もう1つの家族
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「アコってオトコ居たことあんのか?」
「・・・・は?」
唐突にエースは変なことを言い出した。
「彼氏ってこと?・・・居ないけど」
私とエースはお留守番中。
父は会社(社会人に冬休みはない!)で、
母は買い物。
私は自分の部屋で買ったばかりの本(小説ですよ)を机で読んでいた。
何を読んでるのかと聞かれて、ミステリ小説・・・つまり人が殺されて犯人を当てる本だと答えた。
そして冒頭の台詞へ戻る訳だ。
「好きなヤツくらい、いるンだろ?」
「居ないね。私基本的に男の人苦手だし」
「・・・そうなのか?」
「うん。実はそうなんだよね。友達は彼氏欲しいとか言ってるけど」
クラスの誰それがカッコイイとか、
先輩の何処がいいとか。
正直私にはよくわからない。
「何で苦手なんだよ」
「うーん、友達ならいいんだよ?でも恋愛ってなると面倒だなって」
「面倒ってお前」
「何かさ、友達の恋愛相談にばっかりのってたんだよね、私。そしたら、先入観出来ちゃって」
そこまで言った私に、エースは呆れたようにため息を吐いた。
「あ、でもね?素敵な恋はしたいなとは思ってるんだよ?」
「あーあれか?あの本のことか?」
「あの本てどの本よ」
「最初に会った時俺が読んでたやつ」
え、エース本なんか読んでたっけ。
私は必死に記憶を探る。
えーと、えーと、そういえば手に持ってたね。
漫画だな、あれは。
えーと、えーと、
・・・・・・・・・え?
「え、もしかして、あれ、あの漫画?数少ない恋愛モノ?」
「知らねェけど、たぶんそれだ」
全身の熱が顔に集まったかのように顔が熱くなったのがわかった。
「・・・・・や、まあその話しは好きだけど」
「けど?」
その漫画本は私の持っている数少ない恋愛モノで。
両親を早くに亡くした可愛くて頭も良くて性格もいいヒロインがいろんな困難を乗り越えて出会った男性と恋をする話。
まあ困難を乗り越える姿勢は好きなんだけど。
「私は自慢じゃないけど顔も性格も頭もそんな良くないしさ、だいたいあの漫画のラスト無理があるもん」
ラストはヒロインが男の人にプロポーズされて、専業主婦として幸せに生きていく訳だけども。
「今時専業主婦とか無理じゃん。仮に大丈夫だったとしてもしっかり家事やれよみたいなプレッシャーが嫌」
で、これを言うと男女関係なく皆夢がない!って怒るんですけどねー。
「アコは偉いなー」
「え?」
「何つーか、ちゃんと現実と向き合ってるとこ、すげーよ」
びっくりした。
絶対呆れられると思ったから。
「夢がない、って言われると思った」
「現実見もしねェで夢だけ押し付けるヤツのほうが俺は嫌いだ」
初めて言われた。
そんなの。
あ、ヤバイ。
「アコ?」
駄目だ、と思うのに溢れるそれは止まらなくて。
「っ何で泣くんだよ!?悪ィ、俺変なこと言ったか?」
初めて見るエースの慌てた姿。
あー泣きたくなかったのに。
「ちがっ、くて、嬉しい、から」
「嬉しい?」
「あーもう!人前で泣くのなんて久し振りだよ!」
本音を言えばチクショウ!とでも言いたい気分だ。
「おま、何でそこでそうなるんだよ・・・はは、はははっ」
エースはそこで何故か笑い出した。
「え、そこ笑うとこじゃないですエースさん」
「いや笑うだろ。いきなり泣いたかと思えば怒鳴るとか、ホントアコは面白ェなあ」
いきなり笑い出したエースに私の涙は止まった。
「・・・普通そこは泣いたとこも可愛いよ、とかもしくは泣いた顔は見たくないとか・・・や、言われても困るけども」
「だろ?っはははは!」
「・・・・・・・・」
どうやら本気で笑っているようだ。
すんごく楽しそう。
私はどうすればいいかわからず、成り行きを見守っていると、
ぽん、と。
頭の上に置かれた大きな手。
目の前には優しく笑うエースの顔。
私は嬉しいやら、
悔しいやら。
「全部見せろよ」
「え?」
「笑った顔も怒った顔も、泣いた顔も。俺にだけ全部見せとけ」
な、とエースは言う。
