空と海、そして君
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「どうぞお入り下さい、エース隊長」
ミリアがそう言うと同時にエースが入ってきた。
「・・・その服」
私の格好を見て驚くエース。
「ミリアがくれたんだけど・・・おかしい、かな」
本音は可愛いって言って欲しい。
けれど少しの沈黙の後エースの口から出た言葉は、
「・・・・・スカート短ェ」
がっくりと肩を落とした。
やっぱりね、エースだもんね。
期待した私が馬鹿だった。
「そりゃ私もさすがにコレは短いと思うけど。でも前も思ったけどさ、
いつも上半身裸のエースに言われたくない」
「お前な、ここは海賊船だぞ?
男がうじゃうじゃいるとこでンな格好でうろうろしてたらどうなるかわかるだろーが」
「でもせっかくミリアがくれたんだもん。可愛いし」
「短いと思ってんなら別のやつにしろよ」
「やだ」
「あらエース隊長、よく似合ってると思いません?」
ここでミリアが助け舟を出してくれた。
エースはう、と言葉に詰まる。
「・・・・似合ってねェ訳じゃねえけどよ」
「エース隊長?あんまり束縛が激しいと嫌われますよ」
「っ次の島に着いたら新しい服を買う!それまでなら許す!
あとあんまうろちょろすんな、俺の側に居ろよ」
にこにこと話すミリアにエースの顔は何処か不貞腐れたような表情に。
心なしか、顔が赤い。
「ん、わかった」
「・・・・で、アコはもういいんだろ?連れてくぜ」
「ええ、構いませんけど。泣かせないで下さいね?」
「泣かせねェよ。・・・アコ、俺の部屋行くぞ」
拭いてくれたリュックを渡してくれて、良かったわね、とこっそり耳打ちしてくれたミリアにお礼を言って
私はエースの後を追った。
大人の余裕があって、美人で。
優しくて。
いいなあ、ミリア。
「アコ、ここが俺の部屋だ」
「お・・・お邪魔しまーす」
エースが先に入ってって、私も続いて入る。
ベッドにテーブル、椅子があって、至って普通の部屋。
あ、ルフィの手配書が貼ってある。
「適当に座れよ」
その言葉に頷いて、私はベッドに腰掛けた。
「・・・・・そこかよ」
「え、あれ駄目だった?」
「・・・・別にいいけどよ」
言ってエースは私の向かいに椅子を持って来て座った。
何か不機嫌?
「それで、何でアコがここに居るんだ?」
「え・・・・えーと、このネックレスつけたら声が聞こえて、
お風呂場行ってみたらあの時みたいに光ってたから入ったら着いちゃった、みたいな」
嘘はついてないよね、うん。
「嘘だろ」
げふん。
「嘘じゃないってば」
「それだけじゃねェだろ?」
じぃ、っと真っ直ぐ見つめられる。
その瞳に以前のエースの言葉を思い出した。
『そいつのこと大事だと思うなら本当のことを話しておいた方がいい』
助けに来た、なんて恩着せがましくしたくない、とか。
死んだ、なんて。
悲しいし信じられないから言いたくないとか。
色々思うとこはあるけど。
「・・・・・本の中で、エースが大変なことになって、
こっちとは時差があるならもしかしてそうならないように出来るかもって思って」
「大変なこと?」
「・・・ティーチって人がこの船に居るでしょ?」
ぴく、とエースの眉が動いた。
ティーチの名前を出した途端にエースの顔が険しいものに変わった。
「ティーチの野郎が何だって?」
え、この反応、もしかしてもう?
「・・・もしかして、この船にはもう居ない?」
「居ねェな。アコが来なければ俺は今頃ティーチを追ってた」
「っじゃあもうサッチさんはティーチに・・・」
「ああ、あいつはサッチに大怪我させた挙句逃げやがったんだ。
何十年も親父の世話になっておきながらな」
「・・・・・・え?」
「何だよ?」
エースの言い放った言葉に私は耳を疑った。
サッチは、死んでない?
「サッチさん、死んでないの?」
「はァ?死んでねェよ。怪我はしたけどな」
私の言葉に今度はエースが怪訝な顔をする。
「違う」
「違う?」
「私の知ってる話と、違う」
どういうこと?
「世界が違うんじゃねェか?」
椅子の上で胡坐をかいているエースがさらっと言う。
「世界が?違う?」
「アコの知ってる本の中の俺はアコを知らねェってことだ」
「私の知ってる本の世界とここはまた別の世界、ってこと?」
「それなら話が変わってることにも納得出来るだろ?」
「確かに・・・・」
でもそれでもエースはティーチを追うつもりでいるんだ。
それだけは、阻止しなくちゃいけない。
「ね、エース。側に居てくれるよね?私をここに置いてったりしないよね?」
「え?」
例えティーチのことがなかったにしても、エースが居なくなるのは辛い。
「側に居ろ、ってさっきエース言ったもんね?ね、エース」
念を押すように名前を呼ぶと、エースは頭を抱えて唸り始めた。
「・・・無意識かよ性質悪ィ」
「え、何が?」
「何でもねェよ。わかった。ティーチは追わねえ」
やった!
「ありがと、エース!」
これでエースは助かるハズ、だよね?
+嘘はつかない、いやつけない 終+