僕ときみと
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
・・・・まあね?
一緒に寝るって言っても。
・・・一緒の部屋で寝るだけでも間違ってはいないよね。
お酒を飲んでいる途中で。
エース隊長はいきなり寝てしまった。
うん、知ってた。
・・・・エース隊長がそういう人だって知ってた。
私も眠くなってきたし寝たいんだけど。
どうしよう。
お酒飲んでるしメラメラの実の能力者だけど。
さすがに上半身裸の状態でほっといたら不味い気がする。
本当はベッドに寝かせたいけど、
私の力じゃ無理だし。
起こすには・・・何だか可愛らしい寝顔過ぎて無理。
仕方なく毛布を背中にかけて、
「おやすみなさい、エース隊長。どうか良い夢を」
そっと言葉をかけて私もベッドに入った。
・・・・今、エマは何してるんだろう。
エマが大変かもしれない時に、
私だけこんなに幸せで少しだけ罪悪感。
エース隊長に、
こんな側でおやすみの挨拶が出来るなんて。
こんなに近くで寝顔が見られるなんて。
・・・しかも、独占出来るなんて。
幸せ過ぎる。
電気消すの勿体ないなぁ、と思いながらも明かりを消した。
ごめんねエマ。
・・・・頑張って。
「・・・・・ぅ」
まだ重たい瞼を頑張って開けて、
驚いた。
・・・朝だから。
明るいからよく見える。
私の、隣に。
・・・・・・・・・エース隊長が居る。
あれ。
・・・・・・あれぇ!?
私1人で寝てたはずなのに!
思わずまじまじとエース隊長の寝顔を見つめる。
いつもは凛々しい顔が、
今は愛らしい寝顔。
そばかすですら可愛いと思ってしまう。
・・・・でも。
鍛えられたエース隊長の筋肉質な上半身が、
くっついてるこの状況は。
・・・・ドキドキする。
良かった、寝る前にこの状況にならなくて。
「・・・っ!?」
さてどうしたものかと思った瞬間、
手が。
・・・私の手に、エース隊長の手が触れた。
それだけで、心臓が大きく跳ねて。
「・・・ごめん、なさい」
ごめんなさい。
勝手に憧れて、
勝手に追いかけてきて。
・・・・こんなことまで、して。
そんな気持ちがこみあげてきて思わずそう呟いていた。
でもこれは独り言。
・・・のつもりだったのに。
「そりゃ何に対してだよ、アコ?」
「・・・・・え」
目の前には、ぱっちりと目が開いたエース隊長。
「えええエース隊長!?おおおおはよう御座います!」
「ん。はよ。まだ眠ィ」
「ど・・・どうぞまだお休みになってて下さい・・・!」
「アコ起きるんだろ?俺も起きる。で、さっきのは何に対してのごめんなさい、だ?」
「う」
・・・突っ込まないで下さいぃ!!
「別に謝るようなことしてねェだろ?」
「あ・・・・あの、その・・・っ昨日、そのまま寝ちゃったので・・・私」
「ああ、そんなことか。毛布かけてくれたのアコだろ?そんだけで十分」
思わず誤魔化しちゃった。
言えばいいのはわかってる。
でも何だか、急に怖くなった。
「・・・ところでエース隊長、何故ここに・・・?」
ここに、というのは私のベッドのこと。
エース隊長はにんまりと笑んで、
「言っただろ?昨日。一緒に寝るってよ」
「はあ・・・・」
「夜中目ェ覚めて思い出したから来た。俺ァ約束は守るぜ?」
「有難う御座います・・・」
ああカッコイイ・・・!
