いつかまた
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「こんなもんだろい」
「・・・・・こんなもんですかね」
真っ暗なトンネルで手が離れて、
マルコさんが1人、トンネルを抜けた。
でも拍子抜け、何事もなかった。
マルコさんが消えることも、
周りの景色が変わるようなことも。
でもって、マルコさんの反応にも拍子抜けした。
私は・・・・・すごくドキドキしてて、
泣きそうで。
ずっとずっと、見えない後ろ姿見てたのに。
・・・・・・・・・なのに、
トンネルを抜けたマルコさんはすぐにくるっと振り返って、
冒頭の台詞をあっさりと言い放った。
「アコにゃ悪ィが何も起こらねェとは思ってたよい」
「・・・・・・・・でも、結構信憑性ある話だったんですけどね」
「そもそも俺の部屋からアコの部屋に来たんだよい、俺は。ならアコの部屋から帰れるんじゃねェのかい?」
「・・・・・・・・・はぅ!」
それは早く言って欲しかったですマルコさん!
・・・・・いや、私がもっと早く気づくべきだった!?
「すみませんでした・・・気がつかなくて」
はあああ、と自分の駄目っぷりに思わずため息。
「謝るこたァねェよい。可能性が1%でもある以上やってみる価値はあんだろい」
励ましてくれるマルコさんの優しさが心に沁みる・・・・ああ、情けない。
「でも・・・じゃあ、マルコさん突然居なくなっちゃうことも、有り得るってことですね」
「・・・・・そういうことになるだろうねい」
「そっそしたらきっとちゃんとマルコさんの世界に戻れますね!」
「だと、いいが・・・」
何処か自嘲気味に笑うマルコさんに慌てて、
「また調べます!きっと何かわかりますよ!情報社会ですから!」
叫んだ。
「アコが頑張る必要はねェよい」
「でも・・・!」
「もう焦っちゃいねェ」
「そう・・・なんですか?」
「どっかのお人好しな女に感化されちまったよい」
ぽんぽん、とマルコさんは背が高いのをいいことに私の頭を軽く小突いた後、
「かみ!髪ィィ!!」
ぐしゃぐしゃ、と髪を乱すようにかき回す。
「・・・・だから、よい。気にすんな」
「・・・・・・マルコさんにはわからないでしょうが、私の大事な髪の毛・・・!」
「喧嘩売ってんなら買うよい」
「だって最近髪の毛が抜けて抜けて・・・!」
「禿げちまえ」
「乙女に何てことおおぉぉ!!!」
ものすんごい個性的な髪型してるマルコさんに言われたくない!!
マルコさんはご機嫌な様子で笑って、
「帰るかい?アコ」
そっと手を私の腰に当てた。
「まっ・・・マルコさんセクハラじゃないですかそれは」
「手繋いだ方がいいかい?」
「っじゃなくて!」
「言ったろい?泣かれたら困るってよい」
「今は泣きませんて言いましたよね!」
なんて、
不思議とマルコさんと距離が縮まったように思えた帰り道。
2人で帰れることが、
すごく嬉しかった。
次の日。
「えと・・・じゃあ行ってきますね」
「・・・・んな顔しなくても大丈夫だよい」
「あはは、もう心配なんてしてませんよー」
それじゃあ、と玄関を出て、
バタン、と閉まったドアを数秒見つめた。
もう・・・寂しいんじゃないかなんて心配はしてない。
そんなことより、心配なことが出来てしまったから。
今の私の心配は、
私が帰ったら、マルコさんは居ないんじゃないかっていうこと。
昨日マルコさんが言ってた通りなのなら、
私が居ない間に帰っちゃう可能性が高い。
ただいま、って言っても。
おかえり、って返してくれるマルコさんが。
・・・・・・・居ないかもしれないということ。
出来るなら、お別れの時は側に居たい。
挨拶くらい、したいじゃないか。
・・・いつお別れになっちゃうのかわかんないっていうのはかなり不安で。
おちおち仕事にも集中出来ない。
そわそわしながら会社に行って、
やっぱり集中出来ないままパソコンに向かう。
「ミス発見」
「わ、先輩」
ぼーっとモニター見てたら横から先輩の怖い視線。
「何、彼氏と喧嘩でもした訳?」
「や、そういう訳じゃ・・・って、彼氏じゃないですよ!」
「あんなに仲良さそうだったくせに。もう一緒に住んじゃえば?」
「あ・・・住んでます」
「はぁ!?じゃあ旦那!?」
「違いますって!・・・・ただの、同居人です」
「あんたの部屋狭いんじゃないの?」
「・・・・・・・・・くっそ狭いです」
「寝る時どうしてんの?」
「お・・・同じ部屋で、私の隣に座布団で」
「あんたいくらなんでも危機管理なさすぎじゃない!?」
ものすっごい勢いで怒られた。
「でも部屋狭いですし・・・他に、ないですし」
最初こそマルコさんは大反対だった。
でも、お互い何て気もないしいいじゃないかと私が押し切った。
「狭い部屋でいい年した男女が寝てて何もないと思ってんの?」
「・・・・・・・・おっしゃる通りですハイ」
悔しいけど正論。
「わかったらさっさと追い出した方がいいわよ」
「・・・・追い出さなくても、たぶんいつかは居なくなっちゃいますから」
「・・・・・・・・何かあってからじゃ遅いのよ?」
先輩が心配してくれてるのはわかる。
でも今の私には、
「今はまだ・・・側に居たいんです」
これしか、言えなかった。
1人になるのが怖い訳じゃないのにな。
+ひょーし抜け 終+
「・・・・・こんなもんですかね」
真っ暗なトンネルで手が離れて、
マルコさんが1人、トンネルを抜けた。
でも拍子抜け、何事もなかった。
マルコさんが消えることも、
周りの景色が変わるようなことも。
でもって、マルコさんの反応にも拍子抜けした。
私は・・・・・すごくドキドキしてて、
泣きそうで。
ずっとずっと、見えない後ろ姿見てたのに。
・・・・・・・・・なのに、
トンネルを抜けたマルコさんはすぐにくるっと振り返って、
冒頭の台詞をあっさりと言い放った。
「アコにゃ悪ィが何も起こらねェとは思ってたよい」
「・・・・・・・・でも、結構信憑性ある話だったんですけどね」
「そもそも俺の部屋からアコの部屋に来たんだよい、俺は。ならアコの部屋から帰れるんじゃねェのかい?」
「・・・・・・・・・はぅ!」
それは早く言って欲しかったですマルコさん!
