僕ときみと
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「私が住んでた島はね、海軍に支配されてたの」
「支配?保護じゃなくて?」
「保護って名目の支配だったよあれは」
「・・・・どういうこと?」
エマに荷物を戻してもらって、
寝る前のおしゃべり。
私とエース隊長の出会った時のことを聞きたいってエマが言うので。
恥ずかしながらも思い出なんかを少々。
「この島は狙われてるから、守ってやる。ただし金寄越せ、だよ?」
「それを信じたの?」
「異論を唱えた人は皆行方不明になった」
「・・・・そう」
「稼いだお金はほとんどが海軍の懐行き。皆笑うこともなくなって行ったし」
何で生きてるんだっけ、と考えるようになった。
ただ死なない為に生きてた。
それだけだった。皆つまらなさそうに歩くだけ。
「ねえ、アコ。・・・・狙われてるって、ホントは」
「うん、嘘。まあいつ何処から狙われるかわからないのは本当だろうけど」
このご時世だもの、海賊だけじゃない。
いつどんなところから誰に狙われるかなんてわかったもんじゃないのは事実。
「それで皆言われるがまま?」
「海軍に逆らっても仕方ないって。だから私が逆らうと思ったの」
「何したの?」
「島から出ることは禁止だったから、逃げてやろうと思って」
「そこでエース隊長に出会ったのね?」
「・・・ただ逃げるのも癪じゃない?」
「アコ?あなたまさか、」
「海軍ぶん殴って逃げてやろうかと思って」
てへ、と笑ったらエマがため息を吐いた。
「よく生きてるわね・・・すごいわ」
「私も色々考えたんだよ?・・・考えてる時にエース隊長が来たの」
「来たの?」
「仲間とはぐれた、ってお1人で。海賊であることは何となくわかったから匿ったの、私の家に」
「・・・・よくやるわ」
自分が殺されるかもしれなかったのに、とエマは言う。
「海軍が憎かったから。ざまあみろっていうのが最初」
だから殺されてもいいと思ってた。
でも、彼は私が作った料理を美味しそうに食べて、
私の話しを聞いてくれた。
「エース隊長の笑顔見て、ああ人ってこんな風に笑えるんだ。私もまたこんな風に笑って生きたいって」
思うようになった。
「次の日起きたらエース隊長は居なくて、探しに行ったら島を支配してた海軍が皆燃えてた」
「・・・・さすがね」
「飯の礼だ、って。お前もこれから笑って生きろよって」
「それで終わり?」
「・・・島の人がお礼にって出した船でエース隊長はお帰りになられたんだけど、実は私その船に乗り込んだの」
「思い切ったわね・・・・」
「我ながらすごいと思う」
今なら出来なかったと思う。
あの時はただ必死だった。
『私も一緒に行きたいんです』
『じゃあもっと海のこと知っておいた方がいいぜ。今はまだ駄目だ』
思い出す、あの時の穏やかな波。
・・・あの時のエース隊長の優しい笑顔。
『ご飯ったくさん作りますから私!』
『ははっ有難ェけどそれだけじゃなァ。怪我や病気もあるし』
『じゃあ・・・!じゃあ私が医学の知識身に着けたら、また・・・会えますか?』
『お、言ったな?じゃあその頃また来る』
「そう約束して、私は3年間必死で勉強して現在に至ります」
「・・・・・そういえばあの時」
「・・・あの時?」
「・・・何でもないわ。それでその時の人がエース隊長だっていうのは知ってたの?」
あ、またエマ何か隠してる。
・・・・でも今は嬉しそうな感じだから、いっか。
「ううん、1年後に新聞で見て知ったの。白ひげ海賊団の人だってことも」
私と会った時はそうじゃなかったみたいだけど。
「そこまで頑張ったのにいまだに好きって言えないの?」
「・・・・スミマセン」
「まったく世話が焼けるわね」
じろりと睨まれたけど、悪意がなくて、
ああこれが本当のエマなんだと思うと少し嬉しい。
「ふぁ・・・眠くなってきたね・・・」
「もう寝ましょ。それよりアコ、覚悟しておくのね明日から」
「・・・覚悟?」
「明日になればわかるわ。・・・おやすみなさい」
「・・・おやすみエマ」
目を閉じて、覚悟について考えて見たけど、
わからないまま朝を迎えてしまった。
「おはようエマ、朝ごはん行こ」
「・・・そうね」
そして食堂に行って初めてエマの言葉の意味がわかった。
「おい裏切者が一緒に飯食おうとしてるぜ」
「やだ、図々しい。アコも何で隣に居るのかしら」
・・・聞こえて来るエマに対する非難の声。
「言ったでしょう?」
私は裏切者なのよ、とエマはパンをぱくり。
「・・・・そ、っか」
呆然と呟いた瞬間エマが隣で席を立った。
「何処行くの!?」
「席を離れるのよ。隣に居たらアコだって無事じゃないことくらいわかるでしょう?」
「行かなくていいよ。一緒に食べよう」
「じゃあ俺アコの隣な」
引き留めた私の隣に座ったのは、
「エース隊長・・・っおはよう御座います・・・っ!!」
朝から素敵なエース隊長・・・っ!
