空と海、そして君
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「マルコ、さん」
「・・・エースは居ねェのかい」
「あ、はい。白ひげさんの様子見に行くって」
・・・・相変わらず敵視されてるなあ私。
少しだけ肌がぴり、とする。
これが覇気なのかな。
「・・・そうかい」
「あ、はい」
・・・・・・・・・・・やばい。
私の密かな人見知りスキルが発動している。
「・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・」
気まずい!
どどどどうしよう!
そうだ!サッチさんの料理の話でも!
「お前ェ」
「はい!?」
いきなり話しかけられた!
これはこれでどうしよう!?
「オヤジから少し聞いた。エースを助けにきたってよい」
「・・・・あ、えと、白ひげさんにも申し上げたんですが、助けに、なんて偉いもんじゃないんです」
「あの時・・・お前ェさんが来る前まで、エースはティーチを追おうとしてたんだよい」
「あ、」
そうえいばエースも、私が来なければ今頃ティーチを追ってた、って言ってた。
「オヤジも俺達も止めた。でも駄目だった。・・・少なくともその点には感謝してんだい」
そう言って私を見つめるマルコさんの目は何処までも真っ直ぐで、
ああ、いいなあ。
なんて思った。
「エースは・・・私にとっても大切な家族、なので」
「家族ねい・・それだけじゃねえだろい」
「・・・・とおっしゃいますと」
「ここは力のないと自覚してる奴が来るには危険な場所だってことだよい」
ぎろ、と睨まれた。
でも本気ではないのもわかる。
だって私はマルコさんの優しさを本で知っているから。
「私はここに着ければ大丈夫だって思ってましたよ」
「・・・ここは海賊船だよい」
「まあそうなんですけど。でもエースが、自慢の家族だって話してくれてたから」
『マルコは怖ェけどいい奴だ』
マルコさんについてそう言われたことがある。
だから、何より大丈夫だと信じられた。
「・・・惚気は聞きたくねえよい」
はあ、と呆れたようなため息を吐くマルコさん。
「へ?」
「無自覚かい」
「や、たぶん自覚あります」
「・・・女じゃなかったらぶん殴ってるよい」
「きゃあ怖い」
「某読みじゃねェかい。・・・ったく」
えへへ、と笑うとマルコさんも笑ってくれた。
それがすごく嬉しくて。
本当に少しだけ仲良くなれた気がした。
「アコ悪ぃ、遅くなっ・・・マルコ?」
そこへ後ろから聞こえたエースの声。
「あ、エース。白ひげさんの様子どうだっ」
つかつかと歩いてきたエースは私の真横まで来て、
腰に手を回されてぐっと引き寄せられた。
「ええええエース!?」
密着度!
近い近い近い!
「・・・・悪ぃなマルコ。アコが世話んなったみてえで」
「まったくだよい。大事ならちゃんと見とけ」
「何話してたんだアコ」
「え、えっと、女じゃなかったらぶん殴ってたよい!って言われた」
頑張って口調も真似してみたけど、
2人とも全然笑ってくれなかった。
うぐう。
エースは眉だけをぴく、と動かした。
「で、何もされてねェんだな、アコ」
「あ、うん」
「こっちは聞きたくもねぇ惚気聞かされたんだ、それくらい言わせろい」
「惚気?」
「ちょ!マルコさんそれは言わなくても!」
「そっちだって告げ口したろい」
そんな私とマルコさんのやり取りをエースは不思議そうに見ている。
「・・・・よくわかんねェけど、アコに何かしたらマルコでも許さねェから」
「俺ぁ面倒は御免だよい」
「あの、エース?マルコさんのは多分冗談だと思うよ?優しい人だし」
「それはそれで問題なんだよ」
「は?」
何故。
「いいから行けよい」
「ん。行くかアコ」
「あ、うん。マルコさん、またお話聞かせて下さいねー!」
相変わらず仏頂面のマルコさんに手を振って、エースに引きずられた。
「・・・・いつの間に仲良くなったんだよマルコと」
私を引きずりながらエースは、私の目を見てくれない。
「ついさっき。エースが大事な家族って言ってましたって言った」
「げ。お前・・・恥ずかしいだろーが」
言いながら歩くエースの顔は少し嬉しそうな気がした。
+惚気話 終+