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「そりゃお前が悪い」
「・・・・・わァってるよ」
駅前の居酒屋で、サッチを前に、俺はため息を吐いた。
俺が悪い。
そんなことはわかってる。
アコが俺に何も言わずにルフィに会っていた。
それだけで俺はアコを疑った。
そして、傷つけた。
信じようと決めたばっかだったのに。
「にしてもアコちゃんいい子だな。俺なら別れ話になってもおかしくないぜ?」
「・・・・・・・・・・嘘だろ?」
「よく考えてみろよエース。アコちゃんはエースのことを心配してたんだぜ?
なのに浮気を疑っちゃうってーのはどうよ」
「・・・・・・・・・・・・・俺フラれんのかな」
・・・・・・・・・最悪だ。
考えたくもねェ。
「まあ、元々初恋は叶わないって言うしなあ」
「・・・・・・・・・・そうなのか?」
「それにライバル居るんだろ?社員の男」
「でもそいつは彼女居るって、アコが」
「甘いよエース君。彼女居たって魅力ある男に女は惚れちまうもんだぜ?」
「・・・・・・・・・アコは大丈夫だ」
「相手は社員だろ?年上でカッコ良くて、金もある。
それに男だって彼女居ても可愛い女の子が身近に居たら気も変わるってもんだ」
得意げに話すサッチの顔を、これほど殴ってやりたいと思った事はない。
「そんなことわかんねェだろ」
「男の気持ちなんて変わるもんだろ?
付き合ってるだけならいくらでも付け入る隙なんてあるぜ」
・・・・・・・・・頭が真っ白になった。
初恋は叶わない?
付き合ってるだけ?
隙?
・・・・・・・・・アコが、
俺じゃない他の誰かと、なんて。
考えられねェ。
「エース君、またぼーっとしてる」
「え!?そ、そっか?」
今日は2つ隣の駅に隣接しているショッピングモールでデート。
でもやっぱりエース君は時々ぼーっとしてる。
この間とはちょっと違う感じもするけど。
「また悩み事?」
「悩みって程でもねェんだ、ただルフィが食べ盛りなのが、ちょっとな・・・・」
・・・・・・・・さすがにその悩みは私じゃ解決出来ないな。
「・・・・今度またご飯持って行くね?」
「いや、それは悪ィから」
「ううん、持ってく。エース君が食べたい物、持ってく」
私にはこれくらいしか出来ないけど。
「・・・・・・・ありがとな、アコ」
優しく頭を撫でてくれるエース君は、
やっぱりこの間と違ってふわりと笑ってくれた。
それが嬉しくて、握る手に力をこめた。
すると、ぎゅ、っと握り返してくれる。
それだけで、あったかい気持ちになった。
「エース君と手繋いでると、あったかい」
「・・・・・・・・・アコ、お前それすげェ口説き文句」
何気なく出た言葉だったけど、
エース君は照れたようだった。
ていうか、え、
「くどっ!?・・・・いいもん口説き文句で」
「ははっいいのかよ」
恥ずかしいけど、ここはもう開き直ることにする。
「だって好きだし。手繋ぐのも頭撫でられるのも、抱きしめられるのもエース君だから幸せだから」
「・・・・・・・・・・・・・・・ッ」
エース君の顔が赤くなったのを見て、
ああ可愛いなあと思いつつ、
「大好き、エース」
初めての、呼び捨て。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・アコ」
「ん?」
「愛してる」
「・・・・・・・・・・・・・はう」
やっぱりエース君の方が何枚も上手だった。
たぶん私もエース君と同じくらい顔が赤いだろうな、と思う。
「なぁ、アコの初恋っていつ?」
「・・・・はい!?」
初恋!?
エース君の口からそんな言葉が出るとは思わなかった。
「・・・・私は、ちっちゃい時」
「・・・・・・誰?」
ちら、と私を見るエース君の視線が痛い。
「・・・強くてカッコ良くて、優しいんだけどたまに意地悪な人」
「今でもそいつのこと好きなのか?」
「好きだよ?だから今付き合ってるんだも・・・・あ」
バレないようにしようと思ってたのに、言ってはいけないことを言ってしまったかもしれない。
でも1度口から出た言葉は戻せない訳で。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・俺?」
驚いたように目を丸くしたエース君に、私はただ静かに頷いた。
「エース君は?」
「・・・俺も今付き合ってる奴」
さっきから熱い顔はどうやら暫く冷めそうにない。
・・・・・・・・・・恥ずかしいけど、嬉しい。
「エース君は今まで何人の人と付き合ってた?」
「ちょっと待て。居る前提か?」
「だってモテるでしょ?」
「モテ・・・なくはねェけど」
「・・・・居たんでしょ?女の子と歩いてるの何回か見たことあるよ?」
あれは中学の時と高校の時。
駅付近で女の子が嬉しそうにエース君を隣を歩いていたのを見たことがある。
「確かに告られて何人かとは付き合った・・・っつーか、最長1日でいつも俺がフラれてたけど」
最長1日・・・って、
「エース君何したの・・・・!?」
「ルフィとアコの話をしてただけ」
・・・・・・・・そりゃフラれるよ。
好きな男の子と両思いになれたと思ってたのに、弟と他の女の子の話ばっかりしてれば。
「アコは?付き合ってた奴、いんのか?」
「居ないよ。勉強と友達づきあいに必死でそれどこじゃなかったもん。バイトも今のとこが初めてだし」
「よし」
・・・・満足げに微笑むエース君、可愛い。
「・・・俺、アコのことは離す気ねェからな」
エース君は、何処か不安そうな顔で、私の目を覗きこんでそんなことを言う。
「私も離れる気はないけどね?」
「・・・・・・・・・・・・なぁ、アコ。もっかい、呼んで」
「・・・・エース」
そう呼べば、エース君は本当に嬉しそうに笑ってくれたから。
だからエース君がこの時、
ルフィ君の食欲以外で悩んでるなんて私にはわからなかった。
+2人の恋愛事情 終+