もう1つの家族
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ドアの閉まる音が聞こえて、目を覚ました。
ふと隣を見ると、さっきまで居たハズのアコが居なくて、
「アコ?」
「アコなら今出て行ったわよ。クラスの男の子に呼び出されたみたい」
「男・・・・?何処に?」
「すぐそこの公園」
聞いた瞬間飛び出していた。
別に何か感じた訳じゃない。
嫌な予感がした訳でもない。
ただ会いたかっただけだ。
今はまだ目が覚めて隣にアコが居て欲しい。
公園はすぐにわかったし、アコも見つけた。
俺の知らない男に抱きしめられているアコの姿。
聞こえたアコの微かな声。
「エース」と。
次の瞬間俺は男を殴り飛ばしていた。
自由になったアコを抱きしめると、アコの肩の力が抜けたのがわかって、俺は内心ほっとした。
「じゃあお父さん、エース、行ってきます」
「夕飯までには帰ってくるわね」
今日は母と2人で買い物。
表向きは女同士でゆっくりと、ってことになってるけど。
本当はエースの誕生日プレゼントを買いに行くのだ。
でも私1人で行くって言うとエースが心配するし。
という訳でエースを父に任せて私は母と2人で行くことになった。
駅前のショッピングモールに向かって歩きながら、冷たい風を感じた。
「さむ!」
「もう年末だもの。あんたちゃんと部屋の片付けしなさいよ?」
「・・・はーい」
一応返事はしてみるものの、頭の中はエースの誕生日のことしかない。
でもって、
「来年は私も卒業かあ」
「大学決まって良かったわよねー」
「うん」
「・・・あんまり嬉しくない?」
「え、そんなことないけど」
「ま、今のうちにたっぷり青春を楽しむことね」
エースのプレゼント探しの為とはいえ、
母と2人での買い物は久し振りで楽しかった。
たくさん悩んだけどプレゼントも買えた。
そして家に帰ってみると、
そこに居たのは。
「帰ったかー我が妻と娘よ!」
「アコー!お前も飲めよ!」
酔っ払い男2人組。
「・・・・・なんでこんな昼間っから酔ってんの?」
晩酌は当然のように2人ともしてるけど、昼間からこんなに飲むなんて。
「もう!2人とも仕方ないわね、夕飯の支度するからアコは2人の相手してて?」
「ったくもう、2人して何やってんの!・・・ってお父さんここで寝ないでよ」
居間でそのまま横になる父。
仕方なく私はそこに毛布を持ってきて掛ける。
「エースも、昼間っから飲みすぎ!」
エースは顔を赤くしながらも、父ほど酔ってはいないようだけど。
「いいじゃねェかーそれよりほら、アコ飲めよ!」
「だから私はお酒飲めないんだって。つかお酒臭いよエース」
ご機嫌なエースの口から吐かれる息の酒臭さに私は思わず顔を顰めた。
けれどエースは変わらずにこにこしていて。
そしていきなり、
「アコー!!」
ぎゅう、と抱きついてきた。
抱きしめられる、というより抱きつかれている、が正しい表現だと思う。
ああもう可愛いなあ!
臭いけど!
よしよし、と頭を撫でる。
年上の人の(しかも男の人!)頭を撫でるなんて変な感じ。
すると突然エースが顔をあげた。
「ん?」
何か言うのかと思って待っていると、
何の前触れもなしに、
「っ!」
唇と唇が触れ合った。
一瞬のことだった。
「な!ななななん、」
「んん・・・やーらけーなー」
「・・・・・もしかしなくてもだいぶ酔ってるの?」
「酔ってねェ!」
酔ってるだろ!どう見ても!
