僕ときみと
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「実際どうなの?マルコ隊長と」
「何もないわ」
「・・・・何もないの?」
「ある訳ないでしょう?」
マルコ隊長と最近良い感じな気がしてエマに聞いてみたんだけど。
エマの反応は全然。
「まだ怖い?」
「以前ほどの恐怖はないわ。・・・それでも苦手であることに変わりはないの」
「そっか・・・・」
船は2日後に島に着くらしい。
今のところエマの様子に変わりはない。
・・・・でももし、
エマとマルコ隊長に何かがあって、
マルコ隊長がエマにとって心残りになってくれたらいいのに、と思ってたんだけど。
無理かぁ、残念。
「まさかアコ、マルコ隊長に心変わり?」
「私はエース隊長一筋。でも何か最近マルコ隊長優しい気がして」
「そりゃあお人好しな貴方たち2人と居れば感化されるわ」
「・・・褒めてる?」
「さあ、どうかしら」
くす、と笑うエマに私も笑った。
あれからエマに対する周りの態度も軟化してきてるし、
私の気持ちも伝えたし。
・・・・あとはその日を迎えるだけ。
「じゃあ私行って来るね」
「ええ、行ってらっしゃい」
「そしたらサッチ隊長が張り切っちゃって」
「やだ、単純ねえ」
医務室には相変わらず怪我人が来ることはほぼなく、
雑談で盛り上がる。
「邪魔するぜ」
そんな中急に現れた、
「あらエース隊長」
「エース隊長!?どうされました!?まままさか怪我を!?」
「いや、アコ借りて行ってもいいか?」
私!?
「ええ、お好きなだけ」
「え、あの」
「悪ィな、借りてくぜ」
そう言ってニヒルな笑みを浮かべたエース隊長は私の手を取った。
引っ張られるまま部屋を出たところでぱっと手が離れて、
「わっ私何かしましたか!?それともエマにまた何か!?」
怖くなって聞いてみたら、
「オヤジが呼んでんだ」
とのこと。
オヤジ・・・・って、
「船長が・・・・私を、ですか?」
それはそれで大変だ!
「わわ私お叱りを受けるんでしょうか・・・・!?」
「そういうんじゃないと思うぜ?俺も一緒だし」
「・・・エース隊長も?」
「あァ。それに機嫌良さそうだったし大丈夫だろ」
「エース隊長がご一緒して下さるなら心強いです」
ほっと肩を撫で下ろした。
そんな私を見てエース隊長が笑った。
「そんな緊張しなくて大丈夫だ、オヤジは怖くねェよ」
「怖い訳では・・・・ただすごい方なのに、優しくて大きいから・・・あったかいから」
「・・・・から?」
「つい甘えてしまいそうになるんです」
「甘えたらいいんじゃねェ?」
「へ?」
「オヤジも喜ぶぜ、きっと」
「は、はい・・・・」
それからエース隊長は悪戯っ子のような笑みを浮かべて私を見て、
「怖がってんなら手繋いでやろうと思ってたんだけどな」
「てっ」
手を!
繋いで欲しかった・・・・!
さっき離しちゃった私の馬鹿。
残念がってる間に船長のところへ到着。
「オヤジーアコ連れてきたぜ」
「しっ失礼します・・・・」
恐る恐る入ったら、
「グラララ・・・2人仲良く来たな・・・・!」
久しぶりの船長の笑い声。
見上げた姿は変わらず大きい。
でもその瞳は、とても優しい。
「は・・・はい・・・・」
「わざわざすまなかったなァ、エース、アコ」
「何か用事か?オヤジ」
「明後日島に着くのは知ってるだろうな」
「はい、存じております」
「ああ、知ってる」
「・・・エマの様子はどうだ」
船長の口からエマの名前が出て驚いた。
「エマ・・・特に、何も」
「マルコに聞いたが知らねェとしか言わねぇ」
「エマのことならアコだよな」
「はい、ですが・・・・今はマルコ隊長やエース隊長のおかげで皆とも仲直り出来ましたし」
「飯は食ってるのか」
「はい、一緒に」
「グラララ・・・・そうか。それならいい」
嬉しそうに笑うお姿にこっちも嬉しくなる。
「それともう1つだ。アコ」
「は・・・はいっ」
「エースにあのことを伝えられたらしいな」
「はい・・・・おかげ様で・・・・!」
「あのこと?って何だよアコ」
「あの、エース隊長と以前にお会いしていたことを・・・・」
「・・・オヤジも知ってたのか」
「乗船の許可を頂く前にお話しを・・・・」
「俺の可愛い息子に会いてェと言われたら乗船を許可しない訳にいかねぇよ」
「船長には・・・感謝しかありません・・・・」
「アコからそれを聞いて思い出したことがあるのさ。・・・・なあ、エース」
「・・・・俺?」
「あの時のお前の行動の意味がわかったってことだ・・・・グラララ・・・・!」
あの時?
「っオヤジ!」
「グラララ・・・!」
・・・・聞きたい!
この間エマも言ってた、エース隊長あの時・・・って。
「船長・・・!聞かせて頂けませんかそのお話し!」
「だそうだ、エース」
「別にたいした話しじゃねェぞ!?」
「聞かせて頂きたいです!・・・・船長、お願いします」
じっと船長の目を見つめたら船長は目を細めた。
「アコ、お前ェを拾った島に行く前の話しだ。どうしてもあの島に行きたいとエースが言ったのさ」
「オヤジ・・・・!」
少し怒ったようなエース隊長にどぎまぎしながらも、その答えに嬉しさがこみあげて来た。
「その理由はアコ、お前だったって訳だ」
「エース隊長・・・・」
「オヤジ!もう話は終わりだよな!?」
「ああ、構わねェよ」
「行こうぜアコ」
「うぁっはいっあの船長有難う御座いました!」
ぺこりとお辞儀して部屋を出て行く時、
やっぱり楽しそうに笑ってるのが見えた。
「・・・・あ、あのえっとエース隊長・・・」
すたすたと私より先に速足で前を行くエース隊長。
・・・怒ってらっしゃる?
「ったくオヤジ・・・」
「あ、あの私が無理にお聞きしたので・・・・すみません」
エース体長はくるりと振り向いて、
「別に怒ってる訳じゃねェからな。・・・カッコ悪ィことバラされて気まずいだけだ」
「わっ私は嬉しかったです。約束覚えてて下さったことがわかって・・・」
「・・・・そっか?」
「はい!・・・それであの、エース隊長にも・・・甘えてもいい、でしょうか」
船長に甘えてみて、甘えることの楽しさを知った私。
勇気を出して。
「お、珍しいな。何でも言えよ」
「・・・・手、繋ぎたい・・・・です」
よ・・・よし!言った!
エース隊長はピタ、と足を止めて。
わざわざ私のところまで戻って来てくれた。
そしてゆっくり優しく手が、
重なった。
「このまま一緒につまみ食いでもしに行くか?」
「・・・・行きたいです!」
怒られましょう、貴方となら。
行きましょう、何処までも。
そうして厨房に向かった私たちが見たのは、
マルコ隊長とエマの姿だった。
+2人 終+