僕ときみと
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大きい大きい、モビーディック号。
私は生まれ育った島を昨日出て、
この船に乗って海に出た。
「船長の体調管理と、クルーの手当てが私たちのメインの仕事よ」
「はい」
「最初から船長のお側には居られないけど・・・頑張ってね」
「有難う御座います!」
念願の、白ひげ海賊団のナースとして。
アコ、19歳。
私・・・・ついにデビューしました。
2人で1部屋だから、と案内された部屋。
「新しいナースよ、エマ。色々教えてあげて」
「アコ・・・です。よろしくお願いします」
「エマよ。敬語はいらないわ、よろしくね」
同室のエマはとても優しそうで、笑顔の可愛い女の子だった。
同じ年齢くらいかな?
「アコはスカウトされたの?」
「ううん、私の島に白ひげ海賊団が来てるって聞いてアピールしに行ったの。エマは?」
「私も同じだわ。ずっと白ひげ海賊団のナースに憧れてたのよ」
「ここに入ってどのくらい?」
「まだ1か月なの。・・・仲良くしてくれる?」
不安げに見つめて来る女の子らしいエマにほっとして、
「こちらこそ、よろしくだよエマ」
・・・・・でも私にはとっても気になることがある。
私が白ひげ海賊団に入った、目的。
「・・・エマはどうしてここのナースになりたかったの?」
「・・・船長に憧れていたから。船長に会いたくて触れたくて、側に居たかったし力になりたかったの。アコは?」
「・・・・内緒にしてくれる?」
「え?」
「・・・好きな人が、いるの。ずっと片思いなんだけどね?」
「あら、素敵。勿論誰にも言わないわ。・・・誰?」
私は、その人に会う為に頑張って来た。
3年前に島に来た時、きっとまた来るって言ってたから。
その人に、会って。
・・・・大好きですって伝える為に。
「・・・・エース隊長」
「エース隊長!?2番隊の!?」
「・・・・そう」
頷いたら何だか恥ずかしくなってきた。
後悔は、してないけど。
「カッコ良くて優しいものね、でもその分ライバルも多いから・・・頑張って!」
「・・・応援してくれる?」
「ふふ、勿論よ」
3年前、エース隊長に会った時から。
私は再び会うことを目標に頑張って来た。
・・・まだ、会えてないけど。
「それでエース隊長にはもう会ったの?」
「・・・・まだ」
「あら、じゃあ今から会いに行きましょう?」
「今から!?」
にっこりと笑ってエマがとんでもないことを言いだした。
「新人ナースの紹介よ、いいでしょう?」
「・・・お願いします」
チャンスだ。
・・・エース隊長が私のことを覚えてなくても、
覚えてても。
また話せるようになれば。
ドキドキドキドキ、
島を出た時よりもっと緊張した状態で、
「エース隊長、いらっしゃいますか?」
コンコン、とエマがドアをノックする。
こっ・・・ここがエース隊長のお部屋!
「ん、誰だ?」
どくん、と心臓が大きく動いた。
久しぶりに聞く彼の声。
「エマです。新人ナースの紹介に参りました」
「おー」
短い返事の後、ドアがガチャ、と開いた。
「昨日から入ったアコです、私と相部屋ですので、何かありましたらいつでもお待ちしております」
「あ・・・・っアコ・・・です」
「ああ、よろしくなアコ!」
久しぶりに見た彼は、
とても元気そうで。
・・・・・私に最高の笑顔を向けてくれた。
でも。
・・・・・・・・私のこと、覚えてなかった。
覚悟してたはずなのに、
想像以上にショックだった。
本当に、挨拶だけだった。
「どうかした、アコ?」
「・・・何でも、ない。エース隊長、カッコ良かったぁ」
心配そうなエマに笑ってみせた。
覚えてなくてもいいって思ってたはずなのにな。
「そしたら、最初の仕事を教えるわね」
「お・・・お願いします!」
気合を入れたところでエマから言われたのは。
「この船の構図を覚えること」
「・・・・え?」
「何かあった時すぐに駆けつけられるようにしとかないといけないのよ。広いからとっても大変」
「そ・・・そっか・・・そうだよね・・・」
とりあえずエース隊長の部屋だけは覚えた、うん。
「あと各隊の隊長の名前と顔もね」
「・・・・はい」
「早めにクルー全員の顔も覚えないと駄目よ」
「・・・・全員?」
「だって敵船の人間が来たとき区別がつかないじゃない?」
「・・・確かに」
思ってたより大変だった・・・・!
