僕ときみと
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「それでね、その時のエース隊長めちゃくちゃカッコ良かったの!」
「・・・楽しかったのね?」
「すーっごく楽しかった!」
「そう、それなら良かった」
昨日の夢のようなエース隊長とのデートから1日が過ぎた。
でもまだ興奮は冷めないし、
信じられない。
「それも、とても綺麗よ」
「えっへへえ、エース隊長が買って下さったの・・・!家宝だよ!」
「素敵」
エース隊長がくれたドラゴンブレスのペンダント。
見るだけで元気になる。
勇気をくれる。
今日はお留守番要員だからずっとモビーに居ないといけないんだけど、
全然平気。
「それでこれ、エマにお土産」
「・・・私に?」
「うん、気に入ってくれると嬉しいんだけど。・・・エース隊長と一緒に選んだの」
エマにお土産を、と言ってエース隊長に付き合ってもらって。
散々悩んだ末買った。
「あら、可愛いヘアピン」
「可愛いでしょ?前髪邪魔になる時使って」
「助かるわ」
「実は私とお揃いなんだけどね」
「ふふ、嬉しいわアコ。有難う」
先端に小さく花を模ったものがついているヘアピン2コ。
「どういたしまして。・・・・そういえばエマ」
「なあに?」
「・・・・・昨日はしっかり休めた?」
「ええ、おかげ様で。ずっと部屋で寝てたの」
「・・・・・・・・そっか、良かった」
思わず声が上ずった。
・・・・エース隊長は昨日、
エマを見たと言った。
エース隊長が嘘をつくはずもないし、つく必要もない。
・・・・なら、エマが私に嘘をついてることになる。
エース隊長の見間違いってことも考えられなくもないけど。
でもあの時のエース隊長の言葉は確固としたものだった。
「エマは今日も自由でしょ?どうするの?」
「今日は街に行ってみたいけど・・・アコが行けないのじゃやめておこうかしら」
「私は昨日行ってきたし気にしなくていいよ?」
「あら、じゃあ今日は私がエース隊長をお誘いしちゃおうかしら」
「それは駄目!」
「冗談よ・・・アコったら可愛いのね」
「・・・・っもう、エマってば」
「ログが溜まるまでまだあるみたいだし、今日は念のため休んでおくわ。昼過ぎに軽く散歩くらいは行くかもしれないけど」
「行く時は気を付けてね」
「ええ、有難う」
「じゃあ私は医務室行ってきます」
「行ってらっしゃい」
いつもと変わらない笑顔で見送ってくれたエマに手を振って部屋を出た。
・・・・わかってる。
エマにだってエマのプライベートがある。
何だって私に教える義務もない。
言いたくないことだってある。
・・・・・私にも、あるし。
でも、わかってるけど。
「アコ?」
「あ・・・」
医務室の手前でエース隊長とばったり。
「今日は留守要員か。頑張れよ」
「有難う御座います・・・エース隊長は今日もお出かけですか?」
「おう・・・・と言いてェとこなんだけど、今日はツマミ食いがバレてサッチの手伝い」
「・・・・ご苦労さまです」
「何か元気ねェな?」
いつも通りにしてたつもりだったのに、
あっという間に見抜かれてしまった。
「・・・・えと、その。エース隊長」
「ん?」
「昨日・・・・エマを見かけたとおっしゃいましたよね」
「あァ、見たぜ」
「・・・・お気を悪くされないで頂きたいのですが」
「いいから言えって」
「エマが・・・・昨日はずっと部屋に居たって・・・言うんです」
私の言葉を聞いたエース隊長は頭をぽりぽりと掻いて、
「見間違いじゃねェ、あれはエマだった。・・・エマにだって言いたくないことくらいあんだろ」
「・・・・・そう、ですね」
・・・・うん、わかってた。
そう言われることくらい。
わかってたけどやっぱり少し凹んで、俯いてしまう。
「それじゃ納得出来ねェよな」
