僕ときみと
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「アコー準備いい?」
「はいー大丈夫です!」
「いつも通りだから、あんまり気にしなくていいから」
「はい!」
今日は健康診断。
といっても私が受け持つのは診察で。
ベテランナースさんがそれまでの書類を見ながら問診して、
私はそれを記入していくだけ。
今日は人数が多くて大変だけど、比較的簡単な仕事だし頑張らないと。
・・・・この後も、やることあるし!
コンコン、とドアがノックされた。
来た!
「どうぞっ」
健康診断が、始まった。
「はい、じゃあこれ持って次行ってくださーい」
「アコちゃん頑張ってんなァ。可愛いよー」
「あはは、有難う御座いますー」
ここの人たちはお世辞がお上手。
「はい次の方ー」
声をかけてドアを開けたら、
「よォアコ」
「あ、エース隊長」
「これ、よろしくな」
「はい、お預かりします」
エース隊長から書類を受け取って、
問診開始。
「基本的には問題ありませんね・・・何か気になることは?」
「別にねェな」
「1年前に比べて体重の増減が3キロ以上ありました?」
「それもねェ」
先輩の質問に淡々と答えていくエース隊長。
「はい、じゃあそのままで。聴診器当てます」
メモしながら、聴診器を当てる先輩を見て。
・・・・あれ、先輩が首を傾げた。
「少し脈が速いですね・・・」
「・・・そっか?」
「緊張してらっしゃいます?」
「・・・・いや別に」
エース隊長は健康診断はもう経験済みのはずだし、緊張するとも思えないんだけど。
ま・・・まさか何かの病の前兆!?
「お顔も少し赤いようですが・・・熱があるのかしら」
「・・・ねェよ」
「あら。・・・エース隊長もしかして」
「何だよ」
戸惑う私を先輩が横目でちら、と見た。
「アコ。悪いんだけど喉乾いちゃったの、お茶持ってきてくれるかしら」
「あ、はい!」
本当はエース隊長のことが気がかりだったんだけど、仕方なく、
「失礼します」
・・・部屋を出た。
お茶を用意して戻ったら、すでにエース隊長は居なくて。
「・・・お茶です」
「有難うアコ、ごめんなさいね」
「いえ・・・」
エース隊長のこと聞きたいけど・・・。
「じゃあ続き、呼ぶわよ」
「はい・・・」
・・・・ですよね。そんな暇ない。
白ひげ海賊団はものすっごい人が居るんだもん。
お茶を一口飲んだ先輩に頷いて、次の人を呼んだ。
それから続々と問診は続くので、
お昼休憩に入る頃には結構疲れて、聞けずじまい。
「じゃあお昼休憩ね。お疲れ様」
「はいぃ・・・・・」
食堂で、エマと休憩。
「疲れたぁぁ・・・」
「ふふ、お疲れ様」
エマは全然疲れてなさそう。
「エマはすごいねえ・・・」
「普段あんまりすることないから、嬉しいの」
「偉いねえ・・・」
「この後もあるんだから、しっかり食べないと駄目よ?」
「うん・・・・あ、そういえばエマ今日の夜大丈夫だよね?」
この後、と言われて思い出した。
確認すればエマは渋々、といった感じで頷いた。
「わかってるわ。・・・アレでしょう?」
「うん、アレ」
さっき確認しそびれたけど、きっと相手の方も大丈夫。
「・・・怖い?やっぱり」
「・・・大丈夫、頑張るわ」
エマは・・・強いなぁ。
午後も頑張らねば・・・!
「こっちは準備出来てるぜ」
気合を入れた私の隣に座ったのは、
「わ、有難う御座います・・・!」
エース隊長。
「エース隊長まで巻き込んで・・・申し訳ありません、私事ですのに」
「気にすんなって。それより上手くいくといいな」
「・・・有難う御座います」
エマがお礼を言ったところで。
「あ・・・あのエース隊長」
「ん?」
「さっき・・・脈が多かったようですが」
気になってたことを聞いてみると、
「ああ、やり直したら正常だった」
・・・アッサリと答えが返って来た。
「せ・・・正常だったんですか?ほんとに?」
「問題ねェってよ」
「良かった・・・」
「心配してくれてたんだな。ありがとな、アコ」
嬉しそうなエース隊長にこっちも嬉しくなる。
何より正常でほっとした。
「午後も頑張ります!」
「おう、頑張れよ」
「はいっ」
午後も、
『お酒飲み過ぎです』
な人だったり、
『食べすぎ』な人だったりが来て、
無事に終わった。
注意が必要な人はいたけど、大変な人も居なかったので一安心。
・・・・で、健康診断が無事に終わった祝いの宴。
「行くよエマ!」
「・・・ええ」
目指すはエース隊長の部屋。
そこで行われる4人だけの宴。
コンコン、と軽くノックして、
「開いてるぜ」
「失礼します」
エマと2人で入った先で、
エース隊長とマルコ隊長はもう飲んでいた。
「悪ィ、先に飲んでた」
「いえいえ、どうぞお構いなく・・・」
さりげなく視線を合わせて、
マルコ隊長の隣にエマを座らせた。
「あの、これエマと2人で作ったので」
ね、とエマに言ってみたら、緊張した面持ちでこくりと頷いた。
「へェ、美味そう。エマとアコの手作りだってよマルコ」
レンコンのはさみ揚げと明太子チーズ卵焼き。
「お口に合えば良いのですが・・・」
「もらうよい」
マルコ隊長は卵焼きを口に淹れてもぐもぐ。
たまりかねた私が、
「美味しいですか!?」
・・・聞いてみると、
「美味いよい」
一言。
「良かったね、エマ」
「・・・有難う御座います」
それでもまだ緊張した様子のエマに、
「うし!じゃあ乾杯!」
「か、乾杯っ」
「・・・はい」
「・・・よい」
エース隊長の声掛けで乾杯。
「あの・・・マルコ隊長は嫌いな食べ物などはありますでしょうか」
おお!エマが頑張って声かけた!
