宣戦布告!
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「はああ・・・・」
遅くなっちゃった。
思わずため息が出たのは、遅くなっちゃったことにじゃないけど。
友達に言われた言葉を思い出す。
『エース君の好きな女の子誰だかまだわかんないの?』
・・・・わかんないんだよ。
結局この間も女の子じゃなかったし。
ガープさんだったし。
ルフィにいくら聞いても欲しい答えはもらえないし。
大学でもそれとなく観察してるけどエースと仲良さそうな女の子も、
エースが見つめてる女の子もいない。
あと考えられるのは・・・・バイト先。
前に行った時はわからなかった。
・・・・・今日確かエースバイトだよね?
行ってみよっかな・・・・・?
1人で来るなとか言われてるしこの間も怒らせちゃってるから悩む。
薄暗い角をくるりと曲がったところでふと気になった、足音。
・・・・あれ、後ろに人がいるなあとは思ってたけど。
・・・・・まさかね?
たまたま同じ方向に行くだけだよね。
・・・・・いつから居た?
大学出て友達と別れて・・・・うん、その時は居た。
え。じゃあもう20分くらい居る?
・・・・・・そんなに一緒ってある?
あるか。
まあなくはないよね。
と無理やり結論づけたところで、
「落ち込んでるんだね」
「は?」
後ろに居た人に声をかけられた。
・・・・うわ、絵に描いたようなキモイおっさんだ。
いやいや人を見た目で判断しちゃいけないよ私。
「可哀想に・・・・さっきから暗い顔で歩いてるじゃないか」
「お気遣い頂き大変有難いのですがいつものことなのでどうぞお構いなく!」
「ハァハァ・・・・おじさんが慰めてあげるよおお」
ハァハァ言ってる!!やっぱ外見通りの変態か!!
「慰めはいりません!!」
叫んで走ったけど、すぐに追いつかれた。
「ぎゃ!」
肩を掴まれて、
「大丈夫だよ優しくするからねえ・・・・!!ハァハァ」
「見知らぬおっさんに慰められる程私のエースへの愛は浅くないっての!!」
顔が近づいて、咄嗟に避けたけど結局は男対女の力の差。
離れられない、このままじゃまずい。
「はな、し・・・・・・っ、い、や・・・・・」
「大丈夫だよお・・・・」
大丈夫じゃねーよ!!!
咄嗟におっさんに向かって唾を吐いた。
「・・・・・んん、可愛いねえ」
「嬉しくない!!」
もう、無理。
そう思った時、
強く身体を押された。
「え」
「何やってんだオッサン」
「あ・・・あ・・・・・・・」
オッサンは突如出て来た人に怯えた顔を見せ、
すぐに走り去った。
・・・・突如現れた、その人・・・間違いなくエース。
エースは私と逃げて行ったオッサンを見比べて、
「・・・・おい」
とだけ声をかけた。
「・・・・・はい」
「無事か?」
「・・・・・・うん」
「何か・・・されたか?」
「ううん・・・・まだ、何も。あ、私は唾吐いたけど」
「・・・そっか」
「・・・・あ、ありがと」
びっくりした。
エースに会えて嬉しい、の前にびっくりした。
いや、びっくりしてる。現在進行形だ。
「警察、行くぞ」
「へ!?」
「近くに交番あっただろ。行くぞ」
「でっでも!!」
「まさか未遂だし面倒だから行かないとか言わねェよな」
エースは怒ったように私に言う。
「っじゃなくて・・・・交番には、行くけど」
私はたまたま未遂で済んだけど、
今後別の女の子が同じ奴に同じような目に遭わない為にも行かないといけない、それはわかる。
でも。
「けど何だよ?」
「私1人で、行くよ」
控えめにそう答えたら、
「い、っだ!!」
額にデコピンを喰らった。
「馬鹿アコ」
「・・・・痛いよエース」
「うるせ。俺も行くに決まってんだろ?また1人になるとか馬鹿だろ」
「でも、だってエースこれからバイトでしょ?」
「バイトなんか行ってる場合じゃねェだろ」
・・・・こんな時に不謹慎だから口にはしないけど。
バイトより私を大事に思ってくれてるってことなのかな?
だったら嬉しい。
「さっきの奴がいつ戻って来るかもわからねェんだぜ。ちったぁ考えろよ」
「戻ってきたら・・・・守ってくれる?」
「・・・・それ以外に俺が一緒に居る意味あるか?」
「ある」
「何だよ」
「・・・私がめっちゃ嬉しい」
「・・・・知るか馬鹿」
「・・・・お願いしてもいい?」
「・・・ん。行くぞ」
行くぞ、と言いながらエースが私の手を握ってくれた。
・・・・・あったかいなあ。
一応交番に行って、詳しい場所と時間帯、おっさんの特徴などを話して。
見回りを強化してくれることになった。
パトカーで送ってくれる、っておまわりさんは言ってくれたんだけどエースが断って、
2人で帰ることに。
「何であんな時間にあんなとこ歩いてたんだよ」
「友達と話してたら遅くなっちゃって」
「遅くなった時はもっと明るい道通れよ・・・それくらいわかるだろ?」
「うん・・・・ごめんね迷惑かけて」
「・・・・まあ、迷惑っつーか」
「・・・・ごめん」
「・・・・・・思ってねェから気にすんな」
「・・・・・・ほんと?」
「1番悪いのはあの変態だろ?何もなかったんだし今回は結果オーライで許してやるよ」
「・・・・・じゃあさ」
「・・・・何だよ」
「また手繋いでもいい?」
私の言葉にエースは顔を赤くして、
「・・・・ばーか」
と言いながらまた手を繋いでくれた。
・・・・好きだなあ、エースの『ばーか』
と思いました。
+ばーか 終+