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「そうえいば家電の社員さん異動なんだって」
「へェ。新しい奴どんなだろうな」
「いい人だといいなあ」
もう何回目かになるエース君とのデート。
手を繋いで歩くのも、
抱きしめられるのも、
・・・・・・家の前で必ず最後にキス、するのも。
まだ慣れないけど。
「送ってくれてありがとね、エース君。次は・・・明後日出勤?」
「ああ、明後日だな」
家に帰らなきゃいけないのに、
もう家の前なのにエース君とずっと居たくて、なかなか動けないでいる。
「あれ?エース?」
すると家の前を通りかかった男の人が不意にエース君を見て声を掛けてきた。
「・・・・サッチ?」
エース君がサッチ、と呼んだその男の人はリーゼント。
・・・・・・・・・・・すっごい覚えやすい人だなあ。
「エースが女の子連れてる!?」
「あ、あの、初めまして」
「初めまして!俺サッチ。よろしく!」
「アコ、俺の知り合いのサッチ。あんま近寄るなよ」
戸惑っていると、エース君がぶすっとした顔でそんなことを言う。
何故!?
「ひでェなあエース。散々相談に乗ってやっただろ?」
「・・・・・・・うるせェ」
「ま、コイツこんなんだけど仲良くしてやってなアコちゃん」
「あ、はいっ」
サッチさんは私達よりも恐らく年上で。
・・・・・・・どんな関係なんだろう、と思ったけど、何となく聞けなかった。
「この店ではまだわからないことばかりですが、よろしくお願いします」
ぱちぱち、と拍手。
異動になった家電の社員さんの代わりに別の店から来たという社員さんはまだ若い男の人。
「結構イケメンじゃない?社員ならお金も持ってそうだし」
ナミさんは早速気に入った様子。
確かにカッコイイかもしれないけど。
「・・・・・・エース君の方がカッコイイよ?」
「・・・・・・・・・ハイハイ」
「今日は休みみたいだけど、新しい社員さんのことナミさんが気に入ってて、
お金次第でアプローチしてみようかしらって言ってた」
「・・・・・・・・あいつ」
次の日、たまたま出勤前に会ったエース君に昨日あったことを話せば、苦笑していた。
ナミさん、いつか変な人に騙されなきゃいいけど。
「で?」
「・・・で、って?」
「アコもそいつのこと気になったのか」
「・・・・・・・・・・・エース君の方がカッコイイよって言ってナミさんに呆れられた」
恥ずかしかったけど正直に話せば、何処か照れたような、
「そっか」
という笑顔が返ってきて。
・・・・・・・・私が照れた。
そして、いつも通り仕事に。
今日は雨だから暇だなあなんて台の上を拭き掃除していたら、
「アコさん悪いんだけど駐車場のカート回収手伝ってくれない?」
「あ、はい」
お店の3階と4階は駐車場になっていて、車で来店するお客さんはそこまでカートを使っていいことになっている。
そこに溜まったカートは普段は部門の人が回収するんだけど、暇なときはたまにレジもお手伝いする。
「4階のカート下ろしてくれればいいから」
「はぁい」
4階まで行って、カート置き場のカートを集めて、エレベーターに乗る。
今日は雨だから、車で来てる人の方が多くて結構大変。
「ん、っしょ、っと」
全部を乗せてエレベーターに乗り込んで、1階のボタンを押した。
けれどエレベーターは3階で止まった。
がーっと開いた扉の先に居たのは、
「・・・あれ、エース君」
「##NAME2##?」
「今日カート回収エース君が当番なんだ?私はお手伝いなんだけど」
「そっか、サンキュ」
3階の方がカートは少なかったようで、何とか1台のエレベーターに乗せた。
閉まるドア。
・・・・・・・・・・2人きりの空間。
大量のカートのせいで距離も、自然と近くなる。
・・・・近い。
近い近い!密着度がっ!!
なっ何か緊張する。
えっと、何か話さなければ。
「アコ」
思っていたら、エース君の方から話しかけてくれた。
「ん?」
顔を向ければエース君の顔のどアップで。
ちゅ、
っと近づいてすぐさま離れていった唇。
ほんの一瞬だったのに、触れた唇が熱い。
「充電、しねェとな」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はい!?」
にし、と笑ったエース君に何が起こったのか理解出来ずにいる私に、
『1階です。ドアが開きます』
エレベーターの案内音声が響いて。
動けずに居る私の分までカートを出して片付けてくれて、
「後半も頑張ろうな、アコ」
笑顔のエース君が颯爽と去っていった。
+充電完了 終+