僕ときみと
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私はその時のエース隊長の何とも言えない表情を、今も鮮明に覚えている。
もし、時を遡れたら。
またあの時のエース隊長に会えたら。
今の私を、伝えたいのに。
穏やかな波の音と、
エース隊長のあたたかさ。
あのぬくもりにずっと寄り添っていたかった。
・・・あったかくて、優しくて。
「アコ」
私を呼ぶ声。
「大丈夫か、アコ」
「・・・・・・・へ?」
ぱち、と目を開いたら。
・・・・目の前にエース隊長が居た。
・・・・・あれ、ここ。
「なかなか起きてこねェってエマが心配してたぜ?」
「え、あ・・・・れ」
「具合悪ィのか?」
「・・・・・エース隊長?」
「おう」
「・・・・・今何時ですか?」
恐る恐る聞いてみれば、
「10時」
「っぎゃあああ!!」
私の悲鳴にエース隊長が笑った。
「ははっ、すげェ声!」
「ももも申し訳ありません・・・!すぐ起きますっ」
がばっと起き上がったら、すぐにぴたりと額に熱い手が添えられた。
「あ、全然わかんねェや」
「どうされましたか!?」
「熱あるんじゃねェかと思ったんだけどよ・・・俺の手の方が熱かった」
・・・や、たぶん今同じくらい熱いと思います。
「でも顔赤くねェ?エマに来てもらった方がいいか?」
「だっ大丈夫です!ご迷惑おかけしました!」
慌ててベッドから降りて、着替えようと服に手を伸ばしたんだけど。
・・・・まるでそこに居ることが自然かのように立っているエース隊長。
えーと。
「あ・・・・あの、着替えます・・・・ので」
「!っそ・・・そうだよな、悪ィ。すぐ出てく」
「すみません・・・」
「着替え終わったら食堂来いよ。俺も飯まだだから、一緒に食おうぜ」
「え、エース隊長も?」
「俺も寝坊したからな。だから気にしないで来いよ!」
「は・・・・い」
爽やかな笑顔で部屋を出て行ったエース隊長。
・・・・・今朝の夢とあいまって、
ドキドキが止まらない。
エース隊長・・・ホントにあの時のこと覚えててくれてないのかな。
聞けばいいのはわかってるんだけど、
勇気がない。
はあ、とため息が出つつも、
朝からエース隊長に会えた幸せも同時に噛みしめる。
・・・よし!今日も頑張ろ!
「・・・・あの、寝坊しました。朝ごはん下さい」
コックさんにぺこりと頭を下げたら、
「ああ、エースが持って行ったよ」
「え。・・・あ、有難う御座います」
席を見たらエース隊長がお肉を口に銜えたままこちらを見て手を振ってくれていた。
エース隊長の席の隣に、1人分の朝食。
「エース隊長っすみません・・・!」
「いいって。ほら食えよ」
「いただきます・・・!」
サンドイッチをぱくり。
ああ美味しい・・・!
「あとでエマにも顔見せてやれよ、心配してたから」
「あ、はい・・・。エマ起こしてくれれば良かったのに」
同室なのに。
「声かけたら大丈夫、って言ってたってよ」
「・・・・すんごい謝っておきます」
エマごめん、ほんっとごめん・・・!
「どんな夢見てたんだ?」
「え、えっと・・・・」
「すげェ嬉しそうな顔してたな」
「そ・・・そうですか?」
・・・恥ずかしい。
「で、どんな夢だよ」
「・・・・ええっと」
言うの!?
貴方が出て来た夢ですーって!
「・・・・聞いちゃ悪かったか?」
「あ、いえ、そのっ・・・」
「好きな奴が出て来たとか?」
「・・・・・っはい」
言い当てられて、思わず頷いた。
「・・・・・へー」
「私・・・好きな人が、居まして。その人にずっと会う為に頑張ってたんです」
「頑張ってた?過去形か?」
「もう・・・会えましたから」
そして今目の前に居るんですけどね!
「・・・もしかしてこの船に居るのか、そいつ」
「はい」
「・・・誰か聞いてもいいか?」
「ええええ!?さささすがにそれは、その・・・」
言っちゃう!?今言っちゃう!?
今がチャンス・・・・!?
「・・・だよな。ごめん」
「い、いえ。・・・エース隊長はいらっしゃるんですか、その・・・そういう方」
ドキドキ。
勇気を出して聞いてみたら、
「居るな」
あっさりと返って来た。
「だっ誰・・・ですか」
「内緒」
「・・・・ですよね」
「まァ、好きっつーか気になってる奴」
誰だろうナースさんかな、ナースさんしかいないよねこの船の女の人なら!
エマじゃないよね!?
・・・私、だったらいいのに。
そんな訳ないのは明白だけど。
「・・・その方のことを、好きになったと気付かれたら告白するんですか?」
「する」
「・・・即答ですか」
「そりゃそうだろ。好きな奴取られたくねェし」
「・・・ですよね」
さすがエース隊長。
もしエース隊長がその人と両想いになったら、
私は祝福できるだろうか。
「アコはしねェの?告白」
「・・・したいとは思うんですが。その前にしなきゃいけないことが、ありまして」
「しなきゃいけないこと?襲うとか?」
「おそっ・・・・!いません!・・・確認、を」
「確認?」
「・・・・あの、エース隊長」
今だ。
聞くんだ。
私のこと、覚えてますかって。
どくんどくん響く心臓を押さえつけて。
「私実は、エース隊長と1度お会いしてまして!」
叫んで顔を見ようとしたら。
「・・・・・・・・えーす隊長・・・・」
・・・・・エース隊長のお顔は隣にありませんでした。
テーブルにつっぷしてました。
・・・気持ちよさそうに、寝ていらっしゃいました。
はぁ・・・私の覚悟、ドンマイ。
美味しい紅茶を飲み干したとこで、
エース隊長が突然がばっと起き上がった。
「・・・・起きた」
「おはよう御座います。もう11時過ぎてますけど」
私も朝ごはん今食べ終わったばっかりですけど!
「・・・何か話してたよな、俺」
「え、あ」
・・・・もう話せません。
「悪ィ、何だっけ」
「いえ、たいした話しでは・・・・あ、エース隊長はドラゴンブレスってご存知ですか!?」
なくなった、勇気。
なので話題を無理やり変えてみた。
「ドラゴン・・・ブレス?知らねェ」
「竜の吐息、っていう意味なんですけど」
「竜の息がどうしたって?」
「そういう石があるんです。赤の中に青いシラーが揺らめいて・・・エース隊長の炎みたいな」
「俺の炎・・・そんな感じか?」
「はい、とっても綺麗です」
「・・・初めて言われた」
戸惑っているような、照れているような。
そんな顔があの時と少し似ていて。
・・・ずっと、見ていたかった。
「ありがとな、アコ」
「いえ・・・!」
「そんでさ」
「はい」
「アコの好きな奴ってどんな奴?」
「はい!?」
続くのその話し!?
「名前は言わなくてもいいからよ。どんな奴かくれェいいだろ?」
「・・・強くて優しくて、私に生きる目標をくれた人です」
「・・・アコ、同じ顔してるぜ」
「え?」
「今朝見た寝顔と同じ顔」
「あ・・・・っ!そういえば私寝顔見られてたんでした・・・!!」
「何だ、今更。可愛かったぜ?」
今度は私がテーブルに顔を伏せる番でした。
・・・・恥ずかしい!
+1日の始まりから 終+