僕ときみと
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「知識はあるけど経験不足ね」
「・・・・・はい」
「ってことで貴方は補佐」
試験の結果が出たそうだ。
私は、
「怪我人が出た時に手当の補佐役ってことよ。まずはそれで様子見ましょう」
「っはい!」
補佐役。
補佐でも何でも、役に立てるなら嬉しい。
・・・もし、エース隊長が怪我しても。
私が手当て出来たらいいなぁ。
「って言ってもほとんど怪我人なんて出ないから退屈なのよね」
「戦闘がほとんどないってことですか?」
「まあそれもあるんだけどね、でもあるにはあるのよ?ただ怪我もしないし、しても来ないのよ」
「・・・・来ないんですか?」
「来るのは口説きにくるのばっかりよ」
「・・・・・はあ」
「今日の夜までに予定表作っておくから、宴の時に渡すわね」
「宴・・・・ですか?」
「そうよ」
「え、でも一昨日も昨日も」
やったはずでは。
「やあね、毎日が宴よここでは」
「・・・・わーい」
・・・嬉しそうな声は、出せなかった。
「太りそう」
「太ったわ、私」
エマが苦笑して言う。
宴の席。
「・・・やっぱり?」
目の前に並べられてるご馳走の数々。
海賊っていうのは毎日が宴なのか・・・!
料理もすごく美味しいしお酒も進むし。
「私何もしなくていいのかなぁ」
「予定表もらったんでしょう?その通りにすればいいと思うわ」
「・・・うん」
「酔って喧嘩したりする人も出て来るでしょうけど、ちょっとやそっとの怪我じゃ誰も医務室には来ないもの」
「・・・そうなんだね」
「それよりアコ、エース隊長あそこにいるわよ」
ドキ。
「・・・・うん、知ってた」
実はエース隊長が近くに居る。
「話しかけないの?」
ちら、と斜め前のエース隊長を見る。
2番隊の隊員の人たちと楽しそうにお酒を酌み交わしてる姿。
・・・・カッコいいなぁ。
「邪魔しちゃ悪いし・・・」
挨拶はこの間しちゃったし。
「でも、せっかくのチャンスなのに」
「そう・・・・なんだけど」
うーん、うーん・・・!
「・・・・やっぱ無理」
「あら」
「たっ・・・タイミング見計らって話しかけてみる!」
「その意気よ、頑張って」
頑張って、と言いながらエマがお酒を注いでくれる。
ぐびぐびと飲み干す。
あー美味しい。
「私もエマみたいに可愛かったらもっと自信持っていけたんだけどな」
「ふふ、アコも可愛いわよ?」
「・・・有難う」
・・・でも、私が知らないだけで。
エース隊長に恋人が居るかもしれないんだよね、とも思う。
・・・いやいや、それでもいいと思ってこの船に乗ったんだから。
会えただけで、幸せなんだから。
「エマは好きな人・・・居ないの?」
「私?勿論オヤジ様よ」
「・・・・恋?」
「どちらかといえば敬愛ね。でも幸せなことに変わりないわ」
「そっかぁ・・・・」
まるで花が開いたような笑顔。
いいなあ女の子らしくて。
「・・・・あら、私急用思い出したわ。ごめんなさいねアコ」
突然エマが立ち上がって、
「え、あ・・・うん」
何処かへ行ってしまった。
・・・・1人になっちゃった。
ま、いっか。
仕方なく目の前の唐揚げに手を伸ばしたら、
「美味いな」
「・・・・・・・は?」
鍛えられた腕が見えた。
「ここはこんなに肉余ってんのな。俺らんとこもうないんだぜ?」
「ど・・・・どうぞお持ち下さい・・・・!!」
何ならもう皿ごと!!
驚く私に爽やかに笑うエース隊長が、唐揚げを口に立っていた。
「いいや、ここで食う」
「え」
「1人で飯食っててもつまんねェだろ?」
そう言ってエース隊長が私の前に座る。
あばばば!!
こんなとこで1人でご飯食べてる可哀想な奴って思われたんだきっと!
「いいいいえ!さっきまで居たんです人が!可愛い子が!ここに!」
「知ってる」
「ご存知で!?」
「エマだろ?今居なくなったの見てたし」
「さ・・・さようで」
「俺と一緒に飯は嫌か」
「嬉しいです!!!」
我ながら勢い良すぎた。
でもそう気づいた時には遅くて。
逆に嘘くさい!?疑われる!?って思ったけど、
「・・・・・・そっか」
嬉しそうなエース隊長の笑顔が、
そんな不安を帳消しにした。
「かっ・・・・・から揚げ、いっぱい食べて下さい」
私が作ったんじゃないけど!
「遠慮なくいただきます。・・・で、そろそろ結果出たか?」
「結果・・・・ですか?」
エース隊長は丁寧にお辞儀した後唐揚げを次々と口に放り込んでいく。
「この間の試験のやつ・・・・ん、美味ェ」
「あ、はい。補佐役になりました」
「補佐役か・・・んじゃ医務室メインだな」
「そう、ですね」
「俺が怪我した時は頼むな」
「勿論です!・・・・でも、なるべく怪我されないようにも祈ってます・・・!」
会えるのは嬉しいけど、
怪我されるのは心配だし。
「ああ、サンキュ」
「よ・・・良かったらサラダもどうぞ!健康の為にも!」
「ん、食う」
食う。
そう言ったエース隊長はそのまま、口を大きく開けた。
・・・・・え、何これ。
ええええちょっと待って!!
食べさせろってこと!?
・・・・・・よ、よし!
フォークでサラダを取って、
思い切ってエース隊長の口に・・・・近づける。
て・・・・・手が震える!!
そっと口の中に放り込んで、慌てて手をひっこめた。
「・・・・い・・・・如何ですか?」
「美味ェ」
エース隊長、満面の笑み・・・・!
はああ・・・・!!
「エース隊長は好き嫌い、ないんですね」
「おう、何でも食うぜ」
「素晴らしいですね!じゃあ風邪も?」
「ここ数年はまったくひかねェ。っつーかアコも食えよ」
「有難く頂いております!」
「・・・何かかたくねェか?」
「え、お肉固いですか?」
「肉じゃなくて、お前が」
エース隊長が変な顔で私を見る。
「そ・・・そうでしょうか」
そりゃ緊張もする。
「俺が怖いか?」
「大好きです!!」
「・・・ははっ、ありがとな。じゃあ何か困ってることでもあんのか?」
「いえいえ!ただその・・・毎日宴に困惑してるだけです・・・」
毎日宴とは思ってなかったから・・・!
「困惑する必要何かねぇよ、楽しめばいいんだ」
「・・・いいんでしょうか」
「いいんだよ、海賊なんだから楽しまなきゃ損だろ?」
「・・・ですね!」
「つまんなかったらいつでも俺んとこ来いよ、すげェ話したっくさん聞かせてやるから」
「是非!!」
「んじゃ改めて、乾杯」
「乾杯・・・っ」
宴は最高です。
+毎日が宴 終+