空と海、そして君
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「ね、ミリアのとこ行ってきてもいい?」
「あ?何でだよ」
マルコに服を褒められてご機嫌なアコは、今度はミリアに会いに行くと言い出した。
何だよ、そんなに俺と居るのが嫌なのか。
「リュックに服入ってたこととか話したいし、これからお世話になるから改めて挨拶もしたいし」
「・・・わかった」
アコをナースの部屋まで連れて行って、俺は別れた。
「エース?どっか行くの?」
「サッチんとこ行ってくる。アコはここに居ろよ」
「あ、私も後でサッチさんに会いたいなー」
「後でいくらでも紹介してやるよ。ほら、挨拶すんだろ」
「うん、ありがとねエース!」
思わず舌打ちしそうになるのを押さえて、笑顔のアコに軽く手を振った。
人の気も知らねェで。
早足で厨房に向かうと、サッチは椅子に座りながら他のコックに指示をしていた。
まだ怪我が治りきっていない為だ。
「よお、エース!さっきは悪かったな」
俺を見つけると、サッチは手をあげて寄ってきた。
「・・・ほんとにな」
「え、何エース君怖い」
「別に何でもねェよ。それより今日宴な」
「言われなくてもそのつもりだぜ?なあ、あの子だろ?お前の言ってた別の世界の女の子」
「ああ」
「ちらっとしか見えなかったけど、可愛い子じゃねえか。うらやましいなあお前。これから毎日同じ部屋でいちゃいちゃすんだろ?」
にやにや話すサッチの言葉に、俺は固まった。
「・・・・・部屋?」
「あ?」
「考えてなかった、部屋」
「考えてなかったって、一緒の部屋でいいだろ?お前らそういう関係なんじゃねえの?」
「・・・・・・・・ああ、違う」
「え、じゃあお前さっきのは」
「・・・・・・・・・襲ってた」
そう言うと、サッチは大袈裟にため息を吐いた。
「俺は悪くねェ。可愛すぎるあいつが悪い」
「何だそれ、お前惚気んな!」
「どっか空いてる部屋ねェか?」
「んな急に言われてもなあ。一緒の部屋じゃまずい訳?」
まずい。
何がまずいって、俺の理性が持たねェ。
「・・・うん、無理だ」
「まー今日一回襲ってるしな。彼女も嫌がるよな」
「いや、たぶんあいつ何されたかわかってねェと思う」
「マジかよ。ちゃんと好きだって言ったのか?」
「・・・・・前に言った、けど。でも多分覚えてねェ」
「はァ!?じゃあキスもまだってことか」
「・・・・した」
「え、したの?」
「その時のことは酔ってて覚えてねえんだけどよ。アコが言ってた」
「お前ってほんっと・・・。まあいい、で?そん時の彼女の反応は?」
「え?んーと、怒ってた?いや違うな・・・拗ねてるようなそんな感じだった気がする」
もうしたくせに、とか言って。
「あ、でもその後俺が謝らねェって言ったらすっげー怒ってたぜ」
「馬鹿。エース馬鹿お前。可哀想になあアコちゃん。で、その可哀想なアコちゃんは何処に?」
「ナースの部屋」
「じゃあナースの部屋でいんじゃね?」
「何が?」
「アコちゃんの部屋。少なくとも用意が出来るまではさ」
ナース・・・・。
それなら、まあいいか。
「それなら、まあ、うん」
「だろ?さっすが俺!」
「んじゃあそれも含めて迎えに行ってくる」
「あとで紹介しろよ?」
「わーってるよ」
本当のことを言えばずっと側に置いておきたい。
ナース達のところだって行かせたくねェ。
でも側に居たら何もしない自信がない。
もし傷つけて、避けられたりでもしたら。
情けないのは承知の上だ。
今はまだ不安のほうが大きいアコにこれ以上辛い思いはさせたくねェ。
あちらの世界に居た時、
守ると言ってくれた。
だからこちらでは俺が守る、どんな手を使っても。
・・・・俺からも。
+だから今度は俺が 終+