僕ときみと
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
海賊なんてやってれば、
殺し殺されは当たり前で。
人が死んでいるとなれば、
何年かに何回は恐らく出て来る噂。
実際そんな海域もある。
「でも声だけなんでしょ?」
「今のところはそうみたいね」
「・・・この間のことも幽霊の仕業だったりして」
幽霊が出る、と最近噂が広まっている。
クルーの方々は怖がる人少しで、だいたいの人は笑って、気にしてない。
私たちナースでは、
半分半分。
「この間のこと?」
「あれ、エマ知らない?例の奥の部屋が少し荒らされてたみたいで」
「そうなの?・・・知らなかったわ」
「だから部外者でも侵入したのかなって思ったりもしたんだけど」
「あり得ないわね。部外者が侵入して気づかれない船じゃないわ」
「うん、そうだよね・・・・」
「でもだからって幽霊の仕業っていうのも違う気がするわね」
「・・・先輩誰かの報告ミスとか?」
「たまたま鍵のかけ忘れてたところにクルーの誰かが入った、とかもあるかもしれないわ」
「でも・・・ナースの部屋だよ?」
「興味本位ってこともあるでしょう?」
「幽霊も興味本位で入ったのかも」
「幽霊なら荒らす必要もないんじゃなあい?」
「・・・・それもそっか」
「でももし遭遇したら解剖してみたいわ」
「あははっ、エマらしい。その前に捕まえないとね!」
「その時は協力してね、アコ」
「勿論」
何処からともなく声が聞こえて来る、という噂。
「女の人の声なんだって」
「じゃあきっと黒髪ね」
アッサリと言い切ったエマ。
「何でわかるの?」
「定番だもの。黒髪の長い女性の幽霊」
「・・・確かに」
くすくす、なんて2人で笑い合った。
「私、同室がエマで良かった」
「どうしたの急に?」
「今、思ったから。この船にエマがいて、エマと出会えて、私の同室でいてくれて良かったって」
本当に楽しくて、嬉しい。
「・・・・私もよ、アコ」
そんな話をした日の夜のことだった。
その日エマは先輩の手伝いで夜遅くなるとのこと。
私は朝早いから、先に寝てていいから、とエマも言うのでそろそろ寝ようかと準備していた時だった。
「ろす」
「・・・・・へ?」
奇妙な声が聞こえた気がして身体の動きが止まった。
「・・・・気のせい、かな」
静かな部屋に耳を澄ますけど、やっぱり何も聞こえない。
うん、大丈夫。
「ころす」
「私を!?」
思わず反応してしまったけど。
確かに聞こえた、殺す。と。
「・・・・・誰か、いるの?」
恐る恐る問いかける。
・・・・声は確かに女の人の声だった。
でも私はあの声を知らない。
決して広くはない部屋。
誰かが隠れてるなんてあり得ない。
もし居たらすぐわかる。
「・・・・幽霊さんの攻撃はどんな感じなのかな?」
やっぱ見えない攻撃なのかしら。
思わず構える。
でもいつまでたっても何もない。
・・・・幽霊ってどうやったら捕まえられるんだろう。
でもこれはチャンス。
私は1回部屋を出て、
あの部屋へ向かった。
コンコン、と控えめにノック。
「アコ?どうした?」
「エース隊長・・・今お時間大丈夫ですか?」
「あァ、何もねェけど」
エース隊長の部屋。
「今私1人で部屋に居たんですけど・・・・声が」
「声?」
「女性の声で、殺すと聞こえたんです。でも誰も居なくて。・・・一応見に来てもらえませんか?」
お願いしてみたら、エース隊長が笑った。
「アコは幽霊だって思ってんのか?」
「どうでしょう。透明人間になれる能力者かもしれませんし・・・」
「ま、そういうのも居るかもしれねェな」
「でも幽霊だったら捕まえてみたいんです。エース隊長幽霊の捕まえ方ご存知ですか?」
「いや、俺も知らねェけど。捕まえてどうするんだよ?」
「エマと一緒に解剖しようって約束なんです」
その為にも捕まえねば!と意気込んだら、
「ぶははっ!面白ェこと考えるなお前ら。解剖する時は俺も混ぜてくれよ」
「はいっ喜んで!」
エース隊長は大爆笑。
「んじゃあ行くか」
「よろしくお願いします・・・!」
エース隊長を伴って再び私の部屋。
・・・・・こっ怖がるフリしてエース隊長の身体に抱き着いてみたりしてみようか。
そう思ってそっと腕を伸ばしてみる。
・・・・・無理!!
