宣戦布告!
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最初に思ったのは、
誰のせいだ、ってことだった。
遠くに見えたアコの顔が赤い。
相手はゾロか?
それとも別の男かよ。
そう思って隣を見ればいたのはいつも一緒に居る女。
・・・・なんだ女かよと安堵したのも束の間。
待て、じゃあ何だあの顔は。
・・・・・つーか足元もふらついてねェか。
・・・・・・・そういうことかよ。
頭の中で出て来た答えと、
アコの阿呆面に小さくため息を吐いた。
「有難う御座いましたー」
帰りにスーパー行って色々買って、
アコの家に行った。
あんだけ具合悪そうってことは今日は何処にも行かずに家に帰って今頃寝てる頃だろうからな。
念の為合鍵は持ってきちゃいたが。
「・・・・開いてる、か」
不用心にも程がある。
といつもなら説教するところだが、
おおかた具合が悪くてそんなことを気にする暇もなかったんだろう。
・・・・ンなに悪いならさっさと早退しろってんだ。
あの馬鹿。
勝手知ったるアコの家。
玄関に置かれた鞄。
・・・・こりゃ重症だな。
部屋の前まで行ったはいいが一瞬戸惑う。
・・・・・・・ノック、した方がいいか?
いやでも寝てるかもしれねェよな。
・・・・着替えてたり、とかはねェよな?
そーっとドアを開けて見る。
・・・・ベッドに横になったアコが見えた。
よし。
・・・誰にも言わないで、俺にすら言わずに1人で寝て治そうとしてんのか。
・・・・世話の焼ける。
「ったく」
仕方ねェやつ、と思いながら寝てるアコの髪を撫でた。
寝てる時でねェとこんなこと出来ないからな・・・・!!
と、アコがそっと目を開けたので慌てて手を離した。
「・・・・・・・起きたかよ」
起こしちまったか?・・・バレてねェよな?
「・・・・・どうしよう」
「何が」
目を覚ましたアコは混乱した様子で。
「会いたさすぎてついに幻覚まで見えるようになった」
「はァ?」
「あ、声も聞こえるから幻聴もだわ」
・・・・寝ぼけてんのか、はたまた熱のせいか。
こいつ俺のこと現実だと思ってねェな?
ぷに。
頬を突いてやったらそんな擬音がぴったりだった。
「ははっ、柔らけェ」
「・・・・・・・本物?」
「幻覚ってことにしとけ」
面倒くせェから。
「っでも!」
がばっと起き上がったアコを再び無理やり寝かせた。
「寝とけって。・・・具合悪いんだろ?」
「・・・・ううん、大丈夫」
「嘘つけ。熱は?」
「わかんない」
「・・・・・お前な」
熱くらいは計ってるかと思えば。
「だって熱計って高い数値出たら具合悪くなっちゃうし」
認めざるを得ないし。
・・・・っとに馬鹿。
頭に来て思わずデコピン喰らわせてやったら、
「いたっ!!!」
アコが顔を顰めた。
「馬鹿」
言いながらアコの額に手をやった。
「わ・・・冷たくて気持ちいい・・・・」
「・・・高いな」
熱い。これはかなり熱がある。
「私のエースへの愛の数値が?」
「7度は超えてると思うぜ、ほら」
相手にすると調子に乗るのはわかってるから、
部屋の薬箱から体温計を取り出してアコに手渡した。
「・・・・ありがと」
体温計を受け取ったのを確認して俺は部屋を出た。
さて、と。
米は今朝の残りがあるな、アコならあると思った。
野菜類は買って来たし。
台所を拝借。
病人を1人にさせとく訳にはいかねェし、
簡単に粥を作って、ぽかりと一緒に持って行った。
「超えてただろ」
「え」
体温計をぼーっと見つめてるアコに声をかけたら、幽霊でも見たかのようで俺を見た。
「何それ美味しそう・・・・」
「これ食って薬飲め」
「食べて・・・いいの?」
「・・・・残したらシバく」
「おかわりを所望します!」
「食い切ってから言えって。で、熱は?」
「7度5分」
「やっぱりな。ぽかり買って来たからこれも飲め」
「・・・・買ってきてくれたの?」
調子に乗るな、と言いたいところだが。
「俺の買い物のついでにな」
・・・・病人相手だしな。
「冷え冷え?」
「冷えすぎてんのは喉にも身体にも良くねェんだよ、これくらいでいいんだ」
「そうなんだ・・・・いただきます」
言われた通り飲んで、アコは粥を口にした。
「・・・はふ、あふ、・・・・熱、っ美味しい!!」
「卵入ってっからな、栄養もバッチリだ」
「さすがエース・・・・・」
それから、
「これ薬な、1回2錠」
「・・・・・誰から聞いたの?」
不思議で仕方ない、という顔のアコに今更何だと首を傾げた。
「あ?この家のことはお前と同じくらいわかってるっての」
「じゃなくて・・・私が具合悪いって」
誰にも言わなかったし、
誰にも言われなかったのに。
今度はそんな顔。
「見りゃわかる」
「でも今日私エースに会ってなかった・・・・」
「遠くからアコの阿呆面が見えたからな」
「え」
「顔色は良くねェし歩き方もふらついてるし」
でもって絶対誰にも具合悪いと言わないって顔してたからな。
「・・・・・・・・・忘れて」
「はァ?」
「その時の私も今の私も忘れて」
「・・・何言ってんだ」
こいつはたまに訳わからねェ。
と思ったら。
「だってエースには・・・・可愛い私だけ見せたいから」
・・・・・・十分可愛いっつーの。
「・・・・・お前ってホント馬鹿だな」
「・・・・・知ってる」
言いながらアコの目に浮かんだ涙。
なっ、何だ今のでか!?
「泣くほどのことか?今更だろ、そんなの」
「わかってるけど・・・・っ」
「阿呆面だろーがなんだろーがアコはアコだろ」
・・・・俺の惚れた、女だろ。
「・・・・・・すき」
・・・・赤い顔で涙目で見上げられて。
・・・・・・・・今俺も好きだって言ったところで。
ろくな思い出にゃなりゃしねェな。
「そういうのは風邪治してから言え」
「・・・・はぁい」
・・・嬉しそうなへらりとした顔に、
うっかり俺も好きだと言いかけた。
+わかるよ 終+