空と海、そして君
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アコの表情が一気に明るくなったのがわかった。
・・・・スカートから出た足に目がいくのは仕方ねえと思う。
不安そうな顔で上目遣いに『側に居てくれるよね?』なんて言われたら、何も言えなくなる。
俺を助けるために来てくれたというアコ。
俺がいつも見慣れてるアコの格好は、Tシャツにジーパン。
今の格好は、大きめに胸元が開いたブラウス。ミニのスカートだ。
ふと足元にある荷物に気づいた。
「なあアコ、それ何が入ってるんだ?」
「あ、これ?お母さんが持たせてくれたんだけど、何が入ってるんだろ」
「開けてみろよ」
「あ、うん」
言ってアコがそのまま屈む。
すると俺の目に映る、それ。
「っ待て!やっぱり待てアコ!」
「え、何?」
きょとん、とした顔のアコ。
んな顔で見るなっつーの!
「・・・・見えてンだよ」
「何が」
「・・・・・・・・・言っていいのか?」
「や、言ってよ」
「・・・・・・・・・・・・・・・胸」
一気にアコの顔が赤くなった。
「見たの!?」
「見えたんだよ!仕方ねェだろ!」
顔を赤くして、うっすら涙を浮かべて、俺から顔を背ける。
っつーかこいつ、こっちに戻ってくる時俺が好きだっつったの覚えてんのか。
・・・・・ああ、もう。
見られた。
エースに、胸、見られた。
小さいほうではないと思ってたけど、ここのナースさん達のことを考えると気が重くなる。
「ところでアコ・・・ここに居ることは知ってんのか、お袋さん達は」
「あ、お母さんは知ってる。エースによろしくって言ってた」
「・・・・で、どうやって帰るつもりだ?」
ぎくり。
「う・・・・海に飛び込んだら帰れたりとか」
「ある訳ねェだろ」
「ですよねー。あはは・・・」
ていうかさっきからエースが不機嫌。
目も合わせてくれないし、合ったかと思えばすぐ逸らされる。
少し寂しい。
「・・・んなよ」
「ん?」
俯いたエースが何かを呟いて、立ち上がった。
そして私の方に歩いてきて、
どさっ、ぼふ。
そんな効果音がした。
「・・・・へ?」
目の前に見える景色が変わった。
すぐ前にエースの顔、奥には天井が見える。
どういう事。
「アコ、悪ィ」
これ以上ないくらいに近づいたエースの顔に私はパニック。
頭は真っ白で。
「どどどど、どしたのエース!」
「・・・・ちょっと黙れ」
言って、エースの顔が近づいて。
「え、」
唇がくっつきそう。
あ、あと1cm。
その時、
「おーいエース!お前の話してた女の子がここ、に・・・・」
ばん、と勢いよく扉を開けて入ってきたのは、頭や腕やらに包帯をぐるぐる巻きにした男の人。
男の人は私達を見て固まり、
「・・・・わり」
そのまま静かに扉を閉めた。
え、何だったの今の。
誰。
驚きのあまり声が出せずにいると、耳元でエースのため息が聞こえた。
「今のがサッチだ」
言いながらエースは私の上から退いて、私も一緒に起き上がる。
え、マジで何だったの?
「え、サッチさん?」
「ああ。とりあえず後で殺しとく」
「何故!?」
せっかくティーチに殺されずにすんだのに!?
エースは私の問いかけを無視して、
リュックに手を伸ばした。
「あ、勝手に!」
「いいだろ別に。・・・・アコ、これ」
「よくないでしょーが。何?」
勝手にリュックを開けて中身を確認したエースが私に中を見せてきた。
「あ・・・・」
「ちゃんと入ってんじゃねェか、服」
リュックの中には私の服、下着類が少しだけ入ってた。
何ていうか、ほんと敵わないなあと思い知らされる。
「・・・っとにかく、今日はその服でいいから、明日からちゃんと自分の服着ろよ?」
「・・・・わかった」
「それと・・・悪かった」
ベッドの上で泣きそうになった私を見ながらエースは立ち上がる。
「俺のこと心配して来てくれたんだよな。・・・帰りのことは心配すんな、俺が何とかしてやる。だから、大丈夫だ」
エースが大丈夫だと言ったから。
何だか本当にもう大丈夫なんだって気がして。
そしたら張っていた気が一気に緩んで。
「良かった・・・もう大丈夫なんだよね、ほんとにエースは大丈夫なんだよね、良かったあああ」
言いながらこぼれる涙。
ほんとは不安で仕方なかった。
無事にこの世界に着けるかもわからないし、
私に出来るかどうか。
怖くて怖くてどうしようもなかった。
泣き出した私を宥めるかのようにエースは抱きしめてくれて、
「・・・そっちかよ」
安心したかのように呟くエースに、
何がだろうと思いながら私はただ一言、
「ありがとう」
それだけ言うのが精一杯だった。
+大丈夫、ただそれだけが 終+