いつかまた
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「帰りたいです先輩」
「駄目よ」
「そこを何とか」
「もうすぐ来るから」
「・・・・・・・・・・・・はい」
私達が今待ってるのは、
取引先の相手・・・・ではない。
「顔良し性格良し金アリのすっごい良い人なんだから!」
「むしろ今時そんな人怪しいですよ!絶対何かあるんですって!」
「お黙り」
「・・・・・・うへえい」
私の、お見合い相手。
先輩に無理やり連れてこられたお洒落レストラン。
美味しいもの食べさせてあげるから!
と。
マルコさんには連絡済み。
「別に付き合ってないんでしょ?あの彼とは。いいじゃない」
「・・・・・そうですけど。そういう問題じゃありませんよぅ」
別にマルコさんとそういう関係じゃなくたって、
お見合いとか冗談じゃない。
「うっさい。ほら、来たわよ」
「えぇ・・・・・」
入り口からやって来たのは、なるほど確かに爽やかなイケメンの青年。
「こんばんわ、初めまして」
「・・・・・・初めまして」
「じゃ、あとは2人でごゆっくりどーぞ。注文はコース2人分済ませてあるからね!」
「はぁ!?ちょっ、先輩!」
・・・・・・私の必死の叫びも虚しく先輩は、ほーっほほ!と妙な高笑いを残して去っていった。
・・・一応、今日のお見合い相手の方は先輩の友達で、
一緒に居るから大丈夫よ!
・・・・・・・・・ってことだったのに!
「・・・大丈夫?」
「・・・・・・・大丈夫じゃないです」
「え、具合悪い?」
「・・・・・・・・・いえ」
・・・・・頑張れ私。
耐えろ私。
大人の対応せねば。
「・・・・食事、楽しみですね」
「僕は君の料理が食べたいなあ」
「や、私料理苦手でして」
「あぁ、そうなんだ」
・・・・・・先輩の友人とやらは、あからさまに肩を落とした。
・・・・やっぱり駄目だこの人。
「三食主に外食冷凍物お弁当ですが何か」
「い・・・いや別に」
「片付けと掃除も苦手です、私」
「そ・・・そうなんだ」
・・・・・駄目だ私苛々してる。
「あ、これ良かったら俺の名刺もらってよ。・・・電話、してくれる?」
却下で。
即答したかったけど、先輩の顔を立てて我慢して名刺をもらった。
「・・・ごめんなさい私、やっぱり帰りますね。具合、良くなくて」
「じゃあ送っていくよ」
「お気持ちだけで結構です」
ごめんなさい、ともう1度謝って私は立ち上がり、
軽くお辞儀だけして店を出た。
・・・・・・ご飯は少し惜しい気もしたけど、
きっとマルコさんの作ってくれるご飯の方が美味しいに決まってる。
そんな気がした。
「ただいま帰りましたぁ・・・・」
「・・・・お疲れだねい」
「・・・・・・・・はい」
すごく疲れてるのに、
さっきまで憂鬱な気分だったのに、
「何か食うかい?」
「・・・・・食べたいです」
「今日は肉じゃがだよい」
「女子力高いですねマルコさん・・・!」
「・・・嬉しくねェよい」
「あははっ、美味しそうです。いただきまーす!」
・・・・・・・・マルコさんと話して、
マルコさんとご飯を食べる。
それだけで、すっごく元気出てくる。
でも今日はちょっとだけ、後ろ向き。
「・・・・・・・すみません私、女子力なくて」
料理も、掃除も苦手。
駄目女だなあとは自分でも思う。
「よくわかんねェけどよい。そんなに必要なもんかい?」
「・・・・でもあった方が良くないですか?」
「なくても不便じゃねェよい。生きてられてるしよい」
マルコさんは怪訝な顔で首を捻る。
「で・・・でも下手な子よりは上手な方が」
「下手だからしねェって奴の方が問題だろい?向き合ってるアコに問題はねェよい」
「・・・・・・・・っ」
あ、駄目だ。
「・・・・・・アコ?」
