僕ときみと
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「好きって言うだけでしょ?」
「・・・・・そうなんだけど」
告白しますと宣言してから3日。
・・・・機会は何度もあるものの、
好き、と伝えられないでいる。
「しっかりしてよね、私が居なくなったらどうするつもり?」
憤慨した様子のエマの口から告げられた言葉に、胸が痛んだ。
「・・・・・エマ」
次の島で、モビーを降りるつかもり・・・・なのかな。
「・・・・何?」
「・・・・・・・ううん」
側に居て、って言えればいいんだけど。
今まで辛い思いをしてきたエマを束縛したくない。
・・・・・エース隊長に好きとも言えてないし。
情けない。
「そういえば、アコ?」
不意にエマがにっこりと微笑みかけてきた。
「・・・・どうかした?」
「私さっきエース隊長のお部屋にお邪魔したの」
「そ・・・そうなの?」
「渡す書類があったのよ。・・・その時、大事なものを落としてしまったみたいなの」
「え、大変。何?」
エマの手にブレスははまってる。
ブレスじゃない大事な物?
「エース隊長のお部屋に行けばわかるわ、きっと。・・・お願いしてもいい?」
・・・・っこ、これは!
私にチャンスを与えてくれてる!
「行って来ます!」
気合を入れてエース隊長の部屋に向かった。
・・・・・告白!
の前にエマのこともあるんだよなぁ、としみじみ感じながらエース隊長のお部屋の前。
コンコン、と軽くノックして。
「エース隊長、アコです」
声をかけてすぐドアが開いた。
「お、どうした?」
笑顔のエース隊長のお出迎えにほっとしながら、
「あの・・・エマが先ほど落とし物したみたいで」
早速本題に入った。
「ああ、アレな。ちょっと待ってろよ?」
「あ、はい」
エース隊長はすぐにわかったみたいで。
「コレだろ?」
「え・・・・・」
エース隊長が持ってきて下さったそれは、
私とお揃いの、エマのヘアピン。
「違ったか?」
「エマ・・・・何を落としたのか言ってくれてなくて」
大事なもの、とだけ。
・・・・だったから。
まさか、これなんて。
「俺の部屋にあるもので俺のモン以外のはこれだけだな」
・・・・嬉しい。
「有難う御座います・・・・!」
「嬉しそうだな?」
「エマ、大事な物を落としたって言ってたんです。それだって思わなくて」
「ははっ、なるほど」
「・・・なるほど、とは?」
エース隊長のなるほど、が気になって質問してみたら、
「アコ時間あるか?」
「え、はい」
「話したいこともあるし、中入らねェ?」
まさかのお誘い!!
「よっよろしいのですか!?」
「おう、入れって」
「お邪魔します!」
遠慮なく!!
ああっエース隊長のお部屋!
「その辺適当に座っていいぜ」
「失礼します・・・」
失礼してベッドに座らせて頂いた。
エース隊長の匂い・・・・幸せ。
「茶もなくて悪ィけどよ」
「お構いなく!!」
エース隊長と居られるだけで幸せです!
