空と海、そして君
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「エース隊長・・・何か雰囲気変わってない?」
エースが出て行ったのを見送って、ミリアが呟く。
「んー・・そう言われてみれば、少し優しくなった気もする」
「マルコ隊長のところに行く、って言ってたわよね。何かあったのしから」
「仕事のことじゃない?」
「・・・・エース隊長はそんなに仕事熱心じゃないわよ」
「え、そうなの?」
うん、でも確かに仕事熱心なエースって想像出来ない。
ミリアは顎に手をあてて何かを考え込んでいる。
「実はね、アコ。昨日エース隊長は船長のところに来てなかったみたいなの」
「え、」
白ひげさんのところに行く、って言ってたのに。
「私が船長のところへ様子を見に戻った時姿が見えなかったから聞いてみたら、来てないって」
「・・・後で聞いてみる」
「え、直接?」
驚くミリアに私はゆっくり頷いた。
「だってここで色んな想像しててもわかんないし。聞いて本当のこと答えてくれないかも、しれないけど」
「そうね・・・それがいいかもしれないわ」
たいしたことじゃないかもしれないけど、
思えばあの時からエースが優しくなった気もするし。
「にしてもアコ?せっかくのチャンスだったのに昨日は何もなかったの?」
「う、ごめん。でも疲れてたし・・・・」
「仕方ないわね。さっさと告白しちゃえばいいのに」
仕方ない、と言いながら笑ってくれるミリアは優しい。
美人で優しくてナースで。
「・・・エース、もしかしたらミリアのことが好きなのかも」
なんて思うのも当然だと思う。
でもミリアも、他のナースさん達も信じられない、という顔をした。
何で!?
「本気で言ってるの、アコ?」
「え、だってミリアは美人だし優しいし・・さっきもエースといい雰囲気だったなあって」
「褒めてくれるのは嬉しいけど。私は違うと思うわ。自信もって、アコ」
ミリアの言葉を同時に周りのナースさん達がうんうん、と頷いてくれる。
皆優しいなあ。
「何で気づかないのかしら・・・」
「ん?何?」
「・・・何でもないわ、それより昨日の話もっと聞かせて頂戴?」
ミリアがぽつりと何か呟いたけど、私には聞こえなかった。
「マルコ、今いいか?」
急いで食堂へ戻ると、マルコは同じ所で珈琲を啜っていた。
「・・・手短にすませろよい」
俺を見て怪訝な顔をすると、飲んでいた珈琲のカップを置いた。
「アコは渡さねェ、ってそれだけ言いに来たんだ」
「・・・渡さねェってお前、もうそういう関係になったんじゃねえのかい」
「・・・まだ、だけど」
「・・・なるほど」
マルコは少しだけ何かを考える素振りを見せた後、そう言ってため息を吐いた。
「何だよ、なるほど、って」
「手ェ繋いできたのは牽制って訳かい」
「・・・そんなんじゃねェ。ただ、俺がそうしたかっただけだ」
「そうしたかっただけ、ねい。まあ確かにあんなんじゃ牽制にはならねぇな」
「・・・マルコ」
もしかして、マルコも、アコのこと。
「んな顔で睨むな。俺ぁ別にどうも思っちゃいねえよい」
少しだけほっとした。
もしマルコもアコのことを思っていたら、俺はどうしていただろう。
「悪ぃ」
「そんな気になるならとっとと好きだっつって襲っちまえばいいだろい」
「全部やった」
ま、襲ったっても未遂に終わったんだけどな。
「・・・それで何で関係変わってねえんだよい」
「俺が聞きてェよ。とにかくアコが気づいてない限りどうにもできねえ」
「で、何で俺に宣戦布告だ?」
「・・・アコがマルコのこと好きな気がしたから」
「はァ?」
思いっきり顔を顰めるマルコ。
それからぼそりと、
「・・・何であれで気づかねぇんだよい、お前も」
「あ?何か言ったか?」
「何でもねえよい」
何か言ったみたいだったが、声が小さくて聞こえなかった。
「お、エース!あれ、アコちゃんは一緒じゃねえの?」
そこに入ってきたのはトレーにサンドウィッチを持ったサッチだった。
「・・・ああ、サッチの飯美味かったってよ」
「だろ?」
「じゃ、俺行くから」
「は!?おい、エース」
「ほっとけよい」
サッチが後ろで何か言ってたけど、気にせず足を進めた。
・・・・アコが待ってるから。
+何故気づかない 終+