・・・・・いや、私がもっと早く気づくべきだった!?
「すみませんでした・・・気がつかなくて」
はあああ、と自分の駄目っぷりに思わずため息。
「謝るこたァねェよい。可能性が1%でもある以上やってみる価値はあんだろい」
励ましてくれるマルコさんの優しさが心に沁みる・・・・ああ、情けない。
「でも・・・じゃあ、マルコさん突然居なくなっちゃうことも、有り得るってことですね」
「・・・・・そういうことになるだろうねい」
「そっそしたらきっとちゃんとマルコさんの世界に戻れますね!」
「だと、いいが・・・」
何処か自嘲気味に笑うマルコさんに慌てて、
「また調べます!きっと何かわかりますよ!情報社会ですから!」
叫んだ。
「アコが頑張る必要はねェよい」
「でも・・・!」
「もう焦っちゃいねェ」
「そう・・・なんですか?」
「どっかのお人好しな女に感化されちまったよい」
ぽんぽん、とマルコさんは背が高いのをいいことに私の頭を軽く小突いた後、
「かみ!髪ィィ!!」
ぐしゃぐしゃ、と髪を乱すようにかき回す。
「・・・・だから、よい。気にすんな」
「・・・・・・マルコさんにはわからないでしょうが、私の大事な髪の毛・・・!」
「喧嘩売ってんなら買うよい」
「だって最近髪の毛が抜けて抜けて・・・!」
「禿げちまえ」
「乙女に何てことおおぉぉ!!!」
ものすんごい個性的な髪型してるマルコさんに言われたくない!!
マルコさんはご機嫌な様子で笑って、
「帰るかい?アコ」
そっと手を私の腰に当てた。
「まっ・・・マルコさんセクハラじゃないですかそれは」
「手繋いだ方がいいかい?」
「っじゃなくて!」
「言ったろい?泣かれたら困るってよい」
「今は泣きませんて言いましたよね!」
なんて、
不思議とマルコさんと距離が縮まったように思えた帰り道。
2人で帰れることが、
すごく嬉しかった。
次の日。
「えと・・・じゃあ行ってきますね」
「・・・・んな顔しなくても大丈夫だよい」
「あはは、もう心配なんてしてませんよー」
それじゃあ、と玄関を出て、
バタン、と閉まったドアを数秒見つめた。
もう・・・寂しいんじゃないかなんて心配はしてない。
そんなことより、心配なことが出来てしまったから。
今の私の心配は、
私が帰ったら、マルコさんは居ないんじゃないかっていうこと。
昨日マルコさんが言ってた通りなのなら、
私が居ない間に帰っちゃう可能性が高い。
ただいま、って言っても。
おかえり、って返してくれるマルコさんが。
・・・・・・・居ないかもしれないということ。
出来るなら、お別れの時は側に居たい。
挨拶くらい、したいじゃないか。
・・・いつお別れになっちゃうのかわかんないっていうのはかなり不安で。
おちおち仕事にも集中出来ない。
そわそわしながら会社に行って、
やっぱり集中出来ないままパソコンに向かう。
「ミス発見」
「わ、先輩」
ぼーっとモニター見てたら横から先輩の怖い視線。
「何、彼氏と喧嘩でもした訳?」
「や、そういう訳じゃ・・・って、彼氏じゃないですよ!」
「あんなに仲良さそうだったくせに。もう一緒に住んじゃえば?」
「あ・・・住んでます」
「はぁ!?じゃあ旦那!?」
「違いますって!・・・・ただの、同居人です」
「あんたの部屋狭いんじゃないの?」
「・・・・・・・・・くっそ狭いです」
「寝る時どうしてんの?」
「お・・・同じ部屋で、私の隣に座布団で」
「あんたいくらなんでも危機管理なさすぎじゃない!?」
ものすっごい勢いで怒られた。
「でも部屋狭いですし・・・他に、ないですし」
最初こそマルコさんは大反対だった。
でも、お互い何て気もないしいいじゃないかと私が押し切った。
「狭い部屋でいい年した男女が寝てて何もないと思ってんの?」
「・・・・・・・・おっしゃる通りですハイ」
悔しいけど正論。
「わかったらさっさと追い出した方がいいわよ」
「・・・・追い出さなくても、たぶんいつかは居なくなっちゃいますから」
「・・・・・・・・何かあってからじゃ遅いのよ?」
先輩が心配してくれてるのはわかる。
でも今の私には、
「今はまだ・・・側に居たいんです」
これしか、言えなかった。
1人になるのが怖い訳じゃないのにな。
+ひょーし抜け 終+