僕ときみと
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「お願いしますマルコ隊長」
「駄目だよい」
エマの宝物を取り戻す為にコロコロ海賊団の本船に行こうと思うんだけど、
本船が何処にあるかわからないと知ったらマルコ隊長がもう関わるなと言い出した。
「でもエマが」
「1度は俺達を裏切った女だ。覚悟も出来てんだろい」
「・・・・エマが、泣いたんですよ」
「悪いが俺は女の涙は信用しねェんだよい」
・・・・マルコ隊長の言うことも理解できる。
エマ1人の為に今後の航路を勝手に変更することは出来ない。
「じゃあ、私1人で行きます」
「それも駄目だ。・・・行くんならこの船を降りる覚悟で行くことだい」
突き付けられた宣告に言い返せない程ショックを受けた。
・・・・この船を降りたら、もうエース隊長に会えなくなる。
でもこのままじゃエマの宝物は取り返せない。
「そもそも行ったところで罠だったらどうする?無駄死にだよい」
「言い過ぎだ、マルコ。ずっと同室だったアコの気持ちも考えろよ」
エース隊長のフォローも頭に入って来ない。
・・・・・・考えないと。何か、策を。
「諦めるって選択はねェのかよい」
「ありません。船は降りません、エマの宝物も取り返します。必ず」
言い切った瞬間ぽん、と肩に置かれた手。
「じゃあ俺が行く」
・・・エース隊長が私を見て安心しろ、と言うように笑みを浮かべた。
「エース隊長・・・ですが」
「俺ならストライカーもあるから自由に動けるし、モビーに帰って来れる」
「1人で行くつもりかい?相手が雑魚ばかりとは限らねェんだよい」
「心配いらねェよ、俺は負けねェ」
「そもそも場所がわからないんじゃ話しにならねェだろうが」
私のせいでマルコ隊長とエース隊長が口論になってる・・・何とかしないと・・・!
「あ・・・・あの・・・捕らえた何人かのうち誰かビブルカード持ってる可能性はありませんか?」
本船へとつながるビブルカード。
それがあれば。
「・・・なるほど。さすがアコ!」
「・・・・ったく、余計なことを」
ごめんなさいマルコ隊長。
でも私も海賊だから。
・・・・エース隊長に憧れているから、諦める訳にはいかないんです。
「ありました!」
もう海の底の可能性もある、と覚悟してたけど1人の荷物からそれは見つかった。
「やったなアコ!」
「はい!」
「これで文句ねェよなマルコ!」
「あとはオヤジの許可もらって来いよい」
「オヤジなら大丈夫だ、必ず見つけて来るからなアコ」
「・・・・・は、い」
エース隊長が行ってくれる。
それは嬉しい。・・・・・でも。
「じゃあ許可もらって来る」
「わ・・・私も行きます。発端は私ですし」
・・・・本当にそれでいいの?
もやもやを抱えながらエース隊長と船長の部屋へ向かった。
「オヤジ、入るぜ」
・・・・さすがエース隊長。
緊張なんか欠片も感じない。
私は3度目だけど身体が固まってるのが自分で嫌という程わかる。
「見慣れねェ相方だなエース・・・グラララ」
「コロコロ海賊団の本船に行って来ていいか?」
「・・・・あァ?何しに行くつもりだ」
「私の友人の・・・宝物を盗られました。それを取り返しに行きたいんです。私も、一緒に」
言うなら今しかない。
そう判断して今まで思ったことを口にしたら、
「本気か?アコ」
エース隊長は目を丸くして私を見て、
「死に行くつもりか?足手まといになるだけだ、やめておけ」
船長には軽く一瞥されて終わり。
・・・・・わかってたけど。
「約束、したんです。必ず見つけるって・・・私が」
だから私が行かないと。
「・・・足手まといになるのは承知の上でお願いします。私も一緒に行かせてください」
エマの友人である為に。
「オヤジ。俺からも頼む」
「・・・・ヘマするなよエース」
「おう!」
「っ有難うございます船長!」
「それからアコ。エースと2人で行くからにはただで帰って来るなよ」
「は・・・・・!?」
「グラララ・・・!楽しみにしてるぜ」
「は・・・・はいっ」
きょとんとした顔のエース隊長が、部屋を出てから案の定私に、
「さっきのオヤジの言葉どういう意味だ?」
聞いてきた。
「あーあのえっとですね、役に立って帰って来いよと言う意味だと思います・・・はい」
