もう1つの家族
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冬休みも後半に差し掛かった。
もうすぐエースの誕生日、か。
何あげたら喜ぶんだろ。
・・・・肉?
や、でも残るものあげたいしな。
・・・・その時まだエースが居るなら。
うーん、どうしたもんか。
お昼ごはんを食べてる最中、
いつものように寝ているエースの寝顔を見ながら私は考える。
すると突然、携帯が着信を知らせた。
このメロディはメールではなく電話だ。
「もしもしー」
「アコ?俺だけど」
「名前を言いなさい名前を。オレオレ詐欺かって」
「わり、サカキだけど、今から公園来れないか?」
サカキはクラスの中でも割と仲のいい男子だ。
「公園、って何処の?」
「おまえん家の近くの。俺今そこに居るんだ」
「いいけど、どしたの?お金なら貸さないよ?」
「お前な・・・ま、いいけど。別に金じゃねーし。待ってるから」
それだけ言って電話を切ってしまった。
仕方なく私は上着を羽織って玄関へ向かう。
途中で母に声をかけた。
「おかーさん!ちょっとそこの公園まで行ってくる!」
「あら、何で?」
「クラスメイトに呼び出された!だいじょーぶお金は貸さないから!」
「よくわかってるわね、行ってらっしゃい」
うちから徒歩5分もしない所にある広い公園。
春は桜が綺麗で有名な場所。
「あ、サカキ」
「・・・アコ、悪いな呼び出して」
「別にいいって。で、何?」
心なしかサカキの顔がいつもより固い気がする。
「お前さ、彼氏出来たってマジ?」
「・・・・・やっぱ噂になってるんだ」
以前校門にエースが迎えに来てくれた時のことだろう。
「ってことはマジなんだな」
「や、彼氏は居ないよ」
「・・・・絶対、か?」
「絶対だけど」
「じゃあ言うけど」
「うん」
「俺、アコのこと好きだ」
自分の耳を、疑った。
目は真っ直ぐ私を見ている。
「ずっと好きだった。言えなかったけど。んでも男出来たって聞いてやべえって思って、俺」
「・・・・有難う、でも、ごめん」
「何でだよ!」
「私今彼氏とか作る気ないし、何ていうか、」
「ふざけんな、俺はずっと好きだったんだぞ」
「・・・それは、嬉しいけど、っ!」
言いかけたところで、目の前が暗くなる。
腕を引かれて抱きしめられたのだとわかった。
「俺と付き合えよアコ」
腕は腰に回されて、強い力に振りほどくことは不可能と悟った。
湧き上がる気持ちは恐怖と怒り、そして拒否。
嫌だ。
いやだいやだいやだ!
「やだ!離して」
拒絶の言葉を繰り出した途端、手で顔を上に向けさせられた。
そこにあるのは怒ったようなサカキ。
近づく顔に、何をされるのかわかってしまった。
いや、だ。
「やだ・・・・エースっ」
その瞬間、衝撃とともに拘束されていた身体は自由になった。
「・・・・・えー、す」
そこに居たのは間違いなくエースだ。
「何だよ・・・お前がアコの彼氏かよ。文句あんのか」
「欲しいモンは奪う。そんなの当然だし別に文句はねェよ」
「じゃあ黙ってろよ!」
「奪うんなら奪い返される覚悟も必要だよなァ?」
頬を押さえたサカキ。
顔は笑ってるけど目が笑ってないエース。
何が、起こったのか。
「おら、奪ってみろよ」
「く・・・・っそおおおお!!!」
サカキはそう叫んで走って行った。
「無事か?アコ、アイツに何もされてねェだろうな?」
エースは逃げていくクラスメイトを見送ってから私のほうへと駆け寄ってくれた。
そして、
ぎゅ、と
優しく抱きしめてくれて。
それが何だか安心して。
嬉しくさえあった。
「エース、何で、寝てたのに」
「アコが行った後すぐ起きた。したらいねェからよ・・・おふくろさんに聞いたら男に呼び出されて出て行ったって言うから」
「心配して来てくれたの?」
「・・・まァな」
「有難うね、助かった」
「よし、今日の夕飯のおかず1品くれてもいいぜ」
「・・・・・・・あげましょう」
「よっしゃ!」
空気読め。
・・・・少しだけがっくりしながら、
私は自分の気持ちに気づいてしまった。
さっき無意識に呼んでいた名前に、
安心出来るその体温に。
+気づいちゃった 終+
もうすぐエースの誕生日、か。
何あげたら喜ぶんだろ。
・・・・肉?
