僕ときみと
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聞き間違いかと思った。
それ程に一瞬で、
それ程に信じられない。
エース隊長が好きだと言って、
私の名前を呼んだこと。
「わ・・・・・私、ですか・・・・?」
「迷惑か?」
驚く私に寂しそうなエース隊長の笑み。
慌てて首を横にぶんぶんと振るけど、
言葉が出てこない。
私だって・・・私だってずっと好きだったのに。
私も好きです、って言うだけなのに。
「あ・・・・っあのわた・・・わたし・・・」
私、も。
「あー・・・・いきなりで驚かせちまったよな、悪ィ」
エース隊長はいつものように私の頭をぽんぽんと軽く叩いてあやすようにした後、
「返事は今でなくていい。よく考えてくれ」
「は・・・・い・・・・」
考えるまでもなく好きなのに、言えばいいだけなのに。
「じゃ帰るか、モビーに。・・・頼むから避けたりすんなよな?」
こくこくと頷くしか出来ない私をどう思ったのか、
控えめに手が重なった。
「馬鹿」
「・・・・・・・うん」
モビーに帰ったらエマが待ち構えていて、
エース隊長に失礼、と言いながら新しいエマの部屋まで連れて行かれた。
前の部屋よりは狭いなぁなんて思いながら部屋のことを色々聞こうとした矢先。
『エース隊長とどうだったの?』
と聞かれて、あるがままを話した結果の第一声。
・・・・でも仕方ないと思ってる。
私も馬鹿だなぁと思う。
「今日こそは本当におめでとうって言えると思ってたのよ」
「・・・・何で?」
「隊員の方々から聞いたの。今日エース隊長が告白するから2人きりにさせてやってくれって」
「あ、それでお誘い・・・・」
お誘い受けたから帰るわ、って。
「だから!今日はもっと喜んで帰って来るか、泊まりになって帰って来ないと思ってたのよ!?」
「・・・・・・・そっかぁ」
「のんきに呟かないで頂戴!」
「はいっ」
「私も好きですって言うだけのことでしょう!?何で言えなかったのよ馬鹿」
「馬鹿だよねえ私」
「・・・・本当に馬鹿」
「・・・・そんな何回も言わなくても」
ちょっと傷つく。
「アコ。貴女薔薇1本贈られる意味わかってないでしょう?」
「・・・・1本に意味なんかあるの?」
「あるのよ。1本の意味はね・・・一目惚れ、君しか居ない、よ」
思わずもらった薔薇に目を向けた。
・・・・この薔薇にそんな意味があったなんて。
「返事はいつするのよ」
「・・・・・えっと」
「今して来なさい今」
「今!?」
「エース隊長は待ってるのよ貴方の返事を」
「・・・・・そう、だけど」
・・・・ここまできて私は、まだ。
「ここまで来て何を迷ってるっていうの?」
「・・・・夢、みたいで」
「夢じゃないの、現実なの」
「こんなこと本当に起こるはずないって」
「・・・起こってるのよ、アコ」
「信じ、られなくて」
「信じなさい」
「付き合えてもすぐ飽きられちゃうんじゃないかとか」
「・・・・アコ」
はあ、とエマがため息を吐いた。
情けない、情けない本当に。
「エマ、」
「勝手にしなさい、もう」
付き合ってられないわ、とエマは出て行ってしまった。
「・・・・・・エマ」
・・・エース隊長にもいつかこんな風に見放されてしまうんじゃないかって。
・・・・エマにも本当に見放されてしまったら。
私は、1人。
たくさんの人の中に居ても1人。
・・・・・・・・1人は、怖い。
ざざん、ざざんと穏やかな波を見つめる。
朝も昼も夜も、ただひたすら海の側で勉強してきた。
ただ1人の人にもう1度会う為に。
会いたくて会いたくて、ただひたすら勉強した。
もう1度会えると信じて。
村の人たちには無理だと笑われた。
それでも頑張って頑張って。
・・・・大きい船が来て、