「それで、さっきの続きだけどな」
「はいっ」
「エマが俺の部屋から出る時、言ったんだ」
「・・・・何て、ですか?」
「私がこの部屋に落とし物をしているかもしれませんが、見つけても届けて下さらなくて結構です、ってよ」
「それって・・・・」
「最初からアコに取りに来させるつもりだったってことだよな」
そして、落としたものをエマは大事な物、って言った。
私が取りに行くのに。
「エマ・・・こんなに優しいのに」
「のに?・・・何かあんのか?」
エース隊長が怪訝な顔をしたので、私は苦笑した。
「まだエマに対する風当たりは弱まってません。エマ自身も裏切者だからって譲らないですし・・・」
「そっか・・・・ったく、仕方ねェな」
「このままじゃエマ・・・・」
「・・・・船降りちまう、か」
「・・・・かもしれない、って私」
私の不安を言い当てたエース隊長は、少しだけ寂しそうに微笑んだ。
「言わねェの?降りないでくれって」
「・・・・エマの気持ちを大事にしたいんです」
エマは優しいから。
・・・・優しいから苦しめたくない。
「仲間なんじゃねェの?」
「それは・・・・」
「言うだけ言ってもいいと思うぜ?」
「・・・・そう、なんですけど・・・・」
素直に頷けない私の頭をエース隊長は優しく撫でてくれた。
「いっつも前向きなのにたまに変なとこで後ろ向きになんのな、アコ」
言われて驚いた。
「わっ私前向きですか!?」
「自覚ねェのか?面白いな」
私自分では哀しいくらい後ろ向きだと思ってたから。
「私・・・言ってもいいんでしょうか」
「逆に考えてみろよ。エマの気持ち」
エマの、気持ち。
・・・・私がエマだったら。
「・・・・・嬉しいですけど、居たくない・・・・・かも」
「居たくない理由は?」
「迷惑、かけたくない・・・」
これ以上私のせいで傷ついて欲しくない、大事だから。
「そういう奴にはどうしたらいいかわかるか?」
「・・・・・わかりません」
考えたけど見当がつかなかった。
何を言ったって・・・・言われたって私は頑なになると思う。
側に居て欲しいと言ってくれる人が大切なら大切な程。
私はエース隊長の答えを待った。
エース隊長は歯を見せて笑った。
「俺ならいいから側に居ろって言ってぶん殴る」
答えを聞いて数秒、ぽかんと口が開いたまま閉じることが出来なかった。
「あ・・・・・あははっ!!エース隊長らしいお答えですね!」
「それくらい強引にいかなきゃ駄目ってことだ。出来そうか?」
「頑張ります。気持ちは伝えないと、ですね」
「あァ、アコとエマなら大丈夫だ」
「はいっ」
立ち上がった私にエース隊長が、
拳を突き出してくれた。
私も同じようにぐーにした手をこつんと合わせて。
「まずエース隊長に、言わせて下さい」
「ん?」
「いつも有難う御座います、大好きです」
今はまだ、これが私の精一杯の告白。
許してね、エマ。
「ああ、俺もだ」
「・・・・え!?」
「おら、行って来い!」
「は・・・・はい!行ってまいります!!」
エース隊長の満面の笑みに見送られて、
私は部屋を出た。
・・・・・顔、熱い。
「・・・ただいま、エマ」
「おかえりなさい。・・・あったかしら?」
「これ、かな」
私が差し出したヘアピンをエマは嬉しそうに受け取った。
「ええ、これ。探してたの」
「・・・・ねえ、エマ」
「なあに?エース隊長に告白でもしてきた?」
「・・・・ヘアピンを大事なものって言ってくれて嬉しいけど、ピンより・・・私を大事にして?」
「・・・・何のことかしら」
強張ったエマの身体をぎゅっと抱きしめた。
「エマのことが大好きで、エマが居ないと告白も出来ない私を大事にしてね、ってお願い」
「・・・アコは大丈夫よ」
エマの震えた声の大丈夫。
それが、私なんかいない方が、に聞こえた。
哀しくなって、
「ひゃっ、ひゃひふうほ!?」
エマの頬を両手で引っ張った。
「つべこべ言わずに側に居て!・・・・エマなんか大好き」
「・・・・アコ」
「大好き。大好き。・・・・・エマが居なくなったら寂しい。毎日泣いてやるから」
「・・・ひどいわ」
「だって大好きなんだもん」
「本当にもう・・・仕方ないわねアコったら。・・・有難う」
「・・・・うん」
「まだ決めてないのよ、本当に。でも忘れないわアコの言葉」
「エマ・・・・」
柔らかい笑みを浮かべていたエマの顔が、
そこから一変した。
「ところで。せっかく私が作ってあげたチャンス無駄にしてないでしょうね?」
「え・・・・・・・・っとぉ」
「進展がなかったなんて言わせなくてよ?」
「・・・・・・・・・・大好きとは言ったよ」
「私と同じでどうするのよ」
「・・・・・・・・・・・すみません」
「ホントに私が居ないと駄目ねアコは」
なんて言いながらも嬉しそうなエマが、
やっぱり好きだなぁと思ったのでした。
船が次の島に着くまであと1週間ほどだと、
私は後で知ったんだけど。
+考えても考えても 終+