僕ときみと
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「マルコとエマが言ってた意味、教えろよアコ」
「あ・・・・えと」
・・・・・マルコ隊長とエマ2人で何してくれるの。
「なぁ、アコ」
不機嫌そうなエース隊長に軽く睨まれて、
私は動けない。
わかってる。
エマとマルコ隊長がチャンスをくれたって。
言うなら、今。
・・・わかってるのに、
言葉が出ない。
「・・・・アコ?」
何も言わない私にエース隊長の声が、痛い。
私いつからこんな弱虫になった?
数年前は平気でエース隊長の船に乗り込むくらいだったのに。
今は、過去のこと1つ言えないなんて。
「・・・・わたし」
「・・・言いたくねェんなら無理して言わなくていい、悪かった」
「いいえ、私・・・ずっと言いたいって思ってたんです」
「・・・・俺に?」
「はい。・・・・でも、ダメですね。お話ししたいのに、勇気、出なくて・・・っ」
泣きそうだけど、
泣かないように無理やり笑ったら、
ぎゅ、っと手が包まれた。
エース隊長の優しくて大きな手に。
「出たか?勇気」
にし、と笑う。
・・・・ただ、それだけで。
こんなにも、
「・・・・っはい」
・・・・こんなにも勇気、出た。
「嫌なことなら話さなくていい。でも話したいんならどんなことでも聞いてやるから」
ゆっくり話せよ、な?と。
・・・・その笑顔に心がほどけていく。
「私・・・会いたかったんです、エース隊長に」
「ああ、サンキュ」
・・・きっとエース隊長はわかってない。
だから、言わないと。
「私の作った料理を食べてくれて、助けてくれて。私の生きる道を作って下さったんです」
「アコの生きる道はアコが自分で作ったんだろ?」
「いえ、あの時エース隊長が来て下さらなかったら・・・私は今ここに居ません」
「・・・そっか?」
「エース隊長は覚えてらっしゃらないかもしれませんが・・・・・!私・・・・」
私はずっと貴方に会いたくて。
この船のナースになる為に必死に勉強してきた。
ずっと、お礼を言いたくて。
・・・・・好きです、って言いたくて。
「ああ、あん時の飯美味かったな」
「・・・・・・・・・・・・・・・・え?」
「また作ってくれよ。1回しか食えなかったけどアコの味好きだぜ俺」
「・・・・エース、隊長?」
「ん?」
エース隊長のきょとん顔。
・・・・あの時のご飯、って。
私モビーに来てからエース隊長にご飯作って差し上げたこと、ない。
「3年、前・・・・」
もしかして、もしかして。
「約束。したもんな」
「・・・・っあの時、船、で」
「しっかり勉強したんだな。偉いなアコは」
「・・・・・っ私のこと、覚えて・・・」
「飯食わせてもらったお礼に海軍ぶっ飛ばした。・・・船の上で、約束しただろ?」
「は・・・・・・・はい・・・・」
嘘。
・・・・エース隊長、私のこと覚えてて下さった・・・・?
「俺は覚えてた。初めてだなって言わなかっただろ?」
「・・・・あ」
そう言えば、確かに。
うっかり相変わらずよく食べますねって言った時も・・・何も言わなかった。
普通なら相変わらず、の意味を聞くはずなのに。
・・・・じゃあ今まで、ずっと。
「ずっと私のこと覚えてて・・・・」
「アコが何も言わねェから言わない方がいいのかと思ってた黙ってたんだけどな」
そして今度こそ、涙が溢れた。
「わっわたし・・・・ずっと・・・っこわかっ・・・」
ここまで来て本当の気持ちがわかった。
私、やっぱり怖かった。
覚悟して来たつもりでも。
エース隊長に覚えてないと言われることが。
・・・怖くて、言えなかったんだって。
「・・・・悪かった、言えなくて」
「ちがっ、エース隊長は悪くないんです、悪いのは駄目な私です・・・!」
「駄目じゃねェよ。ちゃんと知識つけて来ただろ?俺んとこに」
「・・・っはい」
「また会えて嬉しかったんだぜ」
ぽんぽん、と優しく頭を撫でてくれたエース隊長に、
ますます涙は止まらない。
「私も・・・嬉しかったです・・・っ」
「強くなったよな、アコ」
「そんなこと・・・」
「前ん時より笑顔も増えたし。可愛くなった」
さらりと言われた台詞が頭に入ったのは数秒後。
・・・・・かわいくなった。
・・・・・・・・・・可愛くなった!?
「ええええエース隊長もとっても素敵になっておられます!!」
「そっか?ありがとな」
はああっどうしよう!!
何かもうどうしよう!!
パニック!!!!
「話し、聞かせてくれよアコ」
「は・・・話しですか?」
「俺が居なくなってから・・・・ここに来るまでの話し」
「は・・・はいっ」
「幸せそうね」
「とーっても!!」
「たくさん話したのね。声がかすれてるわ」
エマが言いながらのど飴をくれた。
「有難うエマ」
喜んでそれを口に放り込んだら、
「・・・ほんとに疑わないのね」
エマは呆れ顔。
「・・・・何を?」
「それが本当にのど飴か確かめた?匂いとか形とか、まったく逡巡すらしなかったじゃない」
「必要ある?友達がのど飴くれただけなのに」
漢方の味はするけど、喉に効いてる気がすっごくする、この飴。
「私が敵なら今頃死んでたわよ?」
「私は信じた人からもらったものじゃないと食べないもん」
「・・・敵を信じてたら食べるのね?」
「うん、そうだね」
「・・・・馬鹿ね」
「何て言われてもいいの。今幸せだから」
「ほんとね、間抜け面」
「・・・・エマ酷い」
「あら、何て言われてもいいんでしょう?」
「・・・・・そうだけど」
・・・・でもちょっと悲しい。
凹んだら、くすりと笑い声が聞こえた。
「冗談よ。・・・幸せそうで良かったわ。言えたのね、ついに」
「うん。頑張った」
「そう。じゃあ私は邪魔になるわね」
ほっとしたような、でも何処か寂しそうなエマに首を傾げた。
・・・・エマが邪魔?
「・・・・何で?」
「何で、って・・・ラブラブな2人の邪魔する訳にはいかないわ」
「ラブラブ!?」
「・・・って、ちょっとアコ。どういうこと?」
途端エマの顔色が変わった。
「え、だって」
「だってじゃないでしょ!?じゃあ何話したのよ!?好きだって言ったんじゃないの!?」
「・・・・・・以前会ったってことだけしか」
お話ししてません。
「・・・何のために私がマルコ隊長と居なくなったと思ってるのよ、もう」
「申し訳御座いません・・・・っ!」
本当に、本当に大変だったと思う。
辛かったと思う。
そこまでしてくれたのに私は・・・・!
「・・・・3年前のこと覚えててくれただけで満足しちゃって・・・・」
「じゃあ次の目標は?」
「こっ・・・・告白・・・・します」
「それでいいわ。・・・・本当に、願ってるのよ貴方の幸せを」
「私も」
「・・・・どういうこと?」
「エマの幸せを願ってるよ、心から」
「・・・そう思うなら、次の島に着く前にさっさと告白して欲しいものね」
「・・・・頑張ります」
ふふ、と笑ったエマが可愛くて。
「大好きだよ、エマ」
「馬鹿ね、私に言ってどうするの。エース隊長に言わなくちゃ駄目よ?」
「・・・・うん。でも、大好き」
エマになら、言えるのになぁ。
+本当は私、ずっと 終+