宣戦布告!
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「君可愛いね、アイドルとか目指さない?」
「目指しません」
「せめて名前だけでも聞かせてよ、ね」
確かに繁華街を歩いておりますとも。
・・・・・でもまさか自分がそういうのに声かけられるとは思わないじゃない?
欲しい本が大きい本屋にしかなさそうだから来ただけなのに。
「おいくらで?」
「え?」
「大事な個人情報を無料で差し上げられる訳ないじゃないですか。名前知りたいんならおいくら払えます?」
さて怒るか、無視するか。
相手はどう出るか。
「はははっ、いいね!気に入った!!」
「・・・・・は?」
想定外の反応に一瞬固まってしまった。
「これ名刺。気になったらここにかけて、待ってる」
「・・・・・・はあああああ!?」
胡散臭そうなおっさんは、
名刺だけ渡して逃げた。
・・・・・・・・・・・・・・アイドルぅ?
「ねェよ」
「だよね」
思わずその足でエースの家に。
今あったことを話してみたら、ばっさり切り捨てられた。
「アイドルってガラか、アコが」
「・・・・・・・だよねえ」
わかっちゃいたけど。
「さっさと捨てろよそんな名刺なんか」
「・・・・・でもなんか」
「ンだよなりてェのかよ」
エースは不機嫌。
「なりたい訳じゃ・・・・・ないけど」
「けど何だよ」
「私軽くあしらったのにすっごい笑顔でこれくれたから・・・申し訳ないっていうか」
「●×プロダクションつったか?怪しすぎだろ」
「まーねー・・・・・」
エースの言うことは正しい。
「そもそもアイドルってあれだろ、水着になったりするんだろ」
「ああ、グラビア?少しはあるかもだけど・・・・このお腹では無理だろうねえ」
「だからやめとけって」
「・・・・・でもね。興味がない訳じゃないっていうか」
自分がアイドルなんて想像出来ない。
・・・・半面、どうなんだろうっていう興味がある。
「・・・・・なるにしてもこんなうさんくさいとこやめとけ」
「・・・・・・・・・うん」
・・・うん、やめておいた方がいいよねやっぱり。
「ったく・・・・」
「・・・何?」
「納得してねェって顔に書いてあるぜ」
「そ・・・そんなことはっ」
あるけど!!
「アコの何処がアイドルだよ、どう見てもお笑い芸人がいいとこだろ」
「・・・・そだね」
「ん」
「・・・・・ん?」
ん、とエースが手を出した。
「寄越せよ、名刺」
「ええええ!?何で!?」
「俺が破り捨ててやる」
どん。
まさかの発言に驚きと動揺を隠せない。
「そ・・・・そこまでしなくても!!」
「何処だよ名刺」
「え、や、あ」
「アコが未練残さないようにしてやる」
「・・・・・・・そんなに反対?」
私のバッグを探り出したエース。
エースは何故か酷く苛立った様子で名刺を探り当て、
「アコがガキの頃からアイドルになりたかったてんなら応援してやるよ。でも違ェだろ?」
「それは・・・・うん」
「スカウトされて天狗になってるだけだ、馬鹿」
「・・・・はーい」
それもそうだ、と納得した私の目の前で名刺を破り捨てた。
びりびり。
「ほんと、全然悲しくないわ」
本当になりたかったんならきっともっと悲しかったし悔しかった。
でも今全然そんな気持ちが湧かないのは、
「だろ」
「うん、ありがとエース」
「・・・・別に礼言われるようなことはしてねェ」
「ううん、エースのおかげで思い出した」
「・・・何をだよ」
「私の夢」
「・・・・・・・・夢なんかあったか?」
「失敬だな。あるよちゃんと。何だと思う?」
エースが思い出させてくれたから。
私が本当になりたいもの。
「・・・・漫画家か?昔へったくそな絵描いてたもんな」
「ますます失敬だね。可愛い絵って言ってよ。ちなみに答えはぶっぶーです」
「じゃあ歌手。へったくそな歌今でも思い出せるぜ」
「・・・さっきから全部へたくそじゃん」
「事実だろ?」
ははっ、と今日初めてエースが楽しそうに笑った。
「・・・・・そうかなあ」
「んで、正解は?」
「・・・・・正解は、エースのお嫁さん」
「・・・・・・・・・・・なっ、」
「昔からずーっと変わらない、私の夢」
自信を持って言える。
「・・・・・馬鹿アコ」
エースが少し赤い顔で呟いて、私の額に、
「いだっ!!」
デコピンを喰らわせた。
「言ってろ」
「・・・・・ぶー。でもさあ可愛いねって言われたのは嬉しかったしさ」
「まだ言ってんのか馬鹿アコ」
「だってエース言ってくれないじゃん?」
可愛い、って。
小さい頃ですら言われた記憶ほぼないんだけど。
「思わないから言わないんだろ」
「ぐぅ・・・・!!」
わかっちゃいたけどかなりの傷かもしれない!!
「口だけなら誰でも何とでも言える。口先だけの奴になんかなびくなよバーカ」
「・・・・・・・わかった」
「・・・・あ?」
「絶対エースに可愛いって言わせてみせるから」
「・・・・はあ?」
「見てなさいよエース!!!」
ぎゃふんと言わせてやる!!
じゃなくて!!
可愛いと言わせてやるんだから!!!
「・・・・勝手に頑張れ」
「頑張る!!」
+可愛いねと 終+