そこにあの人が居るのを見た時は信じられなかった。
そこでナース試験を受けて、
合格した時も。
モビーに入船して友達が出来た。
・・・また、エース隊長に会えて。
お話し出来て。
それだけでも奇跡みたいな話。
だからこれ以上幸せになるのが怖い。
・・・幸せ過ぎて怖いの、なんて。
何処のヒロインだよ私。
ホント、
「馬鹿だぁ・・・・」
呟いたひとり言に、
「何が馬鹿なんだ?」
・・・・質問が飛んできた。
「ええっ、えっエースたいちょ!」
「珍しいな、アコが1人で居るの」
「そ・・・そうでしょうか」
「いつもエマが隣に居るだろ」
「・・・・そう、ですね」
・・・・エマ、まだ怒ってるのかな。
「・・・喧嘩でもしたのか?」
喧嘩ならまだ良かった。
「・・・・呆れられちゃいました」
「なるほど、それで落ち込んでんのか」
「・・・はい」
「でも仲間だろ?」
「私が思ってるだけかもしれません」
「俺にはそう見えねェけどな」
「・・・有難う御座います」
エース隊長にそう言ってもらえるだけで少し心が軽くなるから不思議。
でも、
「でもいつかエース隊長にも呆れられるかもしれないです私」
「・・・どういう意味だよ」
「馬鹿なんです。臆病だし。・・・後ろしか向けない」
「・・・・そんで?」
「・・・・だから、その。一緒に居たら苛々したり」
「しねェよ。エマだってまだアコのこと考えてる。断言出来るぜ?」
「・・・・何故、ですか」
自信満々といったエース隊長の笑みに呆然と返す私。
「ここにアコが居るって教えてくれたのエマだからな」
「・・・・・えっ」
「臆病だとは思わねェけど。まあたまに変なとこで後ろ向きになるよなアコは」
「は・・・・はい・・・すみません・・・」
「俺は面白くて好きだけど」
「・・・・いつか、飽きられてしまうかも」
「お、前向きに考えてくれてんだな」
・・・・だって私は、
ずっと前から貴方のことが。
「・・・・エース隊長私・・・・っ」
好きだったんです。
+馬鹿 終+
それ程に一瞬で、
それ程に信じられない。
エース隊長が好きだと言って、
私の名前を呼んだこと。
「わ・・・・・私、ですか・・・・?」
「迷惑か?」
驚く私に寂しそうなエース隊長の笑み。
慌てて首を横にぶんぶんと振るけど、
言葉が出てこない。
私だって・・・私だってずっと好きだったのに。
私も好きです、って言うだけなのに。
「あ・・・・っあのわた・・・わたし・・・」
私、も。
「あー・・・・いきなりで驚かせちまったよな、悪ィ」
エース隊長はいつものように私の頭をぽんぽんと軽く叩いてあやすようにした後、
「返事は今でなくていい。よく考えてくれ」
「は・・・・い・・・・」
考えるまでもなく好きなのに、言えばいいだけなのに。
「じゃ帰るか、モビーに。・・・頼むから避けたりすんなよな?」
こくこくと頷くしか出来ない私をどう思ったのか、
控えめに手が重なった。
「馬鹿」
「・・・・・・・うん」
モビーに帰ったらエマが待ち構えていて、
エース隊長に失礼、と言いながら新しいエマの部屋まで連れて行かれた。
前の部屋よりは狭いなぁなんて思いながら部屋のことを色々聞こうとした矢先。
『エース隊長とどうだったの?』
と聞かれて、あるがままを話した結果の第一声。
・・・・でも仕方ないと思ってる。
私も馬鹿だなぁと思う。
「今日こそは本当におめでとうって言えると思ってたのよ」
「・・・・何で?」
「隊員の方々から聞いたの。今日エース隊長が告白するから2人きりにさせてやってくれって」
「あ、それでお誘い・・・・」
お誘い受けたから帰るわ、って。
「だから!今日はもっと喜んで帰って来るか、泊まりになって帰って来ないと思ってたのよ!?」
「・・・・・・・そっかぁ」
「のんきに呟かないで頂戴!」
「はいっ」
