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『駅前のファーストフード店わかるでしょ?急いで来ること』
ナミから来たメールを見たのは電車の中。
急いで・・・って俺今電車だっつーの。
『今電車。何かあったのか?』
適当にそう返せば、1分もたたずに返って来たメールには、
『アコが1人で待ってるの。いいから早く来い』
・・・・・嘘だろ?
アコが?1人で?・・・何で。
ナミのやつアコに変なこと言ったんじゃねェだろうな。
・・・・こないだアコが俺のことをタラシ、とか言ってたって聞いたしな。
駅に着いて急いで店の前まで行けば、ナミが仁王立ちで立っていた。
「遅い!ったく世話が焼けるんだから。さっさと行きなさい。私は帰るから」
「アコ・・・居るのか?中に?」
「いいから行けっての!」
ナミの怒声に背中を押されて店内に入ると、ぽつんと俯いたアコを見つけた。
ほんとに・・・・居た。
「・・・・え、エース、君」
俺に気づいて顔をあげたアコは驚いていて、
「・・・・・・ナミが、急いでここに来いって、メールが」
「そ・・・・・そう、なん、だ。あ、でもナミさん今居なくて」
「さっきそこで会った」
「え、」
「アコが居るから会って来い、って。ナミはもう帰った」
どういうことだかまったくわからねェ。
でも今はそんなことどうでも良かった。
「あ、え、えっと」
「・・・本当にアコが居るとは、思わなかった」
もう会ってくれないんじゃないかと、思ったから。
「と・・・とりあえず、座る?」
「いいのか?」
「ど、どぞ!」
言われるがまま何処か挙動不審なアコの前に座った。
「え・・・・エース君」
「ん?」
「・・・・・・・・・・・・・・・何か飲む?」
「いや、いい」
告白の返事とか、と一瞬期待したがアコの口からは出て来る様子はない。
「やっぱ駄目だよ、私じゃ」
「え?」
アコの口から聞こえた駄目、の言葉。
これは・・・・俺の気持ちに対する返事かと頭が真っ白になった。
でも、
「エース君に好きとも言えない私じゃ、駄目」
「・・・・アコ?」
「ん?」
「今・・・・・・好き、って」
無意識だったのか、アコは異常なほど驚いた。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・え!?」
聞き間違いとかじゃ、ねェよな?
「・・・いいのか?アコ」
「え、ちょ、あのっ、えええ!?待ってこんな告白になるつもりは!もっとちゃんと告白、するつもり、で」
確認の意味で聞けば、こんな嬉しい言葉が出てきた。
慌てるアコの頭にぽん、と手を置いた。
そうするとアコが落ち着くことを俺は知っているから。
「聞きてェ。アコの、ちゃんとした告白」
そして紡がれた甘い言葉。
「私も、エース君が好き・・・・です」
「おはようございま、す」
「お・・おはよ」
従業員用の出入り口で、エース君とばったり会ってしまった。
先日駅前の店で私も好き、と告白してからいわゆる恋人同士になった私達。
な・・・・何か恥ずかしい!
「はいはい、真ん中通るわよお2人さん」
「あ・・・ナミさん、おはよう」
後ろからナミさんが来て、
「仕事前だからっていちゃつかないでくれない?」
「あ!ナミさんこれ、プレゼントっ」
これ以上変なことを言われる前に、と私は手に持っていた袋をナミさんに差し出した。
「あら、これ駅前のお店の」
「うん、あそこの焼き菓子セットだけど。この間のお礼」
「さっすがアコ!それに比べてどっかの誰かさんは何もないのかしらねー?」
ちら、とエース君を見やるナミさん。
「・・・今度ジュース奢ってやるよ」
「ケチくさいわね。アコこんなのやめといたら?」
ちょ、ナミさん喧嘩売ってる!
「そういえばこのお店ほんとはチーズケーキが美味しいので有名なんだよね!今度一緒に買いに行かない!?」
2人が喧嘩にならないように何とかせねば!
「そうね、2人で行きましょ。2人で」
「じゃっじゃあエース君も頑張ってね」
「ん、ああ。・・・・アコ」
「ん?」
「何かあったらすぐ呼べよ?」
「・・・・ん、ありがと」
「はいそこいちゃつかない!行くわよアコ」
「はいっ」
優しいエース君の笑顔と言葉に、
ああ幸せだなあなんて。
思ったその日。
「アコさん、ちょっといい?」
「・・・・・?」
私は自分の甘さを思い知ることになる。
+翌日の出来事 終+