出来ない!!
あああドキドキするぅ!
「アコ?」
「はい!?」
「怖いんなら腕掴んでてもいいぜ?」
いいの!?
優しい笑みのエース隊長に私の頭は真っ白。
でもたぶん顔は真っ赤。
「うぇっ、えっと・・・・いいんですか!?」
「おう、掴んでろよ」
「失礼します!」
遠慮なく!!
ぎゅ、っと掴んだエース隊長の腕。
・・・・太くて硬くて頼もしい腕。
その腕に導かれて私とエマの部屋へ。
「・・・・・誰もいねェな」
「・・・・・・ですよね?」
さっきと何も変わらない部屋。
「殺す・・・って言ったんだな、声」
「はい、はっきりと」
「誰を、とか言ってなかったか?」
「・・・殺す、とだけ。でした」
「・・・・そっか」
エース隊長は真面目な顔で何かを考えるように顎に手を当てた。
ああっ、真面目な顔も素敵!
「・・・・エース隊長?」
とばかりも言ってられず、名前を呼んでみるけど、
「何でもねェ。気にすんな」
と、誤魔化すような笑み。
・・・・こう来られちゃったら、わかりましたって言うしかない。
「・・・・はい。やっぱり幻聴だったんでしょうか」
「どうだろうな・・・・」
そのお顔からは何を考えてるのかはまったくわからない。
「声はこの辺からしたような気がしました」
「・・・・エマのベッドか。俺が触ったらまずい、よな」
エース隊長がエマのベッドを前に逡巡されたので、
「あっ私いきます!」
私が手を伸ばす。
布団をめくってたり、枕をどかしてみたりするけど、やっぱり何もない。
「・・・・何もない、ですね」
「だな。ま、良かったんじゃねェか何もなくて」
「お手を煩わせて申し訳ありませんでした・・・・!」
「気にすんなって。また声とか聞こえるかもしれねェぜ?」
からかうように笑うエース隊長に何処かほっとしながらそっと腕を離した。
「そっ・・・・その時はまた、お願いしても・・・いい、ですか?」
ドキドキ。
「おう、呼べよ。解剖ん時もな!」
「はいっ!有難う御座いました」
いつも通りのエース隊長を見送って、
手を見た。
・・・・触っちゃった、エース隊長の腕。
・・・・・幸せな気分の中にちくりと痛む胸。
ごめんなさい、エース隊長。
心の中で小さく謝罪。
私は1つ、嘘をつきました。
幽霊も敵船も怖くなんかない。
エース隊長が側に居てくれるなら、怖いものなんかきっとない。
「アコ!声が聞こえたって本当!?」
ドアが乱暴に開いて、
珍しく大きな声を出してエマが入って来た。
「おかえり、エマ。誰から聞いたの?」
「今そこでエース隊長にお会いして・・・・本当なの?」
「うん・・・エマのベッドの方から、声だけ」
「声・・・何て?」
「殺す、って。女の人の声」
「・・・・私のベッド、調べてみた?」
「あ、私が軽く。でも何もなかったし、残念ながら捕まえられなかったけど」
「・・・・そう」
ほっとしたようなエマに、やっぱり幽霊が怖いのかな、と思った。
「大丈夫だよエマ。さっきエース隊長に確認してもらったし」
「ええ、有難うアコ」
でもその笑顔には陰りがあって。
なんて声をかけていいかわからない私に、
「それで何か進展あったの?」
今度はにっこり。
・・・・・・あれ、見間違えた?
