もう1つの家族
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「俺も行く」
「や、駄目だって」
「行く」
「駄目です」
「何でだよ!?」
あ、怒った。
朝食を食べ終わった後、父は会社へ。
そして私は当然学校へ行かなければならない訳で。
『何処行くんだよ?アコ』
『え、学校』
『ガッコー?』
『んー勉強するところ。土日以外毎日行かなきゃいけないんだよ』
『・・・じゃあ俺も行く』
『え、いや無理。駄目だって』
そして冒頭の台詞へと繋がる訳だ。
父は遅刻するから、と先に出掛けた。
私もあんまり時間ないんだけどな。
母はといえば、苦笑いして私達の成り行きを見ている。
助けてようお母さん。
「つーかお前スカート短すぎ」
「え、普通だよ?」
いつもは自分が上半身裸なくせに。
「普通じゃねえ。もっと長くしろよ。でなきゃ行かせねえからな」
機嫌悪いよエース。
そりゃ私だって行きたくない。
だって私が学校に行ってる間にエースが
元の世界に帰っちゃったらって考えたら。
怖い。
こっちに来た時だっていつの間にか来てたんだもん、あり得なくない。
・・・・そんなの、嫌だ。
せめてさよならくらいは言いたい。
でもだからって学校に行かないでいい理由にはならないもので。
「とにかく!なるべく早く帰ってくるから!心配しないで、ね?」
「・・・わかったよ」
「ん。お母さん!エースよろしくね」
「はいはい、行ってらっしゃい」
後ろで見守っていた母に言って、私は走るように玄関を後にした。
・・・・・だから、
エースがどんな顔してたかなんて、
わかんなかった。
その日は学校が終わるのがものすごく
長く感じた。
授業も全然頭に入らなくて、
ノートにも落書きばっかりしてた。
先生にはバレなかったけど、
友達には「上の空だね」と言われた。
学校が終わってすぐ帰ろうとすると、
友達に声をかけられた。
「アコー今日駅前のとこでクレープ食べてかない?」
「ごめん!家に早く帰らなきゃいけなくて!」
言うが早いか、私は早々に教室を出た。
早く帰るって約束したから。
・・・・・ん、何か校門のあたりが妙に騒がしい気がする。
居るのは主に女子。
「・・・・・んー?」
目を凝らしながら近づく、と。
「え、嘘」
人ごみを掻き分けて行くと、そこにいたのは。
「お、アコ」
「え、エース・・・」
名前を呼び合ったのはまずかった。
そこから私は主に女子に質問攻めに。
「知り合いなの!?紹介してよ!つかエースっていうの?」
「えーなんかワンピのエースみたい」
「てかイケメンじゃん!何、彼氏なの?」
「いくつ?大学生?」
こっちに来たのがエースで良かった、と今思った。
これがマルコだったら金髪にパイナップル頭のおっさんなんて
絶対誤魔化せないし。
サッチはまだ知名度低いしいいとしても←
シャンクスなんて赤い髪とか無理だし。
それに今はエースも服を着てくれてるし、帽子も目深にかぶってくれてる。
「や、あ、えーと、サッカー部のエースだからそう呼んでるだけで。えーと」
私はとにかくバレないように必死で。
あれ、でも大学に部活ってあんのか、
とか。
ひたすらパニックで。
そしたらエースは何を考えたのか、
突然私の肩をぐっと掴んで自分のほうへ引き寄せた。
女子の黄色い悲鳴があがる。
「え」
「・・・お前ェら、悪ィけどどいてくれるか」
低い声でそうエースが呟けば、それだけで静かになり、
道は開かれた。
「ぼけっとしてんなよアコ、行くぞ」
言って力強く引かれる。
私はされるがまま。
ようやく皆が居なくなったとこで、私は我に返る。
肩に回された手はそのままで。
「エース何で居るの?待っててって言ったよね?」
「俺ァ迎えに来ただけだ。悪いのかよ」
うっわぁ相変わらず機嫌悪いんですけど。
「悪いわけじゃなくて、嬉しいけど、でも私はエースが心配で」
「俺はお前が心配なんだよ」
「でもそんなコト言ったら毎日のように来なきゃいけなくなるよ?」
「別にいいだろ」
「良くないでしょ?」
「アコは・・・嫌なのかよ」
エースが迎えに来てくれるのが嫌なんじゃない。
毎日のように女の子に囲まれるエースを見たくないだけだ。
「そういうんじゃなくて・・・エース?」
「もういい」
エースは手を離し、足早に先に行ってしまった。
・・・・・そんなこと、言ったって。
仕方ないじゃん。
ばれたら大変なことになるんだよ。
ねえ、もう。
私が選んだ服似合ってた、って。
カッコ良かった、って。
言えなかったじゃん、馬鹿。
+そんなこと言われても 終+