空と海、そして君
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「オヤジんとこに行こうとしたら途中でサッチに会ったから話してたんだ」
帰ってきたエースに昨日の夜何処に居たのか聞いてみたら、あっさりとした答えが返ってきて。
・・・・少しだけ拍子抜け、というか。
「サッチと話してたら結構時間たってたからオヤジんとこには行かなかったんだけどよ」
「・・・そう、なんだ」
「何かあったか?」
「や、何かあった訳じゃないんだけど。ただ、気になっただけで」
関係ねェだろ、とか言われる覚悟もしてたんだけど。
でもエースの目は嘘をついてるようにも見えないし、事実なんだと思う。
・・・良かった。
女の人と会ってたりしたのかと思った。
私は軽く安堵のため息を吐き、ベッドに座った。
「そういやナース達は何処行ったんだ?」
エースは立ったままきょろきょろと部屋を見回す。
「お仕事だって。白ひげさんのとこ」
「そっか、もうそんな時間か」
仕事もあるし、2人きりの方がいいでしょ?
あとで結果教えてね、そう言ってミリア達は出て行ってしまったのだ。
「そういえばエースは仕事とかないの?書類とか」
「あー・・・ねえ訳じゃねェけど、アコ」
「・・・何?」
「俺が真面目に仕事すると思うか?」
して下さい。
爽やかに微笑みながら言い切ったエースに思わずツッコミを入れるところだった。
「まあでもそうだね、確かに真面目に仕事するエースなんて想像出来ない」
「だろ?」
・・・・会話終了。
何か、気まずい。
「な、何かマルコさんはいつも書類とにらめっこしてそうだよね!」
「・・・・知らねェ」
「・・・・そ、そっか」
ちーん。
頑張れ私!
「・・・そ、そういえば今日はお風呂入れるかな?」
「風呂?ああ、そういや昨日は入ってねェもんな」
「うん、ほら私昨日海から来たし、髪の毛が潮臭いっていうか」
「そうかァ?」
首を傾げながらエースは私の方に歩いてきて、す、っと。
髪の毛1房を手に取り、
くんくん、と匂いを嗅いだ。
「・・・・・っ!?」
「別にわかんねェけどな?」
きょっ距離が近い!
ていうか匂い・・・っ!!
「気になんなら夜にでもナース達と入れよ。それとも俺と一緒に入るか?」
す、と手を離してさらりとセクハラ発言。
「入りませんッ!」
今の会話で思い出したけど、
初めてうちの家に来た時にもエースは同じこと言ったんだよね。
・・・一緒にお風呂、なんて。
そんなことを考えていたら、
「ははっ、あの時と同じだな、アコ。顔真っ赤にして、入りません、ってよ」
エースも同じことを考えてたようだ。
そして私の隣にぽん、と座った。
「私も思った。懐かしいね、何か」
「・・・・なあ、アコ。もし俺が、」
もし、俺が?
ああ、その台詞何処かで聞いた気がする。
そんなことを考えながらエースの次の言葉を待っていたら、ドアがバン、と勢い良く開いた。
「おいエース!こないだの報告書とっとと出せよい!」
「・・・・マルコ、お前もか」
エースはマルコさんを軽く睨みつけて、呟く。
「・・・締め切り守らねぇお前が悪いんだよい」
書類とにらめっこして締め切り守る海賊ってのもどうかと思いますが。
「とっとと持って来いよい」
それだけ言って出て行ってしまったマルコさん。
エースが小さく舌打ちしたのが聞こえた。
「え・・・エース?」
「・・・・わり、アコ。ちょっと行ってくる」
「あ、うん。私のことは気にしないで。何ならなんか手伝うよ?」
「サンキュ。でもその言葉だけで十分だ」
言いながらエースは立ち上がり、歩き出す。
そしてドアを開け、私のほうを振り返って、
「いいかアコ、俺が戻るまでナース以外は誰が来てもドアを開けんなよ」
至極真面目な顔で言う。
「・・・マルコさんでも?」
「駄目だ」
「サッチさんでも?」
「駄目」
「・・・・白ひげさんは?」
ぴく、とエースの眉があがった。
そして少しの沈黙の後、
「オヤジなら、いい」
怖い顔でそれだけ。
「・・・了解」
「じゃあ、すぐ戻るから。・・・ごめんな、アコ」
ぱたん、と静かにドアが閉まった。
もし俺が。
あの後何を言おうとしたんだろう。
ごめんな、って。
何に対してのごめんなんだろう。
・・・白ひげさんとナース以外はドアを開けちゃいけないのか。
何だか少しだけ白雪姫のような状態に困惑しながら私は目を閉じた。
+気まずい空気、勘弁です 終+