「・・・・・ちょっとだけ」
「あら、聞かせて?」
「えっとね・・・・・」
女子の恋愛話。
夜はまだまだ、明けません。
+朝はまだ 終+
殺し殺されは当たり前で。
人が死んでいるとなれば、
何年かに何回は恐らく出て来る噂。
実際そんな海域もある。
「でも声だけなんでしょ?」
「今のところはそうみたいね」
「・・・この間のことも幽霊の仕業だったりして」
幽霊が出る、と最近噂が広まっている。
クルーの方々は怖がる人少しで、だいたいの人は笑って、気にしてない。
私たちナースでは、
半分半分。
「この間のこと?」
「あれ、エマ知らない?例の奥の部屋が少し荒らされてたみたいで」
「そうなの?・・・知らなかったわ」
「だから部外者でも侵入したのかなって思ったりもしたんだけど」
「あり得ないわね。部外者が侵入して気づかれない船じゃないわ」
「うん、そうだよね・・・・」
「でもだからって幽霊の仕業っていうのも違う気がするわね」
「・・・先輩誰かの報告ミスとか?」
「たまたま鍵のかけ忘れてたところにクルーの誰かが入った、とかもあるかもしれないわ」
「でも・・・ナースの部屋だよ?」
「興味本位ってこともあるでしょう?」
「幽霊も興味本位で入ったのかも」
「幽霊なら荒らす必要もないんじゃなあい?」
「・・・・それもそっか」
「でももし遭遇したら解剖してみたいわ」
「あははっ、エマらしい。その前に捕まえないとね!」
「その時は協力してね、アコ」
「勿論」
何処からともなく声が聞こえて来る、という噂。
「女の人の声なんだって」
「じゃあきっと黒髪ね」
アッサリと言い切ったエマ。
「何でわかるの?」
「定番だもの。黒髪の長い女性の幽霊」
「・・・確かに」
くすくす、なんて2人で笑い合った。
「私、同室がエマで良かった」
「どうしたの急に?」
「今、思ったから。この船にエマがいて、エマと出会えて、私の同室でいてくれて良かったって」
本当に楽しくて、嬉しい。
「・・・・私もよ、アコ」
そんな話をした日の夜のことだった。
その日エマは先輩の手伝いで夜遅くなるとのこと。
私は朝早いから、先に寝てていいから、とエマも言うのでそろそろ寝ようかと準備していた時だった。
「ろす」
「・・・・・へ?」
奇妙な声が聞こえた気がして身体の動きが止まった。
「・・・・気のせい、かな」
静かな部屋に耳を澄ますけど、やっぱり何も聞こえない。
うん、大丈夫。
「ころす」
「私を!?」
思わず反応してしまったけど。
確かに聞こえた、殺す。と。
「・・・・・誰か、いるの?」
恐る恐る問いかける。
・・・・声は確かに女の人の声だった。
でも私はあの声を知らない。
決して広くはない部屋。
誰かが隠れてるなんてあり得ない。
もし居たらすぐわかる。
「・・・・幽霊さんの攻撃はどんな感じなのかな?」
やっぱ見えない攻撃なのかしら。
思わず構える。
でもいつまでたっても何もない。
・・・・幽霊ってどうやったら捕まえられるんだろう。
でもこれはチャンス。
私は1回部屋を出て、
あの部屋へ向かった。
コンコン、と控えめにノック。
「アコ?どうした?」
「エース隊長・・・今お時間大丈夫ですか?」
「あァ、何もねェけど」
エース隊長の部屋。
「今私1人で部屋に居たんですけど・・・・声が」
「声?」
「女性の声で、殺すと聞こえたんです。でも誰も居なくて。・・・一応見に来てもらえませんか?」
お願いしてみたら、エース隊長が笑った。
「アコは幽霊だって思ってんのか?」
「どうでしょう。透明人間になれる能力者かもしれませんし・・・」
「ま、そういうのも居るかもしれねェな」
「でも幽霊だったら捕まえてみたいんです。エース隊長幽霊の捕まえ方ご存知ですか?」
「いや、俺も知らねェけど。捕まえてどうするんだよ?」
「エマと一緒に解剖しようって約束なんです」
その為にも捕まえねば!と意気込んだら、
「ぶははっ!面白ェこと考えるなお前ら。解剖する時は俺も混ぜてくれよ」
「はいっ喜んで!」
エース隊長は大爆笑。
「んじゃあ行くか」
「よろしくお願いします・・・!」
エース隊長を伴って再び私の部屋。
・・・・・こっ怖がるフリしてエース隊長の身体に抱き着いてみたりしてみようか。
そう思ってそっと腕を伸ばしてみる。
・・・・・無理!!
