・マルコさん、お願いがあるんです」
「珍しいねい」
「もう2度と言わないから、1回だけで・・・いいですから」
「聞かせろよい」
「・・・・・・・・・・抱きしめて、下さい」
マルコさんは一瞬だけ目を開いた。
そんなマルコさんを見つめて、
「むしろ私が抱き着くんでも可です」
そう言ったら、また可笑しそうに笑った。
「バカだねい」
マルコさんは立ち上がって、
私の腕を引っ張る。
引っ張られて立ち上がった私は、
すぐにマルコさんの、
腕の中。
「おっさんの匂いがします」
甘い空気とか、
ムードとか。
ぶち壊しだけどそんなのどうでも良かった。
ただ、嬉しいと。
このおっさんの香りと、
あったかいぬくもりを忘れないと伝えたい。
「おっさんだからねい」
「・・・・もいっこ、いいですか」
「この際だ、言っちまえ」
「もしマルコさんが自分の世界に戻っても、私のこと忘れないで下さい」
「・・・・バカだよい、ほんとに」
「こんなバカな女が居たってこと。料理が下手で不器用な、やつが居たってこと」
・・・・・忘れないで欲しい。
マルコさんのことが大好きな、
こんな女が居たことを。
「忘れられる訳ねェだろい」
「・・・・ほんとですか?」
「忘れられねェよい、アコみたいな女」
「約束できます?」
「してやるよい」
そっと、小指同士が絡んだ。
約束の、証。
夜中の約束は、
私の中で忘れられない約束。
+約束を 終+