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「サッチさーんこれどこにしまいま、す・・・・」
いつものようにエースさんの見てる前でのお手伝い。
拭いたお皿を何処に片付けるかを聞こうとサッチさんの方に向いた時のことだった。
いきなり抱きしめられてしまった。
サッチさんに、だ。
「・・・・・・・・・・・サッチさん?」
「ごめんなーアコちゃん。好きだから許して?」
訳がわからず助けを求めてエースさんに視線を向けるけど、むっとした顔で腕を組んで座ったまま。
こちらを睨んで、でも動こうとはしない。
「サッチさん?どうしました!?」
「・・・・・・・・・・・うーん」
「具合が悪いとか!?」
「いや具合は全然悪くない。むしろ健康?」
「・・・・・・ならいいんですけど」
そう言えばサッチさんはあっさりと離れた。
「はーい失敗。良かったなエース」
そしてそのままエースさんにそう声をかけるサッチさん。
・・・・・・・・失敗?
「何だったんですかサッチさん。エースさんも」
「俺は言っちゃいけないことになってんだよなー。ごめんねえアコちゃん」
もう終わっていいからさ、とサッチさんはごめんのポーズを取って笑って。
「・・・・・・・エースさん?」
「よし、次行くぞアコ」
「次?」
サッチさんの謎の行動の理由を教えてくれないままエースさんは次、と言って私の手を取った。
そして連れて行かれた先は。
「マルコさん?」
「・・・・・・・・・何で俺なんだよい」
嫌そうに顔を歪めて、マルコさんはそれからサッチさんと同じように私を軽く抱きしめた。
何!?
何が起こってるの!?
「マルコさんまでどうしました!?」
「・・・・・・・・いいから大人しくしてろい」
耳元で呟かれた低い声。
うわ怖い。
「もしかして私を抱きしめると願いが叶うとかいいことがあるとかいう噂でもあるんですかね!?」
あったとしてもマルコさんがそれを信じるとも思えないんですけど!
「うるせえよい」
「はひっすみませんっ」
更に低くなった声音にびくっとなる。
そしてマルコさんは次に、
「おい。俺が・・・・お前のこと好きだっつったらどうするんだい」
と、とんでもないことを言い出した。
「はいいいい!?」
やっぱりどうしたらいいかわからない展開にエースさんを見るけど、
エースさんは先程と変わらずこちらを睨んでいるだけ。
「マルコさん!正気に戻りましょう!あ!それかナースさんに診てもらいましょう?ね!」
マルコさんは今きっと高熱が出てるに違いない。
本人が気づいてないだけで!
私が真剣に訴えるとマルコさんは私を突き放すようにして。
「わ、」
でもちゃんとエースさんが支えてくれた。
「これで満足だろい?エース」
「悪かったなマルコ」
「約束は守れよい」
「わかってるよ」
・・・・・・・・やっぱりエースさんが何か知ってるらしい。
満足?
約束?
どういうこと?
「エースさん、あの」
「アコ」
「・・・・・・・・・・次は嫌ですよ」
次、と言われるのが嫌で先に先制してみると、
「もうねェよ。・・・・悪かった」
心から申し訳なさそうなエースさんの顔。
・・・・・・・・・むう。
「説明、して下さい」
問い詰めるようにそう言えば、じゃあ俺の部屋で話すと言うので。
エースさんの部屋。
「シンシアから聞いたんだ」
「シンシアさんから?何を、ですか?」
私シンシアさんに何か言ったっけ。
「アコが俺を意識してるって」
「!?」
「でもそれは俺だからじゃないかもしれないってな。だから試してみたかったんだよ」
「た・・・・試すって」
「アコが他の男に好きだって言われて抱きしめられてどういう反応するか」
「・・・・・・・・その為に私は抱きしめられた訳ですか」
うっわ、何か複雑。
「でもアコは俺の時と同じような反応しなかっただろ?」
「ああ、それでサッチさんが失敗、って」
「まあ俺にとっては成功だったんだけど」
「・・・・・・・・・だってサッチさんはシンシアさんのこと好きなの知ってますし」
「マルコは?」
「マルコさんはそんなキャラじゃないですもん。それに」
それに、2人ともエースさんとは確実に違うとこがあった。
「それに、何だよ」
「それに・・・・・気持ちがなかったですから」
「気持ち?」
「何ていうか、エースさんが抱きしめてくれる時はその時によって気持ちがあるんです」
「・・・・・・・どんな?」
不思議そうなエースさんに、思わず苦笑する。
「私が泣いてる時は優しく、慌ててる時は落ち着けって言うみたいに」
・・・・・・・・恥ずかしいから言わないけど、
他の時は、好きだって気持ちが伝わってくるような。
「・・・・・そっか?」
「はい。でも今日のお2人からは何も伝わって来ませんでしたから」
だから違う何かがあるんだとわかった。
「・・・・・・・ごめんな、アコ。俺の勝手で嫌な思いさせちまった」
それからしゅん、と叱られた子犬のような顔になったエースさんに何も言えなくなってしまう。
・・・・・・・・ほんとはこれから怒ろうと思ってたのに。
そんな顔されたら怒れない。
「ちなみにマルコさんとの約束って何ですか?」
「次の報告書は締め切り守る」
「・・・・・・・・・頑張って下さい」
「ああ。少しは脈アリだってわかったし、やってやる」
「っ!!」
反省してますか、と言えない私は臆病者かもしれないと少し思った。
+実験失敗 終+