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「グランドライン?レッドライン?」
マルコさんという人が来る前にここのことを簡単に説明しとく、と言ってサッチさんが教えてくれた。
この世界のことを。
世界を横断する大陸、赤い土の大陸、レッドライン。
そして偉大なる航路と呼ばれるグランドライン。
そしてそのグランドラインの後半が、新世界と呼ばれているらしい。
私が今居るのは新世界の1つの島なんだとか。
「4つの海・・・・・」
何でそんなことになってるんだろう。
・・・・・・何で私はそんな世界に居るんだろう。
「で、大海賊時代って呼ばれてる訳」
「じゃあ海賊は他にも居るってことですね。わ、このベーコン美味!」
「勿論。他の奴等は血の気も多いし、気をつけろよーアコちゃん」
「そうなんですね・・・気をつけます。卵の半熟加減たまらんですね!」
サッチさんの作ってくれた料理(ベーコンエッグ定食)を食べながら話を進めるけど、
これがまた美味しいんだ。
バイト先のまかないより美味しいかも。
「他に聞きたいことある?」
「そうですね・・・・こんな美味しい料理の秘訣と、あと何でエースさんは食べてる途中で寝ちゃったんでしょうかね」
そう、今私の隣でお皿に首を突っ込み、豪快に寝ているエースさん。
いきなりごつん、という音がしたかと思えば、エースさんがこの状態になっていて。
『エースさんどうしました!?大丈夫ですか!?サッチさん、エースさんが!』
慌ててサッチさんに助けを求めれば、慣れたように『あー大丈夫。いつものことだから』
と返って来た。
「いつもこうなんだよコイツ。食ってよーが話してよーが突然寝ちまう。で、突然起きる」
「・・・・・・・・・・・・・・すごいですね」
「ちなみに美味く作る秘訣は愛情ってもんよ」
へへん、と得意気に話すサッチさんは可愛い。
隣で寝てるエースさんの横顔も。
「そういえばさっきエースさんがどなたか探してましたね」
「ああ、マルコ?」
マルコさん。
どんな人なんだろう。
「パイナップル」
「え、」
突然エースさんの声がして、見てみれば何事もなかったかのように起きて続きを食べ始めた。
「・・・・・・・・・パイナップルが食べたいんですか?」
いきなりのエースさんの謎の発言にそう解釈してみたんだけど、
「ぶはははっ!!!違ェ!」
「馬鹿エース、お前今のマルコに聞かれてみろ!だはっ、だははははっ!!」
2人して笑い出したとこを見ると違っていたらしい。
「え、え、え?」
「ま、見りゃわかるって」
困惑する私にエースさんが涙目になって笑いながら言う。
・・・・・・・・・・何が?
とそこへ、
「おいサッチ居るかい」
誰か入ってきた。
「お、マルコ!ちょうどいいとこに!」
サッチさんがマルコ、と呼んだ。
・・・・・・・・・この人がマルコさん、と一目見てさっきの2人の様子に納得がいった。
「な、アコ。これでわかっただろ?」
「・・・・・・・・・・・はい、納得しました」
楽しそうなエースさんに苦笑しながら頷いた。
パイナップル。
まさに彼はその呼び名がふさわしいかもしれない。
失礼だとは思うけど、だって頭パイナップルなんだもの。
「何だいこの女は」
じろ、と軽く睨まれた。
うわ、この人怖いかも。
「あ、あのっ!私実は迷子でして!」
「・・・・・・・・・迷子?」
「まあ詳しい話はエースから聞いてくれ。腹減ってんだろ?今何か作ってきてやるよ」
何言ってんだこいつ、というような目をしたマルコさんにサッチさんがそう言って立ち上がった。
そしてエースさんが、
「飯くれたんだ」
と説明する。
・・・・・・・・・・エースさん、それ説明になってません。
「説明になってねえよい」
案の定マルコさんからも言われてる。
「アコは俺に飯をくれたいい奴で、ニホンってとこから来たんだってよ」
さっきよりはマシだけどマルコさんの眉間の皺は増える一方だ。
「えと、私日本のコンビニから出たら突然ここに居まして。そこでエースさんとお会いして」
「・・・・・・・・・・ニホン?コンビニ?」
少しばかり期待をしてみたけど、やっぱり駄目だったらしい。
この反応じゃマルコさんにも日本はわからないんだろう。
「マルコなら何かわかるんじゃねェかと思ったんだ」
「さあな。聞いたことねえよい。何処の島だい」
「・・・・・・・・・・・・・よい?」
さっきから何か変な語尾が聞こえてる気がして首を傾げると、さっきの数倍は怖い顔で睨まれた。
「・・・・・・・ごほ。日本は確かに島国ですけど、グランドラインなんて私知りません」
「・・・・・・・・・・・また面倒なもん持って来やがったねいエース」
「でもすっげェいい奴なんだぜアコは。つーかやっぱマルコでもわかんねェか?」
「グランドラインを知らないなんて奴を俺は知らねえよい」
と、そこへサッチさんがご飯を運んできた。
「まあグランドラインだからなあ。何が起こっても不思議じゃねえけど」
「それを何で俺のとこに持ち込むんだお前らは」
至極迷惑そうなマルコさんに疼く罪悪感。
そっか、私の居場所はここにはない。
「あの、すみませんでした。ご迷惑、おかけしました。私、違うとこ行ってみます」
「違うとこって、何処行くつもりだよアコ」
「エースさんも、有難う御座いました。お弁当のことは気にしないで下さい」
「マルコのことなんて気にすることねえって、アコちゃん」
「サッチさん、とても美味しいご飯ご馳走様でした」
「おい、アコ!」
心配してくれるエースさんとサッチさんに頭を下げて、私は食堂を出た。
考えてみれば、
ただお弁当をあげただけの、
見ず知らずのこんな何も知らない私に優しくしてくれた。
美味しいご飯を食べさせてくれた。
それだけで、十分。
あとは1人で何とかしなきゃ。
大丈夫。
東京でだって1人暮らし出来てたんだし。
きっと、大丈夫。
+疑問ばかりが 終+