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ずらりと並べられたコンビニ弁当。
ああ、今日は物凄く久し振りのお弁当。
何を食べようか、とごくりと喉が鳴る。
ついでにお腹も。
東京に来てからの貧乏生活。
食べ物がこんなに大事なんて思わなかった。
1人暮らしはたいしたことないんだけど。
・・・・・・・・・・・・何せお金がない。
レストランで週4日バイト中なので、その時のまかないだけが頼りだ。
もやしとごましおは偉大。
「・・・・・・・・・・・・・ハンバーグ。いや、オムライスも捨てがたい」
ああ、でもパスタもいい!
よし、ハンバーグにしよう。
心を決めてハンバーグ弁当を買った。
久し振りのコンビニ弁当ー!!
楽しみ!
ウキウキでコンビニを出ると、
「・・・・・・・・・あれ」
おかしい。
コンビニの前の風景が変わってる。
・・・・・・・路地裏?
「おいアンタ!かくまってくれ!」
「はい!?」
いきなり私の前に現れた男の人は、さっと後ろに逃げるように隠れた。
目の前では、
「追え!!何処行きやがった!」
「ちくしょう絶対許さねえ!」
などと必死に誰かを追いかける人々の姿。
そしてその人々が去ったのを見届けると、
「行ったか?」
「・・・・・・・・もう大丈夫みたいですよ」
振り向いてそう伝えて、私は非常に驚いた。
さっきはよく見なかったけど、その男の人の姿は、上半身裸。
テンガロンにネックレス、ハーフパンツにブーツ。
・・・・・・・・・・・・変態?
あ、だから追われてたのか。
猥褻物陳列罪とか。
かくまわなきゃ良かった、なんて思ってると、
「いやー助かった。悪かったなァ急に」
「・・・・・・・・・いえ、別に」
変態に関わることなかれ。
それでは、と再び歩き出そうとした私の耳に飛び込んだ、
ぐーぎゅるる。
「・・・・・・・・・・・お腹すいてるんですか?」
思わず聞いてみれば物凄い勢いで頷いた。
「さっきの店で前に食い逃げしたんだよ」
「食い逃げ・・・・」
変態だから終われてたんじゃなかったのか。
「で、今日も行こうとしたら顔バレてて見つかっちまってさ」
「食い逃げは駄目ですよ」
「だから今日はまだ何も食ってねェんだ」
と、力なく笑う姿。
・・・・・・・ちら、と右手に持ったハンバーグ弁当を見た。
「・・・・・・・・・・食べますか?」
そう聞けば、
「いいのか!?」
即答。
「どうぞ」
せっかくのお弁当だけど、
私は今日朝御飯も食べれたし。
家に帰ればパンの耳くらいは残ってたはず。
「頂きます!・・・・・・・・美味ェ!」
物凄い勢いで食べ始めた男の人をまじまじと観察する。
・・・・・・・・・・すごい筋肉。
プロレスラーとかなのかな。
まだ若いよね。
私と同じくらい?
「ご馳走様でした」
「早っ」
ぺこりと頭を下げて一礼した男の人。
意外と礼儀正しい。
・・・・・・・・いい人、なのかも。
「俺はエース。よろしく」
エース・・・・・日本人に見えるけど外国の人なのか。
「あ、私はアコです。よろしく」
「飯の礼に家まで送ってやるよ。この辺あんま治安良くねェしな」
え、そうだっけ。
そんな風に思ったことないけど。
と、辺りを見回して、ずき、と胸がざわめいた。
「・・・・・・・・・・・・・あれ」
「ん?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ここ何処ですか?」
「何だ、迷子か?」
さっき出てきたはずのコンビニすらない。
というか、まったく知らない場所。
迷子?そんな次元じゃない。
「ここは新世界の春島で、」
エースさんが訳のわからないことを言い出した。
「ちょっと待ってください。新世界?春島?何ですかそれ」
「何ってグランドラインだろ」
「グランド・・・・・ライン?」
島?
確かに日本は島国だけどそんな名前じゃない。
「ここは日本、じゃないです、よね」
ほんの少しの希望をこめて聞いてみるけど、
「ニホン?」
エースさんはわからないと首を捻る。
・・・・・・・・・やっぱりここは日本じゃない。
何で!?
日本語通じてるのに!?
「とりあえず困ってるんだろ?俺と一緒に来いよ。モビーにはそういうのに詳しい奴もいるし」
「モビー?」
「俺達の船だ」
「船・・・・・旅人さんですか?」
私はがこの世界で初めて知ったこと。
「いや、海賊だ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・海賊?」
この世界には、海賊が当たり前のように存在するということ。
「行こうぜ!」
「え、え、えええええええええええええええ」
コンビニに戻りたい!!!
+変態さんと私 終+