「・・・・・・・マルコさんのせいですよぅ」
ぼろ、ぼろぼろと零れてきた涙。
頬を伝って、こぼれ落ちる。
情けないことにそれを私は服の袖で拭いながら泣き続ける。
「・・・何か、言っちまったかい」
マルコさんは困惑したような、怒ってるような顔。
「マルコさんの優しさが、いつも心に沁みるから・・・っ」
「・・・・・・・・・・おい」
「今日のは沁みすぎですよ・・・ぅー」
「・・・焦らせんなよい」
はあ、とマルコさんはため息。
「あぅ・・・・」
「別に優しくはねェだろい。普通のことだ」
「マルコさん大好きですぅぅ!!」
「・・・・・・・アコはいちいち大袈裟だよい」
「大袈裟じゃ、ないです・・・っ、く、大好きなんですー!!」
「・・・・・わかったよい。ありがと、よい」
「わたし、料理頑張ります!」
「アコは料理出来なくても、見知らぬ海賊を住まわせる度胸があんだろい?」
「・・・・・・それ必要ですかね」
「俺は助かってるよい」
マルコさんがそう言ってくれたから。
私も私で、じゃあいっか。
という結論に至った。
「・・・・私も、ここに来てくれたのがマルコさんで助かってます」
「じゃあ問題ないねい」
「・・・・・・・・・・はい」
マルコさんは、いつだって私を元気にさせてしまう不思議な人だ。
「ご馳走様でした。・・・・あーあ明日の準備しないと」
元気は出ても出なくても明日は仕事。
ああ、先輩に怒られるかなあ。
鬼のような先輩の顔を想像しながらもらった名刺を見た。
「・・・・・・・・男かい?」
ぼそっとマルコさんが聞いてきた。
「あ、この名刺の人ですか?そうですよー私の先輩の知り合いの男性です」
思い出したらすんごいつまんない人だったんだなああの人と改めて感じながら明日の準備。
すると、
「悪かったねい」
・・・・・・・マルコさんの突然の謝罪。
「え。何がですか?」
「俺みたいのが居たんじゃ男も連れてこれねェだろい?」
目が点。
「・・・・・・・・いや、そんな面倒なことしませんて」
「面倒?」
「だって部屋片付けたりしなきゃいけないじゃないですか、うちに呼んだら」
「・・・・・・そりゃそうだろい」
「そもそもこんな汚くて狭い家に呼べませんよー」
「・・・・くくっ、アコらしいねい」
「あ・・・・・でもアレですね、こんな汚くて狭い家に住まわせてすみません・・・」
「俺には十分だよい」
なんて、
マルコさんが幸せそうに笑うから、
私も幸せだなあと思った。
+幸せとは 終+
「駄目よ」
「そこを何とか」
「もうすぐ来るから」
「・・・・・・・・・・・・はい」
私達が今待ってるのは、
取引先の相手・・・・ではない。
「顔良し性格良し金アリのすっごい良い人なんだから!」
「むしろ今時そんな人怪しいですよ!絶対何かあるんですって!」
「お黙り」
「・・・・・・うへえい」
私の、お見合い相手。
先輩に無理やり連れてこられたお洒落レストラン。
美味しいもの食べさせてあげるから!
と。
マルコさんには連絡済み。
「別に付き合ってないんでしょ?あの彼とは。いいじゃない」
「・・・・・そうですけど。そういう問題じゃありませんよぅ」
別にマルコさんとそういう関係じゃなくたって、
お見合いとか冗談じゃない。
「うっさい。ほら、来たわよ」
「えぇ・・・・・」
入り口からやって来たのは、なるほど確かに爽やかなイケメンの青年。
「こんばんわ、初めまして」
「・・・・・・初めまして」
「じゃ、あとは2人でごゆっくりどーぞ。注文はコース2人分済ませてあるからね!」
「はぁ!?ちょっ、先輩!」
・・・・・・私の必死の叫びも虚しく先輩は、ほーっほほ!と妙な高笑いを残して去っていった。
・・・一応、今日のお見合い相手の方は先輩の友達で、
一緒に居るから大丈夫よ!
・・・・・・・・・ってことだったのに!
