いつかまた
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変な女。
アコについては、最初に会った時から印象はあまり変わっていない。
料理が下手で、
不器用で。
・・・・かと思えば、
「失礼は承知の上でのお願いです!」
「・・・・・・何すりゃいいんだい」
仕事から帰ってきたと思ったら、
いきなり頭を下げ始めたアコに何事かと思えば。
「明日1日だけ私の恋人になってください」
「・・・・・・・・は?」
俺に偽の恋人を頼んだり。
何でよりによって俺に頼むんだか。
話聞いてりゃ野郎の知り合いは何人か居るらしいのに、
「マルコさんしか居ないんですぅぅぅ!!」
ときた。
・・・・・・・・仮にも、世話になってる身だ。
面倒くさいことは御免だが、
「私が言うことに頷いてくれるだけでいいですから!」
必死に縋り付くアコを目の前にして、
断ることが出来なかった。
俺が渋々頷くと、アコは目を輝かせて何回もお礼を言った。
・・・・・・俺みてェなこんなおっさんでいいのかい、と。
何故か、言えなかった。
「私の恋人の、マルコさん」
「・・・・・・・・・・・外国の方?」
アコの友人、という女は困惑した顔で観察するように俺を見てきた。
・・・・気分良いもんじゃねェが仕方ねェよい。
「・・・・・・よい」
「よい?」
つい舌打ちが出そうになって、抑えた。
そんな俺を見てアコが慌てて、
「口癖なの!気にしないで!」
・・・・・・もうこれ以上口を開かないようにしようと思った。
だが、
「・・・・恋人なのに手とか繋がないんだ?」
「まだそんなにたってないから!」
「マルコさん失礼ですけどお勤めは?」
「・・・・・さ、最近日本に来たばっかりだから!」
「・・・・・・・へーえ」
「そっそんなことよりご飯!!ご飯行こう!?マルコさんもお腹すきましたよね!」
「・・・・そうだねい」
「恋人なのに敬語?」
「2人きりの時はタメ語だしマルコって呼ぶし!!」
必死に慌てふためくアコを見ていられなくなって、
「・・・・・・・・こいつをからかうのも程々に頼むよい」
思わずを口出した。
「あら、失礼。じゃあお食事行きましょうか」
「・・・・マルコさん、有り難う」
ちら、と向けられたアコの表情が嬉しそうな笑みで、返事に困った。
・・・・こういう時何て言えばいいのかわかんねェよい。
それでも礼を言われりゃ、悪い気はしない。
「で、2人は何処で出会ったの?」
「マルコさんがこっちに観光に来た時、海で」
「・・・・まさかナンパ?」
「違う違う!私が転びそうになったとこをたまたま助けてくれて!ですよねマルコさんっ!」
・・・・適当に頷いときゃいいんだったな。
「・・・・・・懐かしいよい」
「それで、告白はどっちから?」
にしたってアコの態度を見れば偽の恋人だといつバレてもおかしくねェのは明らか。
少しは俺も加勢してやるかねい。
「・・・・・・俺が」
「え、」
「俺からだよい」
「へー・・・・」
「2度と会えなくなる前に好きだって言っておきたかったからねい」
・・・・もし、本当に2度と会えなくなるんだとしたら。
言っておくべきだろう。
惚れた女には。
「意外と情熱的なんですね。今はどちらにお住まいなんですか?」
「あ、うちに住んでる」
「同棲!?」
「すっ・・・・好きだから」
「にしたってアンタ!」
「マルコさんすっごい料理上手なんだよ!洗濯掃除もぱぱっとやってくれるし!」
「・・・・・・アンタそれはそれで女としてどうよ」
呆れた様子の女に、
「アコは確かに料理は下手だが、度胸もあるし可愛いとこもあるよい」
事実を述べる。
海賊の男を簡単に住まわせる度胸もあれば、
こんなことに必死になるとこは可愛いと言えなくもねェ。
「う・・・・・ありがと、です」
「・・・・・マルコさんにお聞きしたいんですけどね、アコを幸せに出来ます?」
じ、っと女に見つめられて、
少し考えた。
泣かせたいとは思わない。
・・・・・・俺の作った飯を美味いと食う姿。
俺が、笑わせてやれるなら。
「・・・・・・・・幸せにしたいとは、思う」
・・・・これは、嘘じゃねェ。
数日後には、
「一生の不覚・・・・」
「大袈裟だよい」
赤い顔でぐったりと横になるアコの熱は37℃。
おおかた昨日言ってた、
『明日はマルコさんの帰れる手がかりを見つけに行きましょうね!』
って言葉を気にしてんだろうが。
「本当は医者に診せてェが・・・」
「大袈裟です。風邪薬飲めば治りますから!」