「え?」
顔を上げたら苦笑するエース隊長が居て。
「俺だって納得しねェ」
「頭では納得しなきゃって思うんですけど・・・」
「ムカつくよな、大事な奴に隠し事されるのは」
「・・・・・・はい」
頷いたら、エース隊長の大きな手が私の髪の毛を優しく撫でてくれた。
わかってるけど、悔しいものは悔しい。
そんな私の気持ちをエース隊長はわかってくれた。
「無理やり聞き出さなかったアコは偉いな」
「そんなこと・・・・・ないです」
「いつか話してくれるかもしれねェぜ?だから今はエマを信じて待ってみろよ。な?」
エース隊長の優しい笑顔にが胸に流れ込んで来て、
泣きそうになる。
「有難う御座います・・・!」
「頑張れよ」
「はい、エース隊長も」
爽やかな笑顔に見送られて医務室に入ったら、
「失礼しまーす」
「アコ、昨日奥の部屋に入った?」
入るなり焦った先輩ナースさんの姿。
「奥の部屋・・・ですか?入ってません・・・昨日はほとんど外に居ましたし」
「そう・・・」
奥の部屋は、ベテランナースしか入ることが許可されていない部屋。
大事な医療用具があるから、と。
「・・・何かなくなったんですか?」
「・・・・なくなった、訳じゃないわ。ただ少し荒らされてたの」
「先輩方の誰かではないんですか?」
「誰も心当たりがないのよ。エマも知らないみたいだし」
「でも部外者ってことはあり得ませんよ・・・ね」
「ええ・・・・きっと揺れか何かで荒れただけね」
「・・・・そうですよ、きっと」
停泊中だって見張りはいるし、
知らない誰かが船内に居れば、少なくとも船長や、隊長各の方々が気付かないはずがない。
「あー疲れた!お茶にしましょ!」
え、もう!?
驚く私に先輩はにっこり笑って、
「サッチ隊長がもうすぐここに来るのよ」
と言った。
「サッチ隊長が?」
「今日留守番組はラッキーよアコ。サッチ隊長のケーキが食べられるんだもの」
「ケーキ・・・・!」
「私たち2人だけだから特別よ。楽しみね」
なんて話してたら、コンコン、とドアがノックされた。
「はーい」
きっとサッチ隊長と、と言ってたんだけど。
「ケーキと紅茶、だってよ」
「あら、エース隊長」
「ええええエースたいちょっ!!?」
予想ははずれてエース隊長がケーキと紅茶を持ってきてくれた。
「サッチからな。持ってけって」
「まあ、どうも。・・・ってお砂糖足りませんけど」
「・・・俺はサッチに言われて持ってきただけだからな」
「仕方ないわね。ちょっと文句言いに行きがてら取ってくるわねアコ」
「あ、はい・・・・」
憤慨した様子で先輩が出て行ってしまった。
・・・・・残された私とエース隊長。
「・・・・お疲れ様ですエース隊長」
「美味そうだな、ケーキ」
「あ、良かったら一口どうぞ」
私の分をフォークで切り分けて、差し出したら、
「いいのか?・・・んじゃあいただきます」
丁寧にお辞儀をしてぱくり。
「んめェ。アコも食えよ」
「私は先輩戻って来てから一緒に頂きますので・・・・」
「・・・何かまだ元気ねェ?」
「え」
「また何かあったか?」
エース隊長は優しく声をかけてくれた。
「・・・奥の部屋、少し荒れてたようで・・・部外者が侵入してたりしないかと気になったものですから」
「はははっ、そんなこと心配する必要ねェって。俺が居るだろ?」
「・・・ですよね!大丈夫、ですよね」
「ああ。何があっても守ってやるよ俺が」
・・・・昨日からエース隊長にドキドキさせられっぱなしだ。
でもこのドキドキに任せて、今なら言える。
「エース隊長、あの私のこと・・・・っ」
覚えていますか。
そう言い切る前に、
「もう!サッチ隊長ってばホント駄目なんだから、ねえアコ」
「あ・・・・・・はい」
・・・・・・結局今回も言えませんでした。
+わかってはいるけど 終+