「はよ。エマと仲直り出来たみてェだな?」
私がそれに返事をしようとした時、立ったままだったエマがエース隊長に近づいて。
「先日は数々の無礼を申し訳御座いませんでした。・・・アコのこと、よろしくお願いしますね」
「エマ!?」
エマはそう言って頭を下げた後、自分の分の食事を持って離れた席に座ってしまった。
「・・・・なるほど。で、どうすんだアコ?」
「1人にさせるなんて仲間じゃありません!」
私も立ち上がって、朝食と一緒にエマの隣に急いだ。
すると、
「同感だな」
エース隊長も。
「せっかくのチャンスを・・・何やってるのよアコ」
「今はエマと一緒にご飯が食べたいの」
「・・・馬鹿ね」
「別に普通だよな?アコ。仲間と飯食うだけだろ」
「はい、普通です」
エマににっこり笑いかけたところで、私とエマ・・・エース隊長まで固まった。
「今日は混んでるよい」
そう言ってエマの隣に座った人に。
「まっ・・・・・!!」
・・・・いや今日全然混んでませんけど!?
席空いてますけど!?
「素直じゃねェなァマルコも」
「・・・何のことだかわからねェよい」
しれっとしてるけど、マルコ隊長優しい。
「・・・1番隊と2番隊の隊長お二方が裏切者と一緒に食事すると示しがつかないんじゃありません?」
「何処で飯食おうが俺の勝手だよい」
「飯食ってるだけだもんな俺ら」
「それにエマ裏切ってなんかないし」
今考えると、エマはいつでも私の為に動いてくれてた。
そんな気がする。
「何言ってるのよ、アコ。私は、」
「船長に薬も盛ってないし流した情報はほとんどが嘘」
わざわざ私とエース隊長が居ない時を狙って船を襲わせたのは私の為。
・・・だと思ってる。
「・・・アコ・・・・貴女ってホントに」
「ん?」
「・・・・卵焼き1個あげるわ」
「やった!ありがと!」
「アコはエマと居る時が1番楽しそうだよな」
卵焼きに喜ぶ私にエース隊長が笑った。
はっ恥ずかしい・・・・!
「あら、違いますわエース隊長。1番は私じゃありません」
「へーそうなのか?」
「ええ。そう思いません?マルコ隊長」
え・・・エマがマルコ隊長に親し気に話しかけている!?
「まったくだよい」
「え・・・エマ!?」
「・・・2人とも何か知ってんな?」
「ええ、存じておりますわ」
「見てりゃわかるだろい」
「教えろよ俺にも」
「それはアコに聞いて下さいまし。・・・マルコ隊長お話しがありますのでよろしいでしょうか?」
「・・・仕方ないよい」
エマが・・・・!あのエマがマルコ隊長と2人きりに!?
って驚いてる場合じゃない!
「・・・・どういうことだよアコ」
案の定突っ込んできたエース隊長に。
・・・・・・何て説明したらいいの?
+覚悟色々 終+