さっきから顔が熱くて仕方ないけど、
嬉し過ぎるこの状況じゃ仕方ない。
「よく寝てたな」
「・・・エマにも申し訳ないです」
「ま、あいつらのことは心配しても仕方ねェよ。マルコが居りゃ命的には問題ねェし」
「・・・はい」
「あと2、3日は帰って来ないんだし、俺らのこと頼むぜ」
「はいっ!」
やっぱりエース隊長と居ると元気になる。
「んじゃ朝飯食いに行くか、腹減った」
「楽しみですね、朝ごはん」
朝からこの笑顔が見られる幸せ。
どうか、ずっと続きますように。
今日も医務室で怪我人待ち。
・・・・という名のおしゃべりするだけのお仕事。
勿論いつ何があってもいいように準備は万全。
基本的にこの船で戦闘は少ないけど、
たまに向こう見ずな海賊が来たりする。
でもすぐに終わるから。
ごとん、と大きな揺れと砲撃の音がした時も、
ああいつものね。
・・・それくらいにしか思ってなかった。
バタン!と乱暴にドアが開いたけど、
入って来たのはエース隊長だった。
怪我でもしたのかと心配になって声をかけようとしたら、
「アコ!逃げて!」
「え?」
「エース隊長に近づいちゃ駄目!」
何のことかわからずエース隊長の前まで来た私。
いきなり、がしっと腕を掴まれた。
「え・・・エース・・・隊長?」
「エース隊長は今催眠術にかかってるの!」
「ええええ!?」
私が捕まったのをいいことに、
他の皆はどうやら避難し始めた。
・・・・エース隊長が相手じゃ、
船長かマルコ隊長くらいじゃないと相手に出来ないし・・・仕方ない。
・・・目の前のエース隊長を恐る恐る見てみる。
虚ろな瞳で、私をのぞき込む。
・・・これが、催眠状態。
どうしよう、炎出されたら。
火拳なんか繰り出されたら私一瞬で終わる。
「・・・エース隊長」
ゆっくりと名前を呼びながら、
催眠術には何が効果があるかを頭の中で必死に考える。
「エース隊長、エース隊長・・・っ」
掴まれた腕に力が入る。
それから顔が近づいて。
・・・って!!
これは・・・不謹慎かもしれないけどちょっとドキドキしますよ!?
でもそんなこと言ってる場合でもない!
「エース隊長っ!・・・・サッチ隊長に言って明日から1か月朝ごはん抜きにしてもらいますよ!」
叫んだ途端エース隊長の動きがぴたりと止まった。
イイ感じ!
「それからえっと・・・えっと、マルコ隊長に言って反省文書いてもらいます!」
エース隊長は固まったままで。
その様子に後ろから、
「いいぞアコー!」
なんて声援が聞こえて、私も調子に乗った。
これでとどめ!と、私は大きく口を開けた。
「ツマミ食いしてたこともサッチ隊長にバラしますよー!!」
よしこれで決まった!
と安堵した瞬間。
背中に腕が回されて、強く前に引き寄せられた。
「ひゃっ」
エース隊長の厚い胸板にぐっと押し付けられる。
ななな何これ!?
後ろからはヒューヒューなんて楽しそうな声。
待ってこれどういうことなの!?
慌ててエース隊長の顔を確認したら、
思いっきり睨まれた。
ずき、と胸が痛む。
・・・・調子に乗り過ぎた?
怒ってる?
「アコ・・・っ」
苦しそうな声にはっとした。
「エース隊長!?何処か痛みますか!?苦しいんですか!?」
私の問いかけにエース隊長は顔を歪めて、
「・・・お前」
何かを私に言いかけた。
「今だ捕まえろ!」
「おおう!」
その真剣な目に耳を傾けた瞬間、今まで見ているだけだった周りからサッチ隊長が出てきて、
他の隊員と一緒に一斉にエース隊長を押さえにかかった。
「大丈夫アコ!?」
「あ・・・・はい」
「驚いたわね・・・エース隊長」
「催眠術にかかりやすい体質なんですね、きっと」
「みたいね。かけた張本人によると能力者は海水に触れば催眠術は解けるらしいけど」
先輩の言葉にほっとした。
「じゃあこれでエース隊長大丈夫なんですね。・・・良かった」
「マルコ隊長の居ない日を狙って来たんですって。馬鹿よね、それくらいじゃうちをどうこう出来る訳ないのに」
「・・・エマ、大丈夫でしょうか」
「マルコ隊長が一緒なんだもの、平気よ。今まで何かあったことなんかないし」
「そう・・・ですね」
マルコ隊長は強いし・・・きっとエマを守ってくれる。
「・・・私エース隊長の様子見てきます」
「怪我はしてないと思うけど・・・そうね、後遺症も心配だし一応連れてきて」
「っはい」
エース隊長が連れていかれた方へ歩いていくと、
髪を拭いているエース隊長の後ろ姿が見えた。
・・・海に落とされたのかな。
「エース隊長、あの」
無事だったことに安堵しながら名前を呼んだら、
エース隊長は振り返って私を見て。
・・・・それから、
「え・・・」
まるで私を避けるように、
そのまま私を振り返ることはなく。
背中が、遠くなった。
幸せな時っていうのは、
続かないものらしい。
+幸せだけど 終+