私は無駄な抵抗と知りながら、
不貞腐れた顔を作った。
+ふたりでお留守番 終+
「・・・・は?」
唐突にエースは変なことを言い出した。
「彼氏ってこと?・・・居ないけど」
私とエースはお留守番中。
父は会社(社会人に冬休みはない!)で、
母は買い物。
私は自分の部屋で買ったばかりの本(小説ですよ)を机で読んでいた。
何を読んでるのかと聞かれて、ミステリ小説・・・つまり人が殺されて犯人を当てる本だと答えた。
そして冒頭の台詞へ戻る訳だ。
「好きなヤツくらい、いるンだろ?」
「居ないね。私基本的に男の人苦手だし」
「・・・そうなのか?」
「うん。実はそうなんだよね。友達は彼氏欲しいとか言ってるけど」
クラスの誰それがカッコイイとか、
先輩の何処がいいとか。
正直私にはよくわからない。
「何で苦手なんだよ」
「うーん、友達ならいいんだよ?でも恋愛ってなると面倒だなって」
「面倒ってお前」
「何かさ、友達の恋愛相談にばっかりのってたんだよね、私。そしたら、先入観出来ちゃって」
そこまで言った私に、エースは呆れたようにため息を吐いた。
「あ、でもね?素敵な恋はしたいなとは思ってるんだよ?」
「あーあれか?あの本のことか?」
「あの本てどの本よ」
「最初に会った時俺が読んでたやつ」
え、エース本なんか読んでたっけ。
私は必死に記憶を探る。
えーと、えーと、そういえば手に持ってたね。
漫画だな、あれは。
えーと、えーと、
・・・・・・・・・え?
「え、もしかして、あれ、あの漫画?数少ない恋愛モノ?」
「知らねェけど、たぶんそれだ」
全身の熱が顔に集まったかのように顔が熱くなったのがわかった。
「・・・・・や、まあその話しは好きだけど」
「けど?」
その漫画本は私の持っている数少ない恋愛モノで。
両親を早くに亡くした可愛くて頭も良くて性格もいいヒロインがいろんな困難を乗り越えて出会った男性と恋をする話。
まあ困難を乗り越える姿勢は好きなんだけど。
「私は自慢じゃないけど顔も性格も頭もそんな良くないしさ、だいたいあの漫画のラスト無理があるもん」
ラストはヒロインが男の人にプロポーズされて、専業主婦として幸せに生きていく訳だけども。
「今時専業主婦とか無理じゃん。仮に大丈夫だったとしてもしっかり家事やれよみたいなプレッシャーが嫌」
で、これを言うと男女関係なく皆夢がない!って怒るんですけどねー。
「アコは偉いなー」
「え?」
「何つーか、ちゃんと現実と向き合ってるとこ、すげーよ」
びっくりした。
絶対呆れられると思ったから。
「夢がない、って言われると思った」
「現実見もしねェで夢だけ押し付けるヤツのほうが俺は嫌いだ」
初めて言われた。
そんなの。
あ、ヤバイ。
「アコ?」
駄目だ、と思うのに溢れるそれは止まらなくて。
「っ何で泣くんだよ!?悪ィ、俺変なこと言ったか?」
初めて見るエースの慌てた姿。
あー泣きたくなかったのに。
「ちがっ、くて、嬉しい、から」
「嬉しい?」
「あーもう!人前で泣くのなんて久し振りだよ!」
本音を言えばチクショウ!とでも言いたい気分だ。
「おま、何でそこでそうなるんだよ・・・はは、はははっ」
エースはそこで何故か笑い出した。
「え、そこ笑うとこじゃないですエースさん」
「いや笑うだろ。いきなり泣いたかと思えば怒鳴るとか、ホントアコは面白ェなあ」
いきなり笑い出したエースに私の涙は止まった。
「・・・普通そこは泣いたとこも可愛いよ、とかもしくは泣いた顔は見たくないとか・・・や、言われても困るけども」
「だろ?っはははは!」
「・・・・・・・・」
どうやら本気で笑っているようだ。
すんごく楽しそう。
私はどうすればいいかわからず、成り行きを見守っていると、
ぽん、と。
頭の上に置かれた大きな手。
目の前には優しく笑うエースの顔。
私は嬉しいやら、
悔しいやら。
「全部見せろよ」
「え?」
「笑った顔も怒った顔も、泣いた顔も。俺にだけ全部見せとけ」
な、とエースは言う。
私は無駄な抵抗と知りながら、
不貞腐れた顔を作った。
+ふたりでお留守番 終+