けれど酔ってないと言い張った後エースは私を抱きついていた力を緩めた。
「エース?」
不審に思いながらもそのままにさせていると、
ずるずると私の足元まで下がっていくエース。
「・・・・・ぐー」
寝た。
まさかの。
まさかの今、寝るとか。
「・・・・馬鹿エース」
唇と唇が一瞬触れただけ。
でも、それでもキスだ。
そりゃ私からエースの頬にしたことはあったけど。
でも、唇じゃなかった。
・・・・・キス、なんて。
「初めて、だったのに」
呟いた言葉は空気に溶けた。
+酔っ払いめ 終+
ふと隣を見ると、さっきまで居たハズのアコが居なくて、
「アコ?」
「アコなら今出て行ったわよ。クラスの男の子に呼び出されたみたい」
「男・・・・?何処に?」
「すぐそこの公園」
聞いた瞬間飛び出していた。
別に何か感じた訳じゃない。
嫌な予感がした訳でもない。
ただ会いたかっただけだ。
今はまだ目が覚めて隣にアコが居て欲しい。
公園はすぐにわかったし、アコも見つけた。
俺の知らない男に抱きしめられているアコの姿。
聞こえたアコの微かな声。
「エース」と。
次の瞬間俺は男を殴り飛ばしていた。
自由になったアコを抱きしめると、アコの肩の力が抜けたのがわかって、俺は内心ほっとした。
「じゃあお父さん、エース、行ってきます」
「夕飯までには帰ってくるわね」
今日は母と2人で買い物。
表向きは女同士でゆっくりと、ってことになってるけど。
本当はエースの誕生日プレゼントを買いに行くのだ。
でも私1人で行くって言うとエースが心配するし。
という訳でエースを父に任せて私は母と2人で行くことになった。
駅前のショッピングモールに向かって歩きながら、冷たい風を感じた。
「さむ!」
「もう年末だもの。あんたちゃんと部屋の片付けしなさいよ?」
「・・・はーい」
一応返事はしてみるものの、頭の中はエースの誕生日のことしかない。
でもって、
「来年は私も卒業かあ」
「大学決まって良かったわよねー」
「うん」
「・・・あんまり嬉しくない?」
「え、そんなことないけど」
「ま、今のうちにたっぷり青春を楽しむことね」
エースのプレゼント探しの為とはいえ、
母と2人での買い物は久し振りで楽しかった。
たくさん悩んだけどプレゼントも買えた。
そして家に帰ってみると、
そこに居たのは。
「帰ったかー我が妻と娘よ!」
「アコー!お前も飲めよ!」
酔っ払い男2人組。
「・・・・・なんでこんな昼間っから酔ってんの?」
晩酌は当然のように2人ともしてるけど、昼間からこんなに飲むなんて。
「もう!2人とも仕方ないわね、夕飯の支度するからアコは2人の相手してて?」
「ったくもう、2人して何やってんの!・・・ってお父さんここで寝ないでよ」
居間でそのまま横になる父。
仕方なく私はそこに毛布を持ってきて掛ける。
「エースも、昼間っから飲みすぎ!」
エースは顔を赤くしながらも、父ほど酔ってはいないようだけど。
「いいじゃねェかーそれよりほら、アコ飲めよ!」
「だから私はお酒飲めないんだって。つかお酒臭いよエース」
ご機嫌なエースの口から吐かれる息の酒臭さに私は思わず顔を顰めた。
けれどエースは変わらずにこにこしていて。
そしていきなり、
「アコー!!」
ぎゅう、と抱きついてきた。
抱きしめられる、というより抱きつかれている、が正しい表現だと思う。
ああもう可愛いなあ!
臭いけど!
よしよし、と頭を撫でる。
年上の人の(しかも男の人!)頭を撫でるなんて変な感じ。
すると突然エースが顔をあげた。
「ん?」
何か言うのかと思って待っていると、
何の前触れもなしに、
「っ!」
唇と唇が触れ合った。
一瞬のことだった。
「な!ななななん、」
「んん・・・やーらけーなー」
「・・・・・もしかしなくてもだいぶ酔ってるの?」
「酔ってねェ!」
酔ってるだろ!どう見ても!
けれど酔ってないと言い張った後エースは私を抱きついていた力を緩めた。
「エース?」
不審に思いながらもそのままにさせていると、
ずるずると私の足元まで下がっていくエース。
「・・・・・ぐー」
寝た。
まさかの。
まさかの今、寝るとか。
「・・・・馬鹿エース」
唇と唇が一瞬触れただけ。
でも、それでもキスだ。
そりゃ私からエースの頬にしたことはあったけど。
でも、唇じゃなかった。
・・・・・キス、なんて。
「初めて、だったのに」
呟いた言葉は空気に溶けた。
+酔っ払いめ 終+