「海賊やってる以上好き嫌いなんて言ってられねェだろい」
「・・・失礼しました」
・・・・駄目だこれ。
「おおお俺もねェぞ好き嫌い!」
慌てたようにエース隊長のフォローが入る。
「わああお二人とも流石です!」
「つーか美味ェなコレ!な、マルコ!」
「食える味だねい」
・・・・・・ほんと駄目だコレ。
案の定エマも落ち込んでる。
「そっそういえばマルコ隊長健康診断はいかがでした!?」
「いつも通りだい」
・・・会話が!!
「今日エマめっちゃ頑張ってたね!」
「・・・別に、やるべきことをしていただけだから」
「そんなことねェって、頑張ってたよな!わかりやすい説明だったし、助かった」
ああ、エース隊長の優しいこと・・・!
「普通だろい」
・・・・・マルコ隊長の、冷たいこと。
「おいマルコ」
「・・・マルコ隊長、失礼ですが」
「何だよい」
「私たちは、家族ですよね?」
「・・・何が言いてェ」
「まだ入ったばかりですが、私たちは確かに船長に認められて入船しました」
「アコ、いいのよ」
「エマは黙って。・・・ですから、もう少し歩み寄りましょうよ」
「・・・歩み寄る、ねい。例えば?」
「笑いましょう!」
「おかしくもねェのに笑えねェよい」
「じゃっじゃあ・・・・・・・・えーと、布団が吹っ飛んだ!!」
何か言わなきゃと思ってぱっと頭に思い浮かんではみたけど。
・・・・言わなきゃ良かった。
目の前のマルコ隊長の呆れ顔。
でも、
「はははは!!面白ェ!」
・・・エース隊長は笑ってくれた。
「どうですか!エース隊長は笑ってくれましたよ!?」
「面白ェだろ、アコは」
え、私?
笑うエース隊長とは対照的にマルコ隊長は仏頂面で、
「態度が気に入らないってんなら謝るよい。・・・だが俺は元々こんなんだい」
気まずさそうに言った。
「・・・えーと、率直にお聞きしますが、エマに対して敵意は」
「ねェよい」
「・・・だって、エマ。マルコ隊長はただ人見知りが激しいだけだって」
マルコ隊長の即答に安心してエマに笑いかけたら、目を丸くして驚いたまま。
「誰が人見知りだよい!」
「もうそういうことにしておいて下さい!」
「ちょっと、アコ・・・!」
「マルコかーわいい」
「エース・・・てめェ後で覚えてろよい」
「俺だけかよ!?」
「私たちはお咎めなしだって!マルコ隊長は優しいでしょ?エマ」
「・・・・ええ、本当に。ふふ、マルコ隊長は照れ屋さんなだけなんですのね」
「ぶはっ、マルコが照れ屋・・・ぶふぅっ!」
「・・・・・エース」
「やべェ、アコ、エマ、逃げろ!」
ぞぞっと背中が粟立った。
うわあマルコ隊長が本気で怒ってらっしゃる!
「エース隊長すみません!エマ、行こう!」
「え!?」
エマの手を取って、
「失礼しました!」
慌てて部屋を出た。
・・・・顔怖かった。
「もう、アコったら。無茶するんだから」
「いやーもう自棄で」
「・・・エース隊長大丈夫かしら」
「・・・・大丈夫だよたぶん。・・・それより少しは印象変わった?」
「ええ、だいぶ。あんな人だったなんて・・・ふふっ」
エマもほっとしたのか、自然な笑顔。
「アコのおかげよ、有難う」
「どういたしまして!」
・・・・あとでエース隊長には謝っておこうと思った。
+大忙し 終 +