絶望に打ちひしがれる私にエマが笑った。
「大丈夫、私も覚えてないの。・・・これ、内緒ね?」
「・・・うん、内緒」
不安だったけど、同室の子と仲良くなれて良かった。
覚えることは本当にたくさんで大変だけど、
頑張ろう。
歩きながらそう決意して、
「ここが食堂。今厨房に立っていらっしゃるのが4番隊のサッチ隊長よ」
「サッチ隊長・・・」
「あの席で座って珈琲を飲んでるのが1番隊のマルコ隊長」
「マルコ隊長・・・・・不死鳥?」
「そうよ。・・・あのね、ここだけの話しなんだけどね?」
「うん?」
エマが口元を私の耳に寄せて、小さい声で呟いた。
「私、マルコ隊長苦手なの」
「・・・怖いの?」
「ええ、とっても。すれ違う度睨み付けられるのよ」
「・・・そっかぁ、覚えとく」
まあ海賊だし、そんなものかもしれない。
それから色んなところを案内してもらって、
部屋に戻った。
「・・・・・何か疲れた」
「あら、こんなことで疲れてたらもたないわよ?」
「・・・だよね。頑張る。次は何すればいい?」
「この書類に目を通しておくことと、あとこれ」
「・・・・何?これ」
「試験みたいなものかしら」
「試験・・・・みたいなもの?」
これ、と言って渡されたものには医学の問が綴られている。
「ほら、得意な分野ってあるでしょう?それを調べるみたい。私は今のとこ説明係」
「・・・・説明係」
「答えは私も教えてあげられないから、頑張ってね」
「提出期限は?」
「明日のお昼までよ」
「・・・・・・・・頑張ります」
・・・・・もうすぐ夜が来る。
「うー・・・・・」
「私のことはいいのよ?アコ」
「・・・ううん、大丈夫。行ってくるね」
宴も終わって、皆それぞれに自分の部屋やそこらへんで寝てる時間。
私はまだ試験が終わってない。
夜通しかけてやりたいけど、同室のエマに迷惑がかかるので、食堂に行くことにした。
珈琲でも飲んで頑張らないと。
「そう?じゃあ頑張ってね、おやすみなさい」
「おやすみなさい・・・」
もうすっかり薄暗い船内。
記憶を頼りに歩いて行って、
「・・・・ここ・・・・だよね」
・・・・昼間の記憶と一致する場所に着いた。
あれ、明かり点いてる。
誰か居る。
「し・・・失礼しまーす」
「ん?」
広い食堂にぽつんと座ってた人が振り向いた。
「あ」
口いっぱいに何か(恐らく食べ物)を頬張って、驚いた顔で私を見たその人は、
「え・・・エース・・・隊長」
心臓がどっくん、と大きく跳び上がった。
エース隊長は私を見てごっくんと食べ物を飲み込んだ。
そして鋭い視線で私を見つめる。
「・・・お前、1人か?」
「あ・・・はい」
こくこくと頷いたら、エース隊長は安心したように笑った。
「そっか。じゃあこれ内緒な」
「これ・・・・って」
目の前の食べ物、そして1人で食べていたこと、
内緒、という意味。
「・・・・・つまみ食い、ですか?」
「おう。特にマルコとサッチには言うな」
「・・・了解しました」
真剣な顔に苦笑して頷いた。
・・・つまみ食いかぁ、お腹すいてるのかな。
「で、アコは何してんだ、こんな時間に」
「え?あ・・・・し・・・試験を」
「試験?」
名前を呼ばれた上に、今更2人きりだったことに気が付いて頭が真っ白になり始めた。
どどどどどうする私!
ここここっここっ、告白・・・・!
はまだ無理ィ!!
「ああああの!その、入ったばかり、なので!」
「ああ、ナース皆がやるやつな」
「お、終わらなくて、珈琲でも飲みながらやろうかと!」
「じゃあ俺が珈琲淹れてやるよ」
「ええええええ!?めめめ滅相も御座いません!じじじ自分でやりますから!」
さっと立ち上がったエース隊長に慌てて遠慮するけど、
「いいから座っとけって」
「あのっでもっ」
新人ナースが白ひげ海賊団2番隊隊長に珈琲淹れさせるなんて!
大事件だ!