「風邪じゃなかったらどうすんだい」
「・・・・・・・いや風邪ですよ」
「似た症状でとんでもねェ病気ってこともある」
船医が居りゃすぐに診せんのによい。
・・・・・・・こいつに、何かあったら俺は。
「んー・・・・・じゃあ、これ以上悪化したら、病院、行きます」
「・・・医者は来ねェのかよい」
何で病人が行かなきゃいけねェんだ。
「あははっ、呼べば救急車は来てくれますねえ」
「ンなもん呼んでる時間が惜しいよい。俺が運ぶ」
「・・・・・どうやって」
「飛んでいく」
アコの為なら多少目立っても構わねェ。
そう、思った。
「・・・・・・・いいですねえ、それ」
アコがぽつりと呟いた。
「私が・・・・大変なことになったら、よろしくお願いします、ね」
苦しそうなのに、何処か嬉しそうな表情。
・・・・・・・・無理して笑うこたァねェのによい。
「・・・・任せろい」
アコを寝かせる為に台所に行き、粥を煮込んでいたら、
「まるこさん」
・・・・・・そう聞こえた気がした。
「アコ?」
寝れなかったのか、何か欲しいのかと声をかければ、目を丸くしてぱちぱちと何回も瞬きをした。
「・・・・・ぉおう?」
「呼んだかい?」
困惑気味のアコにどうした、と聞けば、
「・・・・・・ごめんなさい」と返って来た。
よく聞き出せば、
「部屋広くないし綺麗じゃないし・・・私も、美人でもグラマーでもないし」
・・・とか言い出す始末。
こんな時に何言ってんだかねい。
それから作った粥を食わせたら、
食欲はないとか言っていたはずが美味しい美味しいと全部食べた。
弱弱しいながらも美味そうに食べる姿は、
・・・・・・愛おしいと思った。
アコは半分目を閉じながら眠そうな顔で、
「マルコさんがうちに来てくれて、いてくれて私嬉しいんです。でもマルコさんにとってはいいことなんかないし」
また、俺のこと。
「・・・言ってなかったかい?」
「・・・・へ?」
早く寝ればいい。
こんな自分、恥ずかしいから。
そんな思いで髪を撫でた。
「俺も・・・・思ってるよい。この家の主がアコで良かった」
小さく、それでも届くようにしっかり囁けば、
「・・・ありがとう、ございます」
嬉しそうに笑ってアコは完全に目を閉じた。
それから数秒、寝息が聞こえて。
・・・・・・側に居たいと思ってしまったのは、
不覚。
+不覚 終+
アコについては、最初に会った時から印象はあまり変わっていない。
料理が下手で、
不器用で。
・・・・かと思えば、
「失礼は承知の上でのお願いです!」
「・・・・・・何すりゃいいんだい」
仕事から帰ってきたと思ったら、
いきなり頭を下げ始めたアコに何事かと思えば。
「明日1日だけ私の恋人になってください」
「・・・・・・・・は?」
俺に偽の恋人を頼んだり。
何でよりによって俺に頼むんだか。
話聞いてりゃ野郎の知り合いは何人か居るらしいのに、
「マルコさんしか居ないんですぅぅぅ!!」
ときた。
・・・・・・・・仮にも、世話になってる身だ。
面倒くさいことは御免だが、
「私が言うことに頷いてくれるだけでいいですから!」
必死に縋り付くアコを目の前にして、
断ることが出来なかった。
俺が渋々頷くと、アコは目を輝かせて何回もお礼を言った。
・・・・・・俺みてェなこんなおっさんでいいのかい、と。
何故か、言えなかった。
「私の恋人の、マルコさん」
「・・・・・・・・・・・外国の方?」
アコの友人、という女は困惑した顔で観察するように俺を見てきた。
・・・・気分良いもんじゃねェが仕方ねェよい。
「・・・・・・よい」
「よい?」
つい舌打ちが出そうになって、抑えた。
そんな俺を見てアコが慌てて、
「口癖なの!気にしないで!」
・・・・・・もうこれ以上口を開かないようにしようと思った。
だが、
「・・・・恋人なのに手とか繋がないんだ?」
「まだそんなにたってないから!」
「マルコさん失礼ですけどお勤めは?」
「・・・・・さ、最近日本に来たばっかりだから!」
「・・・・・・・へーえ」
「そっそんなことよりご飯!!ご飯行こう!?マルコさんもお腹すきましたよね!」
「・・・・そうだねい」
「恋人なのに敬語?」
「2人きりの時はタメ語だしマルコって呼ぶし!!」
必死に慌てふためくアコを見ていられなくなって、
「・・・・・・・・こいつをからかうのも程々に頼むよい」
思わずを口出した。
「あら、失礼。じゃあお食事行きましょうか」
「・・・・マルコさん、有り難う」
ちら、と向けられたアコの表情が嬉しそうな笑みで、返事に困った。
