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最近、何だかエース君とすれ違っている気がする。
ここ1ヶ月、バイト先でしかマトモに会えてない。
・・・・・・・・・・・・原因はたぶん、
ルフィ君の食欲。
エース君は恐らく食べ盛りのルフィ君の為に必死で働いてるんだと思う。
最近は朝から夜までだったり、
連勤だったり。
ほとんど休んでないようにも思う。
会った時に声をかけてみても、
力なく笑ってくれるだけだし。
・・・・・・・・・・メールもほとんどしてない。
「あんた達喧嘩でもしたの?」
「そういうんじゃないから大丈夫・・・だと思う」
心配してくれるナミさんに苦笑して、
改めて大丈夫、と自分に言い聞かせた。
挨拶は普通にするし、前にメールくれた時も普通だったし。
だからたぶん、ルフィ君の為に頑張ってるだけなんだと思う。
・・・・・・・・ちょっとルフィ君に妬けるけど。
「ならいいけど。それよりアコ、今日外レジだったけど大丈夫?」
「わぁ、ついに来ましたか!」
うちの店には外にお花売り場がある。
花だけでなく、ブロックや砂も。
それらの商品をお会計するのが外レジの仕事だ。
「しかも1人」
「1人!?最初から!?」
外レジは小さい小屋に1台しかない為、春とかの繁忙期以外は1人らしい。
・・・・・・でも、初めての外レジで1人っていうのは。
「やることはたいして変わんないから大丈夫よ。力仕事は男性従業員呼べばいいし。
あとは変態に気をつけてね」
「変態・・・・」
「気に入らなかったからってボコボコにしちゃ駄目よ?」
「そっち!?」
ニヤニヤと楽しそうなナミさんに、思い出すのは少し前の、私を『天使発言』した男のこと。
・・・・・・・叩いたかもしれないけど殴ってはないし。
「私も前にあったのよ、帰り道変態につけられたこと」
「え!?」
ナミさんの衝撃発言に驚けば、ナミさんは至って普通に笑う。
「ま、そん時は店長に相談して捕まえてもらって、謝罪金がっぽり頂いたんだけど?」
「・・・・・・・ナミさん強い」
そういえば店長が前例がある、って言ってた。
ナミさんのことだったのか・・・・!
「ま、何かあったら助けてあげるわよ、ってこと」
「・・・・・・・・有難うナミさん、私頑張れそう」
ナミさんの優しさに背中を押されて、
私は1人外のレジ小屋へと向かった。
外レジは初めてとはいえ、お花は中でも会計出来るし、今までに何回か打ったことがあるので意外と大丈夫そう。
本当は園芸さんのお手伝いもしなければなんだけど、
今日は私が初めての外レジということで免除してくれるらしいので助かった。
「有難う御座いましたー」
お客様を見送って、軽くため息を吐いた。
・・・・・・今まで初めての時は全部エース君が居てくれた。
サッカーの時も、
レジの時も。
頼っちゃ駄目、と思うけど。
・・・・側に居てくれたら、と思う気持ちは止められない。
「すみませーん」
「あ、はいいらっしゃいませ」
「ブロック10個とー砂10個と川砂10個ね」
「・・・・・・・・・・・・・・はい?」
思わずぴしりと固まった。
作業服を着たその男性は私の聞き返しにイラッとしたようにもう1度同じ言葉を繰り返した。
「ブロック10個砂10個に川砂10個」
・・・・・・・・すみません、
お客さん相手だけど言っていいですか。
自分で持ってきてください!!
ブロックも砂もすんごい重いんですけど!
そりゃこれも仕事だけど・・・・!
と、そこでナミさんの言葉を思い出す。
『力仕事は男性従業員呼べばいいし』
よし、
「少々お待ち下さい・・・っ」
一呼吸置いて、
「業務連絡致します、男性従業員、外レジまでお願いします」
そう呼んで1分。
・・・・・・・・・誰も来てくれない。
どうしようもう自分でやるしか・・・!
そう思ってブロックの前まで台車を動かした時、
「悪ィアコ遅くなった!」
息を切らして走ってきてくれたエース君が目の前に、居た。
「あ・・・えっと、ブロック10個と砂10個これに積んでもらってもいいですか?」
「了解」
それからエース君はテキパキと言われた物を積んでくれて、
私がお会計。
「バーコード、わかるか?」
「ファイルだよね?大丈夫」
ファイルの中からブロックと砂のバーコードを探して、打ち込んだ。
そして、
「有難う御座いましたっ」
お見送り。
完全にお客さんが居なくなったのを見計らって、
「エース君・・・!!有難うすっごく助かった!!」
エース君に心からのお礼。
「ホントは放送あってからすぐ行きたかったんだけど、接客中だったんだ。ごめんな遅くなって」
「そんなことない!私1人だったらすごく大変だったし・・・!嬉しかった・・・!」
「大袈裟だって。言ったろ?いつでも呼べ、って」
私を助けてくれるのは、やっぱりいつもエース君だ。
嬉しくて泣きそう。
でもエース君の顔を見て気持ちが変わった。
「・・・・エース君大丈夫?何か疲れてる」
「ああ、最近シフト増やしてもらってんだ」
「無理、しないでね」
顔色も良くないし、疲れた顔してる。
「大丈夫だ、あとちょっとだから」
「・・・・あとちょっと?」
って何が?
食費が?
「いや、何でもねェ。それよりまた何かあったらすぐ呼べよ?アコ今日外初めてだろ?」
「・・・・・・・うん、ありがと」
やっぱり何処かすれ違ってる気もする。
それでも私はただ、
「頑張ってね」
としか言えなくて。
私自身その日は初めての外レジで精一杯だった。
+あとちょっと 終+