「私も好きですって言うだけのことでしょう!?何で言えなかったのよ馬鹿」
「馬鹿だよねえ私」
「・・・・本当に馬鹿」
「・・・・そんな何回も言わなくても」
ちょっと傷つく。
「アコ。貴女薔薇1本贈られる意味わかってないでしょう?」
「・・・・1本に意味なんかあるの?」
「あるのよ。1本の意味はね・・・一目惚れ、君しか居ない、よ」
思わずもらった薔薇に目を向けた。
・・・・この薔薇にそんな意味があったなんて。
「返事はいつするのよ」
「・・・・・えっと」
「今して来なさい今」
「今!?」
「エース隊長は待ってるのよ貴方の返事を」
「・・・・・そう、だけど」
・・・・ここまできて私は、まだ。
「ここまで来て何を迷ってるっていうの?」
「・・・・夢、みたいで」
「夢じゃないの、現実なの」
「こんなこと本当に起こるはずないって」
「・・・起こってるのよ、アコ」
「信じ、られなくて」
「信じなさい」
「付き合えてもすぐ飽きられちゃうんじゃないかとか」
「・・・・アコ」
はあ、とエマがため息を吐いた。
情けない、情けない本当に。
「エマ、」
「勝手にしなさい、もう」
付き合ってられないわ、とエマは出て行ってしまった。
「・・・・・・エマ」
・・・エース隊長にもいつかこんな風に見放されてしまうんじゃないかって。
・・・・エマにも本当に見放されてしまったら。
私は、1人。
たくさんの人の中に居ても1人。
・・・・・・・・1人は、怖い。
ざざん、ざざんと穏やかな波を見つめる。
朝も昼も夜も、ただひたすら海の側で勉強してきた。
ただ1人の人にもう1度会う為に。
会いたくて会いたくて、ただひたすら勉強した。
もう1度会えると信じて。
村の人たちには無理だと笑われた。
それでも頑張って頑張って。
・・・・大きい船が来て、
そこにあの人が居るのを見た時は信じられなかった。
そこでナース試験を受けて、
合格した時も。
モビーに入船して友達が出来た。
・・・また、エース隊長に会えて。
お話し出来て。
それだけでも奇跡みたいな話。
だからこれ以上幸せになるのが怖い。
・・・幸せ過ぎて怖いの、なんて。
何処のヒロインだよ私。
ホント、
「馬鹿だぁ・・・・」
呟いたひとり言に、
「何が馬鹿なんだ?」
・・・・質問が飛んできた。
「ええっ、えっエースたいちょ!」
「珍しいな、アコが1人で居るの」
「そ・・・そうでしょうか」
「いつもエマが隣に居るだろ」
「・・・・そう、ですね」
・・・・エマ、まだ怒ってるのかな。
「・・・喧嘩でもしたのか?」
喧嘩ならまだ良かった。
「・・・・呆れられちゃいました」
「なるほど、それで落ち込んでんのか」
「・・・はい」
「でも仲間だろ?」
「私が思ってるだけかもしれません」
「俺にはそう見えねェけどな」
「・・・有難う御座います」
エース隊長にそう言ってもらえるだけで少し心が軽くなるから不思議。
でも、
「でもいつかエース隊長にも呆れられるかもしれないです私」
「・・・どういう意味だよ」
「馬鹿なんです。臆病だし。・・・後ろしか向けない」
「・・・・そんで?」
「・・・・だから、その。一緒に居たら苛々したり」
「しねェよ。エマだってまだアコのこと考えてる。断言出来るぜ?」
「・・・・何故、ですか」
自信満々といったエース隊長の笑みに呆然と返す私。
「ここにアコが居るって教えてくれたのエマだからな」
「・・・・・えっ」
「臆病だとは思わねェけど。まあたまに変なとこで後ろ向きになるよなアコは」
「は・・・・はい・・・すみません・・・」
「俺は面白くて好きだけど」
「・・・・いつか、飽きられてしまうかも」
「お、前向きに考えてくれてんだな」
・・・・だって私は、
ずっと前から貴方のことが。
「・・・・エース隊長私・・・・っ」
好きだったんです。
+馬鹿 終+