・・・・こういう時何て言えばいいのかわかんねェよい。
それでも礼を言われりゃ、悪い気はしない。
「で、2人は何処で出会ったの?」
「マルコさんがこっちに観光に来た時、海で」
「・・・・まさかナンパ?」
「違う違う!私が転びそうになったとこをたまたま助けてくれて!ですよねマルコさんっ!」
・・・・適当に頷いときゃいいんだったな。
「・・・・・・懐かしいよい」
「それで、告白はどっちから?」
にしたってアコの態度を見れば偽の恋人だといつバレてもおかしくねェのは明らか。
少しは俺も加勢してやるかねい。
「・・・・・・俺が」
「え、」
「俺からだよい」
「へー・・・・」
「2度と会えなくなる前に好きだって言っておきたかったからねい」
・・・・もし、本当に2度と会えなくなるんだとしたら。
言っておくべきだろう。
惚れた女には。
「意外と情熱的なんですね。今はどちらにお住まいなんですか?」
「あ、うちに住んでる」
「同棲!?」
「すっ・・・・好きだから」
「にしたってアンタ!」
「マルコさんすっごい料理上手なんだよ!洗濯掃除もぱぱっとやってくれるし!」
「・・・・・・アンタそれはそれで女としてどうよ」
呆れた様子の女に、
「アコは確かに料理は下手だが、度胸もあるし可愛いとこもあるよい」
事実を述べる。
海賊の男を簡単に住まわせる度胸もあれば、
こんなことに必死になるとこは可愛いと言えなくもねェ。
「う・・・・・ありがと、です」
「・・・・・マルコさんにお聞きしたいんですけどね、アコを幸せに出来ます?」
じ、っと女に見つめられて、
少し考えた。
泣かせたいとは思わない。
・・・・・・俺の作った飯を美味いと食う姿。
俺が、笑わせてやれるなら。
「・・・・・・・・幸せにしたいとは、思う」
・・・・これは、嘘じゃねェ。
数日後には、
「一生の不覚・・・・」
「大袈裟だよい」
赤い顔でぐったりと横になるアコの熱は37℃。
おおかた昨日言ってた、
『明日はマルコさんの帰れる手がかりを見つけに行きましょうね!』
って言葉を気にしてんだろうが。
「本当は医者に診せてェが・・・」
「大袈裟です。風邪薬飲めば治りますから!」
「風邪じゃなかったらどうすんだい」
「・・・・・・・いや風邪ですよ」
「似た症状でとんでもねェ病気ってこともある」
船医が居りゃすぐに診せんのによい。
・・・・・・・こいつに、何かあったら俺は。
「んー・・・・・じゃあ、これ以上悪化したら、病院、行きます」
「・・・医者は来ねェのかよい」
何で病人が行かなきゃいけねェんだ。
「あははっ、呼べば救急車は来てくれますねえ」
「ンなもん呼んでる時間が惜しいよい。俺が運ぶ」
「・・・・・どうやって」
「飛んでいく」
アコの為なら多少目立っても構わねェ。
そう、思った。
「・・・・・・・いいですねえ、それ」
アコがぽつりと呟いた。
「私が・・・・大変なことになったら、よろしくお願いします、ね」
苦しそうなのに、何処か嬉しそうな表情。
・・・・・・・・無理して笑うこたァねェのによい。
「・・・・任せろい」
アコを寝かせる為に台所に行き、粥を煮込んでいたら、
「まるこさん」
・・・・・・そう聞こえた気がした。
「アコ?」
寝れなかったのか、何か欲しいのかと声をかければ、目を丸くしてぱちぱちと何回も瞬きをした。
「・・・・・ぉおう?」
「呼んだかい?」
困惑気味のアコにどうした、と聞けば、
「・・・・・・ごめんなさい」と返って来た。
よく聞き出せば、
「部屋広くないし綺麗じゃないし・・・私も、美人でもグラマーでもないし」
・・・とか言い出す始末。
こんな時に何言ってんだかねい。
それから作った粥を食わせたら、
食欲はないとか言っていたはずが美味しい美味しいと全部食べた。
弱弱しいながらも美味そうに食べる姿は、
・・・・・・愛おしいと思った。
アコは半分目を閉じながら眠そうな顔で、
「マルコさんがうちに来てくれて、いてくれて私嬉しいんです。でもマルコさんにとってはいいことなんかないし」
また、俺のこと。
「・・・言ってなかったかい?」
「・・・・へ?」
早く寝ればいい。
こんな自分、恥ずかしいから。
そんな思いで髪を撫でた。
「俺も・・・・思ってるよい。この家の主がアコで良かった」
小さく、それでも届くようにしっかり囁けば、
「・・・ありがとう、ございます」
嬉しそうに笑ってアコは完全に目を閉じた。
それから数秒、寝息が聞こえて。
・・・・・・側に居たいと思ってしまったのは、
不覚。
+不覚 終+