「ほら、やるんだろ試験。頑張れよな」
「・・・・・・っはい!」
ああ、こんな幸せな夜が来るなんて。
エース隊長の一言で、
私のやる気は俄然上がりましたとさ。
これが、
私の白ひげ海賊団での始まりの一夜。
+始まりの1歩 終+
私は生まれ育った島を昨日出て、
この船に乗って海に出た。
「船長の体調管理と、クルーの手当てが私たちのメインの仕事よ」
「はい」
「最初から船長のお側には居られないけど・・・頑張ってね」
「有難う御座います!」
念願の、白ひげ海賊団のナースとして。
アコ、19歳。
私・・・・ついにデビューしました。
2人で1部屋だから、と案内された部屋。
「新しいナースよ、エマ。色々教えてあげて」
「アコ・・・です。よろしくお願いします」
「エマよ。敬語はいらないわ、よろしくね」
同室のエマはとても優しそうで、笑顔の可愛い女の子だった。
同じ年齢くらいかな?
「アコはスカウトされたの?」
「ううん、私の島に白ひげ海賊団が来てるって聞いてアピールしに行ったの。エマは?」
「私も同じだわ。ずっと白ひげ海賊団のナースに憧れてたのよ」
「ここに入ってどのくらい?」
「まだ1か月なの。・・・仲良くしてくれる?」
不安げに見つめて来る女の子らしいエマにほっとして、
「こちらこそ、よろしくだよエマ」
・・・・・でも私にはとっても気になることがある。
私が白ひげ海賊団に入った、目的。
「・・・エマはどうしてここのナースになりたかったの?」
「・・・船長に憧れていたから。船長に会いたくて触れたくて、側に居たかったし力になりたかったの。アコは?」
「・・・・内緒にしてくれる?」
「え?」
「・・・好きな人が、いるの。ずっと片思いなんだけどね?」
「あら、素敵。勿論誰にも言わないわ。・・・誰?」
私は、その人に会う為に頑張って来た。
3年前に島に来た時、きっとまた来るって言ってたから。
その人に、会って。
・・・・大好きですって伝える為に。
「・・・・エース隊長」
「エース隊長!?2番隊の!?」
「・・・・そう」
頷いたら何だか恥ずかしくなってきた。
後悔は、してないけど。
「カッコ良くて優しいものね、でもその分ライバルも多いから・・・頑張って!」
「・・・応援してくれる?」
「ふふ、勿論よ」
3年前、エース隊長に会った時から。
私は再び会うことを目標に頑張って来た。
・・・まだ、会えてないけど。
「それでエース隊長にはもう会ったの?」
「・・・・まだ」
「あら、じゃあ今から会いに行きましょう?」
「今から!?」
にっこりと笑ってエマがとんでもないことを言いだした。
「新人ナースの紹介よ、いいでしょう?」
「・・・お願いします」
チャンスだ。
・・・エース隊長が私のことを覚えてなくても、
覚えてても。
また話せるようになれば。
ドキドキドキドキ、
島を出た時よりもっと緊張した状態で、
「エース隊長、いらっしゃいますか?」
コンコン、とエマがドアをノックする。
こっ・・・ここがエース隊長のお部屋!
「ん、誰だ?」
どくん、と心臓が大きく動いた。
久しぶりに聞く彼の声。
「エマです。新人ナースの紹介に参りました」
「おー」
短い返事の後、ドアがガチャ、と開いた。
「昨日から入ったアコです、私と相部屋ですので、何かありましたらいつでもお待ちしております」
「あ・・・・っアコ・・・です」
「ああ、よろしくなアコ!」
久しぶりに見た彼は、
とても元気そうで。
・・・・・私に最高の笑顔を向けてくれた。
でも。
・・・・・・・・私のこと、覚えてなかった。
覚悟してたはずなのに、
想像以上にショックだった。
本当に、挨拶だけだった。
「どうかした、アコ?」
「・・・何でも、ない。エース隊長、カッコ良かったぁ」
心配そうなエマに笑ってみせた。
覚えてなくてもいいって思ってたはずなのにな。
「そしたら、最初の仕事を教えるわね」
「お・・・お願いします!」
気合を入れたところでエマから言われたのは。
「この船の構図を覚えること」
「・・・・え?」
「何かあった時すぐに駆けつけられるようにしとかないといけないのよ。広いからとっても大変」
「そ・・・そっか・・・そうだよね・・・」
とりあえずエース隊長の部屋だけは覚えた、うん。
「あと各隊の隊長の名前と顔もね」
「・・・・はい」
「早めにクルー全員の顔も覚えないと駄目よ」
「・・・・全員?」
「だって敵船の人間が来たとき区別がつかないじゃない?」
「・・・確かに」
思ってたより大変だった・・・・!