「アコなら心配いらねェよ。な」
「・・・・・だと、いいんですけど」
「ははっ、自信ねェの?オヤジにあれだけ言えたのによ」
「行きたい気持ちに嘘はありません。・・・・でも確実にエース隊長の足手まといになります、私」
「それでも行きたい、んだろ?」
「・・・・はい」
「その覚悟、俺が見届けてやる。心配すんな」
エース隊長の優しさに泣きそう。
・・・・でもまだ、泣かない。
「よろしくお願いします・・・っ!」
「という訳で私も一緒に行ってきます」
マルコ隊長に報告。
「駄目に決まってんだろい」
「オヤジの許可は得たぜ」
「・・・・嘘だろい?」
「ホントです。何なら確認取って頂いて構いません」
「・・・・・・・どうなっても知らねェよい」
「行って来ます!」
「後頼むなーマルコ!」
呆れ顔のマルコ隊長を背に私たちは再びストライカーに乗り込んだ。
「アコ、ビブルカード」
「これです」
「よし。・・・・しっかり掴まれよ!」
「はい!」
不安が心の多くを占めてるのは事実。
でもこのエース隊長のぬくもりが、
いつも私に勇気と希望をくれる。
・・・・なんて言ったら笑われそうだけど。
でも確かにこの気持ちは、
恋だから。
いつか・・・・・言えたらいいな。
「エース隊長!船が・・・・あの旗・・・コロコロ海賊団です!」
ビブルカードに導かれるまま進むこと数分。
それらしき船を見つけた。
「突っ込むか」
「船が大破したらエマの宝物も海の底に・・・」
「・・・・そっか。じゃあ下手に燃やしちまうのもまずいな」
「・・・偉そうな人に聞くのが1番早いかと思うんですが」
「潜り込むか」
「出来そうですか?」
「大丈夫だ。・・・・離れるなよ、アコ」
「はい・・・・離れません」
ずっと、貴方の側に。
エース隊長はそっとストライカーを止めた。
そしてエース隊長に掴まって船上に。
船はモビー程大きくはないものの、
結構な人数が居ると思われる。
これだけの人数を相手にすれば、私は足手まとい確実。
「ここに居てくれな」
「え?」
不敵に笑ったエース隊長が一瞬居なくなって、
でもすぐに戻って来た。
その手に服を2枚持って。
「これ着てりゃ少しは紛れるだろ?」
「有難う御座います・・・!」
エース隊長は上を羽織るだけ。
私は本格的に着替えないと。
「・・・後ろ、向いてっから」
「あ・・・・はい」
離れて着替えたらそこで何があるかわからないし・・・と、エース隊長の側で脱ぐのは何だかドキドキ。
ちょっと大きいけど、何とか。
「着替え、終わりました」
「・・・・やっぱちょっとでかいな」
「・・・おかしいですか?」
髪もまとめてなるべく女だとバレにようにしてみた。
「逆に危ねェ気がすんな・・・」
「・・・・危ないですか?」
「ま、いっか。ここの船長の顔なら知ってるからそいつ探すのが早いな」
私の姿をまじまじと見て呟くエース隊長に不安を感じながらも、
潜入開始。
「酷かもしれねェけど、アコ。もうこの船にはないって可能性も考えとけ」
「・・・・・・は、い」
船内を慎重に歩きながらエース隊長が言った。
・・・・わかってる。
ない可能性の方が高いことも。
「・・・・悪い、ホント酷いこと言った」
落ち込む私を見て励ましてくれる優しいエース隊長の顔を、曇らせたくないのに。
覚悟決めて来たはずなのに。
エース隊長が側に居てくれるのに、まだ不安がある。
でも。
「もしなかったらその時は・・・・とりあえずここの船長ぶっ飛ばします。そして海の底だって探します」
そう約束したのだから。
「エマに裏切られてもっと落ち込んでるかと思った。・・・・強いな」
「凹んではいるんです。まだショック、ですし」
「そうは見えなかったぜ、あん時も。驚いた」
「それは・・・・エース隊長が、居てくれたから」
・・・・私は私で居られたのだと。
思う。
「俺が居たから?」
「私・・・・・ずっとエース隊長にお伝えしたいことがあって」
でも、それは。
「・・・エマと無事に仲直り出来たら、聞いて頂けますか?」
今じゃなくて。
すべてが終わったら。
「何でも聞いてやるよ。・・・エマとも仲直り出来る、アコなら」
敵船に居るっていうのに、
そのことよりエース隊長と2人きりっていう状況にドキドキしてる。
必ず見つけ出して、
無事に帰る。
+私の覚悟 終+