「・・・大丈夫?」
「・・・・・・・大丈夫じゃないです」
「え、具合悪い?」
「・・・・・・・・・いえ」
・・・・・頑張れ私。
耐えろ私。
大人の対応せねば。
「・・・・食事、楽しみですね」
「僕は君の料理が食べたいなあ」
「や、私料理苦手でして」
「あぁ、そうなんだ」
・・・・・・先輩の友人とやらは、あからさまに肩を落とした。
・・・・やっぱり駄目だこの人。
「三食主に外食冷凍物お弁当ですが何か」
「い・・・いや別に」
「片付けと掃除も苦手です、私」
「そ・・・そうなんだ」
・・・・・駄目だ私苛々してる。
「あ、これ良かったら俺の名刺もらってよ。・・・電話、してくれる?」
却下で。
即答したかったけど、先輩の顔を立てて我慢して名刺をもらった。
「・・・ごめんなさい私、やっぱり帰りますね。具合、良くなくて」
「じゃあ送っていくよ」
「お気持ちだけで結構です」
ごめんなさい、ともう1度謝って私は立ち上がり、
軽くお辞儀だけして店を出た。
・・・・・・ご飯は少し惜しい気もしたけど、
きっとマルコさんの作ってくれるご飯の方が美味しいに決まってる。
そんな気がした。
「ただいま帰りましたぁ・・・・」
「・・・・お疲れだねい」
「・・・・・・・・はい」
すごく疲れてるのに、
さっきまで憂鬱な気分だったのに、
「何か食うかい?」
「・・・・・食べたいです」
「今日は肉じゃがだよい」
「女子力高いですねマルコさん・・・!」
「・・・嬉しくねェよい」
「あははっ、美味しそうです。いただきまーす!」
・・・・・・・・マルコさんと話して、
マルコさんとご飯を食べる。
それだけで、すっごく元気出てくる。
でも今日はちょっとだけ、後ろ向き。
「・・・・・・・すみません私、女子力なくて」
料理も、掃除も苦手。
駄目女だなあとは自分でも思う。
「よくわかんねェけどよい。そんなに必要なもんかい?」
「・・・・でもあった方が良くないですか?」
「なくても不便じゃねェよい。生きてられてるしよい」
マルコさんは怪訝な顔で首を捻る。
「で・・・でも下手な子よりは上手な方が」
「下手だからしねェって奴の方が問題だろい?向き合ってるアコに問題はねェよい」
「・・・・・・・・っ」
あ、駄目だ。
「・・・・・・アコ?」
「・・・・・・・マルコさんのせいですよぅ」
ぼろ、ぼろぼろと零れてきた涙。
頬を伝って、こぼれ落ちる。
情けないことにそれを私は服の袖で拭いながら泣き続ける。
「・・・何か、言っちまったかい」
マルコさんは困惑したような、怒ってるような顔。
「マルコさんの優しさが、いつも心に沁みるから・・・っ」
「・・・・・・・・・・おい」
「今日のは沁みすぎですよ・・・ぅー」
「・・・焦らせんなよい」
はあ、とマルコさんはため息。
「あぅ・・・・」
「別に優しくはねェだろい。普通のことだ」
「マルコさん大好きですぅぅ!!」
「・・・・・・・アコはいちいち大袈裟だよい」
「大袈裟じゃ、ないです・・・っ、く、大好きなんですー!!」
「・・・・・わかったよい。ありがと、よい」
「わたし、料理頑張ります!」
「アコは料理出来なくても、見知らぬ海賊を住まわせる度胸があんだろい?」
「・・・・・・それ必要ですかね」
「俺は助かってるよい」
マルコさんがそう言ってくれたから。
私も私で、じゃあいっか。
という結論に至った。
「・・・・私も、ここに来てくれたのがマルコさんで助かってます」
「じゃあ問題ないねい」
「・・・・・・・・・・はい」
マルコさんは、いつだって私を元気にさせてしまう不思議な人だ。
「ご馳走様でした。・・・・あーあ明日の準備しないと」
元気は出ても出なくても明日は仕事。
ああ、先輩に怒られるかなあ。
鬼のような先輩の顔を想像しながらもらった名刺を見た。
「・・・・・・・・男かい?」
ぼそっとマルコさんが聞いてきた。
「あ、この名刺の人ですか?そうですよー私の先輩の知り合いの男性です」
思い出したらすんごいつまんない人だったんだなああの人と改めて感じながら明日の準備。
すると、
「悪かったねい」
・・・・・・・マルコさんの突然の謝罪。
「え。何がですか?」
「俺みたいのが居たんじゃ男も連れてこれねェだろい?」
目が点。
「・・・・・・・・いや、そんな面倒なことしませんて」
「面倒?」
「だって部屋片付けたりしなきゃいけないじゃないですか、うちに呼んだら」
「・・・・・・そりゃそうだろい」
「そもそもこんな汚くて狭い家に呼べませんよー」
「・・・・くくっ、アコらしいねい」
「あ・・・・・でもアレですね、こんな汚くて狭い家に住まわせてすみません・・・」
「俺には十分だよい」
なんて、
マルコさんが幸せそうに笑うから、
私も幸せだなあと思った。
+幸せとは 終+