や、でも残るものあげたいしな。
・・・・その時まだエースが居るなら。
うーん、どうしたもんか。
お昼ごはんを食べてる最中、
いつものように寝ているエースの寝顔を見ながら私は考える。
すると突然、携帯が着信を知らせた。
このメロディはメールではなく電話だ。
「もしもしー」
「アコ?俺だけど」
「名前を言いなさい名前を。オレオレ詐欺かって」
「わり、サカキだけど、今から公園来れないか?」
サカキはクラスの中でも割と仲のいい男子だ。
「公園、って何処の?」
「おまえん家の近くの。俺今そこに居るんだ」
「いいけど、どしたの?お金なら貸さないよ?」
「お前な・・・ま、いいけど。別に金じゃねーし。待ってるから」
それだけ言って電話を切ってしまった。
仕方なく私は上着を羽織って玄関へ向かう。
途中で母に声をかけた。
「おかーさん!ちょっとそこの公園まで行ってくる!」
「あら、何で?」
「クラスメイトに呼び出された!だいじょーぶお金は貸さないから!」
「よくわかってるわね、行ってらっしゃい」
うちから徒歩5分もしない所にある広い公園。
春は桜が綺麗で有名な場所。
「あ、サカキ」
「・・・アコ、悪いな呼び出して」
「別にいいって。で、何?」
心なしかサカキの顔がいつもより固い気がする。
「お前さ、彼氏出来たってマジ?」
「・・・・・やっぱ噂になってるんだ」
以前校門にエースが迎えに来てくれた時のことだろう。
「ってことはマジなんだな」
「や、彼氏は居ないよ」
「・・・・絶対、か?」
「絶対だけど」
「じゃあ言うけど」
「うん」
「俺、アコのこと好きだ」
自分の耳を、疑った。
目は真っ直ぐ私を見ている。
「ずっと好きだった。言えなかったけど。んでも男出来たって聞いてやべえって思って、俺」
「・・・・有難う、でも、ごめん」
「何でだよ!」
「私今彼氏とか作る気ないし、何ていうか、」
「ふざけんな、俺はずっと好きだったんだぞ」
「・・・それは、嬉しいけど、っ!」
言いかけたところで、目の前が暗くなる。
腕を引かれて抱きしめられたのだとわかった。
「俺と付き合えよアコ」
腕は腰に回されて、強い力に振りほどくことは不可能と悟った。
湧き上がる気持ちは恐怖と怒り、そして拒否。
嫌だ。
いやだいやだいやだ!
「やだ!離して」
拒絶の言葉を繰り出した途端、手で顔を上に向けさせられた。
そこにあるのは怒ったようなサカキ。
近づく顔に、何をされるのかわかってしまった。
いや、だ。
「やだ・・・・エースっ」
その瞬間、衝撃とともに拘束されていた身体は自由になった。
「・・・・・えー、す」
そこに居たのは間違いなくエースだ。
「何だよ・・・お前がアコの彼氏かよ。文句あんのか」
「欲しいモンは奪う。そんなの当然だし別に文句はねェよ」
「じゃあ黙ってろよ!」
「奪うんなら奪い返される覚悟も必要だよなァ?」
頬を押さえたサカキ。
顔は笑ってるけど目が笑ってないエース。
何が、起こったのか。
「おら、奪ってみろよ」
「く・・・・っそおおおお!!!」
サカキはそう叫んで走って行った。
「無事か?アコ、アイツに何もされてねェだろうな?」
エースは逃げていくクラスメイトを見送ってから私のほうへと駆け寄ってくれた。
そして、
ぎゅ、と
優しく抱きしめてくれて。
それが何だか安心して。
嬉しくさえあった。
「エース、何で、寝てたのに」
「アコが行った後すぐ起きた。したらいねェからよ・・・おふくろさんに聞いたら男に呼び出されて出て行ったって言うから」
「心配して来てくれたの?」
「・・・まァな」
「有難うね、助かった」
「よし、今日の夕飯のおかず1品くれてもいいぜ」
「・・・・・・・あげましょう」
「よっしゃ!」
空気読め。
・・・・少しだけがっくりしながら、
私は自分の気持ちに気づいてしまった。
さっき無意識に呼んでいた名前に、
安心出来るその体温に。
+気づいちゃった 終+