空と海、そして君
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「そんじゃ、オヤジに報告に行かねェとな」
落ち着いた私に、エースがさらりと言う。
「そ・・・そうだよね、しばらくここに置いてもらわなきゃいけないもんね。許可もらわないと」
「ははっ、そんな硬くならなくってもアコなら大丈夫だって」
「でももし駄目って言われたら私どうしよう」
「オヤジはそんなこと言わねェよ。万が一言われても心配すんな、俺が何とかしてやる」
白ひげさんに会えることは嬉しい反面、不安や緊張もある。
けれどエースはやっぱりのんきに笑っていて、それがすごく心強い。
私は深く深呼吸する。
そして、
「お願いしますッ!」
「ん、行くか!」
ニシ、と笑ったエースに私も笑みを返して歩き出した。
しばらく歩いて着いた部屋。
「ここがオヤジの部屋。行くぞ?」
「・・・うん」
私が頷いたのを確認して、エースが扉をノックする。
コンコン。
「オヤジ、俺だけど。ちょっといいか?」
「グラララ・・・どうしたエース」
おおお、白ひげさんの声。
その声を聞いてエースはドアを開けた。
いよいよ対面。
「・・・・わ」
思わず声が出た。
知ってはいたけど、やっぱり実際見るとかなり大きい。
「エース、なんだそのハナッタレは」
は、と我に返った。
そうだよね、大きさに驚いてる場合じゃない。
「俺が前に世話になった、あっちの人間だ」
エースが紹介してくれたのをチャンスとばかりに私は前に出た。
「初めまして、私アコと申します。しばらくこの船にお世話になれたらと思い、許可を頂きに来ました」
緊張で笑顔が出ない。
でも私は精一杯に白ひげさんを見上げた。
白ひげさんは目を細めて私をじぃ、っと見つめる。
負けじと見つめ返す。
「オヤジ、アコは俺を助けにこっちに来てくれたんだ。でも帰る方法がわからねェしよ、しばらく居てもいいだろ?」
「助けに、だと?」
「ああ。な、アコ?」
フォローしてくれるエースに、私は頷き返すことが出来なかった。
白ひげさんの視線が、痛い。
「・・・違います」
「え?」
驚くエースに心の中で謝りながら私は続けた。
「エースを助けに、なんて。そんなおこがましいこと言えません・・・私は、弱いですし」
助けたかった。
それは事実だ。
けれど何が出来るかもわからず、実際この船にあがることだって人の助けられなければ出来なかった。
「ただ、エースが未来に危機になることを知って、結局は違う世界だったんですけど。でも私は・・・それが嫌だったんです。」
「つまりどういうことだ」
「私は私でありたかった、ってことですかね。・・・あ、でもそんな自己中な人間駄目ですよね、この船に居ちゃ」
あはは、と苦笑い。
白ひげさんは私を見つめたまま、
「お前ェ・・・アコと言ったか」
「あ、ハイ」
す、と。
突然白ひげさんは頭を下げた。
「オヤジ!?」
「え・・・・し、白ひげさん!?」
エースも私も驚きを隠せない。
「息子が・・・世話になった」
「あ、頭上げてくださいッ!」
私はパニックで、助けを求めてエースを見たらエースは「オヤジ・・・!」と感動してる。
それからようやく白ひげさんはゆっくりと頭をあげた。
「海に落ちて知らない世界に行ったという息子が笑って帰って来れたのはお前ェのおかげだ・・・そうだな、エース」
「ああ、その通りだ」
「や、そんな私なんか何もしてないです」
そう言うと白ひげさんは初めて笑った。
嬉しそうに。
「グラララ・・・何もしてねェかなんてのぁ見りゃわかる。息子の恩人だ。好きなだけここに居りゃいい」
「あ・・・有難う御座います!」
「しっかり守れよ・・・エース」
「ああ、サンキュオヤジ!」
白ひげさんは、本当にお父さんなんだなあ。
何だかしみじみ思う。
「失礼しました」
軽くお辞儀してから部屋を出る。
「はーっ緊張した!」
「だから言ったろ?大丈夫だって」
「うん。すごくいい人。カッコ良かった・・・!」
「ああ、カッコイイよなあ・・・オヤジ!」
2人でうっとりしながら廊下を歩いていると、目の前に見えたのパイナップル・・・じゃなくてマルコさんだ。
「お、マルコ!今日は宴な!」
「・・・オヤジに会ったのかい」
鋭い視線に、そういえば私まだマルコさんに疑われてるんだっけ、と思い出した。
でもここで怯んだらきっとずっと仲良くなれない。
「はい、とても素敵な方でした。あ、マルコさんさっきはタオル有難う御座いました!」
「別に構わねえよい。うちのが世話になったようだしな」
うちの、と言いながらちら、とエースを見るマルコさん。
・・・・皆、家族のことを思ってるんだ。
強い絆を少し羨ましく思った。
「これからこの船でお世話になります、アコです。マルコさんにお会い出来て嬉しいです」
「・・・・ああ、何かあれば力になるよい」
言ってマルコさんは手を出してくれて、私も嬉しくなってその手を握ろうとした。
が、
ガシ。
「・・・・・・何してんだよい、エース」
「エース?」
マルコさんの手と私の手の間に、エースの手。
「あ、悪ィ」
ぱ、と手を退けるエース。
不思議に思いながらも改めてマルコさんと握手。
・・・・マルコさんがにやにやしてる。
え、何で?
「その服はミリアのだねい?よく似合ってるよい」
「え、ほんとですか!有難う御座います嬉しいです」
やったあマルコさんに褒められた!
えへへ。
「エース聞いた?ミリアの服似合ってるってマルコさん、がっ!!?」
いきなりエースに腕を捕まれた。
「もういいだろ、行くぞ」
「え、ちょ、エース?」
何か怒ってる?
せっかくマルコさんと仲良くなれそうだと思ったのに。
そのまま私は引っ張られ、連れて行かれる形に。
振り向きざまマルコさんを見ると、くつくつと楽しそうに笑ってた。
+ご挨拶 終+