絶望に打ちひしがれる私にエマが笑った。
「大丈夫、私も覚えてないの。・・・これ、内緒ね?」
「・・・うん、内緒」
不安だったけど、同室の子と仲良くなれて良かった。
覚えることは本当にたくさんで大変だけど、
頑張ろう。
歩きながらそう決意して、
「ここが食堂。今厨房に立っていらっしゃるのが4番隊のサッチ隊長よ」
「サッチ隊長・・・」
「あの席で座って珈琲を飲んでるのが1番隊のマルコ隊長」
「マルコ隊長・・・・・不死鳥?」
「そうよ。・・・あのね、ここだけの話しなんだけどね?」
「うん?」
エマが口元を私の耳に寄せて、小さい声で呟いた。
「私、マルコ隊長苦手なの」
「・・・怖いの?」
「ええ、とっても。すれ違う度睨み付けられるのよ」
「・・・そっかぁ、覚えとく」
まあ海賊だし、そんなものかもしれない。
それから色んなところを案内してもらって、
部屋に戻った。
「・・・・・何か疲れた」
「あら、こんなことで疲れてたらもたないわよ?」
「・・・だよね。頑張る。次は何すればいい?」
「この書類に目を通しておくことと、あとこれ」
「・・・・何?これ」
「試験みたいなものかしら」
「試験・・・・みたいなもの?」
これ、と言って渡されたものには医学の問が綴られている。
「ほら、得意な分野ってあるでしょう?それを調べるみたい。私は今のとこ説明係」
「・・・・説明係」
「答えは私も教えてあげられないから、頑張ってね」
「提出期限は?」
「明日のお昼までよ」
「・・・・・・・・頑張ります」
・・・・・もうすぐ夜が来る。
「うー・・・・・」
「私のことはいいのよ?アコ」
「・・・ううん、大丈夫。行ってくるね」
宴も終わって、皆それぞれに自分の部屋やそこらへんで寝てる時間。
私はまだ試験が終わってない。
夜通しかけてやりたいけど、同室のエマに迷惑がかかるので、食堂に行くことにした。
珈琲でも飲んで頑張らないと。
「そう?じゃあ頑張ってね、おやすみなさい」
「おやすみなさい・・・」
もうすっかり薄暗い船内。
記憶を頼りに歩いて行って、
「・・・・ここ・・・・だよね」
・・・・昼間の記憶と一致する場所に着いた。
あれ、明かり点いてる。
誰か居る。
「し・・・失礼しまーす」
「ん?」
広い食堂にぽつんと座ってた人が振り向いた。
「あ」
口いっぱいに何か(恐らく食べ物)を頬張って、驚いた顔で私を見たその人は、
「え・・・エース・・・隊長」
心臓がどっくん、と大きく跳び上がった。
エース隊長は私を見てごっくんと食べ物を飲み込んだ。
そして鋭い視線で私を見つめる。
「・・・お前、1人か?」
「あ・・・はい」
こくこくと頷いたら、エース隊長は安心したように笑った。
「そっか。じゃあこれ内緒な」
「これ・・・・って」
目の前の食べ物、そして1人で食べていたこと、
内緒、という意味。
「・・・・・つまみ食い、ですか?」
「おう。特にマルコとサッチには言うな」
「・・・了解しました」
真剣な顔に苦笑して頷いた。
・・・つまみ食いかぁ、お腹すいてるのかな。
「で、アコは何してんだ、こんな時間に」
「え?あ・・・・し・・・試験を」
「試験?」
名前を呼ばれた上に、今更2人きりだったことに気が付いて頭が真っ白になり始めた。
どどどどどうする私!
ここここっここっ、告白・・・・!
はまだ無理ィ!!
「ああああの!その、入ったばかり、なので!」
「ああ、ナース皆がやるやつな」
「お、終わらなくて、珈琲でも飲みながらやろうかと!」
「じゃあ俺が珈琲淹れてやるよ」
「ええええええ!?めめめ滅相も御座いません!じじじ自分でやりますから!」
さっと立ち上がったエース隊長に慌てて遠慮するけど、
「いいから座っとけって」
「あのっでもっ」
新人ナースが白ひげ海賊団2番隊隊長に珈琲淹れさせるなんて!
大事件だ!
「ほら、やるんだろ試験。頑張れよな」
「・・・・・・っはい!」
ああ、こんな幸せな夜が来るなんて。
エース隊長の一言で、
私のやる気は俄然上がりましたとさ。
これが、
私の白ひげ海賊団での始まりの一夜。
+始まりの1歩 終+