出来ない!!
あああドキドキするぅ!
「アコ?」
「はい!?」
「怖いんなら腕掴んでてもいいぜ?」
いいの!?
優しい笑みのエース隊長に私の頭は真っ白。
でもたぶん顔は真っ赤。
「うぇっ、えっと・・・・いいんですか!?」
「おう、掴んでろよ」
「失礼します!」
遠慮なく!!
ぎゅ、っと掴んだエース隊長の腕。
・・・・太くて硬くて頼もしい腕。
その腕に導かれて私とエマの部屋へ。
「・・・・・誰もいねェな」
「・・・・・・ですよね?」
さっきと何も変わらない部屋。
「殺す・・・って言ったんだな、声」
「はい、はっきりと」
「誰を、とか言ってなかったか?」
「・・・殺す、とだけ。でした」
「・・・・そっか」
エース隊長は真面目な顔で何かを考えるように顎に手を当てた。
ああっ、真面目な顔も素敵!
「・・・・エース隊長?」
とばかりも言ってられず、名前を呼んでみるけど、
「何でもねェ。気にすんな」
と、誤魔化すような笑み。
・・・・こう来られちゃったら、わかりましたって言うしかない。
「・・・・はい。やっぱり幻聴だったんでしょうか」
「どうだろうな・・・・」
そのお顔からは何を考えてるのかはまったくわからない。
「声はこの辺からしたような気がしました」
「・・・・エマのベッドか。俺が触ったらまずい、よな」
エース隊長がエマのベッドを前に逡巡されたので、
「あっ私いきます!」
私が手を伸ばす。
布団をめくってたり、枕をどかしてみたりするけど、やっぱり何もない。
「・・・・何もない、ですね」
「だな。ま、良かったんじゃねェか何もなくて」
「お手を煩わせて申し訳ありませんでした・・・・!」
「気にすんなって。また声とか聞こえるかもしれねェぜ?」
からかうように笑うエース隊長に何処かほっとしながらそっと腕を離した。
「そっ・・・・その時はまた、お願いしても・・・いい、ですか?」
ドキドキ。
「おう、呼べよ。解剖ん時もな!」
「はいっ!有難う御座いました」
いつも通りのエース隊長を見送って、
手を見た。
・・・・触っちゃった、エース隊長の腕。
・・・・・幸せな気分の中にちくりと痛む胸。
ごめんなさい、エース隊長。
心の中で小さく謝罪。
私は1つ、嘘をつきました。
幽霊も敵船も怖くなんかない。
エース隊長が側に居てくれるなら、怖いものなんかきっとない。
「アコ!声が聞こえたって本当!?」
ドアが乱暴に開いて、
珍しく大きな声を出してエマが入って来た。
「おかえり、エマ。誰から聞いたの?」
「今そこでエース隊長にお会いして・・・・本当なの?」
「うん・・・エマのベッドの方から、声だけ」
「声・・・何て?」
「殺す、って。女の人の声」
「・・・・私のベッド、調べてみた?」
「あ、私が軽く。でも何もなかったし、残念ながら捕まえられなかったけど」
「・・・・そう」
ほっとしたようなエマに、やっぱり幽霊が怖いのかな、と思った。
「大丈夫だよエマ。さっきエース隊長に確認してもらったし」
「ええ、有難うアコ」
でもその笑顔には陰りがあって。
なんて声をかけていいかわからない私に、
「それで何か進展あったの?」
今度はにっこり。
・・・・・・あれ、見間違えた?
「・・・・・ちょっとだけ」
「あら、聞かせて?」
「えっとね・・・・・」
女子の恋愛話。
夜はまだまだ、明けません。
+朝はまだ 終+